

YU9 Audio U-556とU-554という現在イヤーチップ無しでどちらも136ドルで販売されているイヤホンのレビューです。イヤーチップアリだと139ドルでの販売になります。
どちらも1BA構成のイヤホンでEtymotic Research ER-4Sを意識して作られた、ただのクローンではなくER-4Sの不満点を改善しようと作られた製品のようです(中国語サイトを翻訳を見ながら判断しているので曖昧)。
最初は1つずつ個別の記事で書こうかなーと思ったのですが、今回はER-4Sとの比較をしたほうがわかりやすいと思ったので、ER-4Sとの比較をメインに1つの記事にまとめさせてもらいます。
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注目ポイント
・リアキャビティの調整は、U556 を他のスティック製品と区別する重要な機能であり、ユニットの周波数応答曲線、歪み、およびトーン テクスチャをより詳細に調整することができます。
→ER-4Sとの一番の違いがココで、背面に音抜けの穴があります。これによって音の歪みとかは低減させているそうな
良い点
・音はどちらもとても良い。特にU-554のER-4Sのようなタイトな音でありながら抜けの良さが付与された音はかなり素晴らしいと思う。
・U-556はER-4Sに低音域の量感を付加した上で音の抜けを良くしたような音で、音のタイトさや鮮明さでは劣るものの、これも非常に良い。
・基本的に構造はER-4Sと同様で、イヤーピースは共通で使え、フィルタもER-4Sと共通のものが交換できる。
・小さい端子のケーブルしか使用できなそうだが、一般的な2pin端子でのリケーブルが可能。
悪い点
・装着感ははっきり言って悪い。ER-4Sに慣れている人でも慣れるまではキツいと思う。Etymotic ResearchのEVOに近い装着感
・U-554はER-4Sより高音域の刺さり強め。


U-554の音質評価 95点
1、良い意味でほぼER-4S、高音域のカット感が無いのでどちらかと言えばER-4Bに近いか。その上で音の抜けの良さが付加されたおかげで音の無機質さ、神経質さが軽減されているのがかなり好印象。
音は非常に良いです。良い意味でかなりER-4Sに近い音なのですが、全く同じというわけではなくメーカーが「ER-4Sを超える音」を目指しただけあって、このイヤホンのほうが良いと思える点も結構あります。音のバランスは少し高音域寄りで、最高音域は明らかにER-4SよりこちらのU-554のほうが鮮明に出ます。ER-4Sは聴覚保護のために超高音域は意図的に切られているのでよく聴くと少し高音域の余韻の部分であったりが結構切れている印象はあるのですが、このイヤホンはそこの部分もしっかりと描写してくれます。ただ、その代わりに高音域はER-4Sより少し刺さりが強めな音になっています。(音の抜けが良いので、そこまで過剰ではありませんが)
全体的に音の抜けが良くなっていることもあり、音場はER-4Sより広めになっています。U-556は少し意図的に音を拡散している印象がありましたが、こちらのイヤホンは高い解像度の音を音の抜けの良さだけで自然な広い音場を作っている印象があり、とても聴いていてスッキリとした音場感が気持ちが良いです。
相性の良い音源は、スラッシュメタル、POPS、ロック、クラシック等。非常にクセの少ない音で自然な広い音場を表現してくれるので、生楽器系とかはかなり相性が良いですし、スラッシュメタル等のスピード感のある音源も相性が良いです。身も蓋も無いことを言ってしまえばER-4Sの得意な音源は、このイヤホンも得意です。
相性の悪い音源は、EDM、デスメタル、ジャズ等、基本的に低音域は薄めなので、低音域の量感の強さや重みを求める音源はそこまで合いません。


U-556の音質評価 88点
2、U-554より全体的に中低音域の厚みが増しており、音の抜けが良く1BAらしからぬ趣のある中、低音域の質感が楽しい。
U-554はかなりER-4Sに似ている音でしたが、こちらはかなり違う音に仕上がっています。音の傾向としては軽く低音域寄りの少しゆったりとした音場の広がりが気持ちの良い音になっています。U-554が物凄く音がシャープでタイトな音が鳴るため、そういった音を「神経質な音」と感じる人はU-556のほうが楽しく聴けると思います。正直音の解像度という面ではU-556のほうが不利なため、私のようにメタル等のスピード感のある音源を聴くのであればU-554のほうが良いと思うのですが、このイヤホンは「1BAでも、こんなに広がりと深みのある中、低音域が出せる」という方向では非常に意欲的な音だと思います。中低音域に厚みを持たせるために、多くのイヤホンはBAを何基も積んだり、別途ダイナミックドライバを積んだりしますが、やはり音の自然さという面ではドライバは1基のほうが有利であり、1BAでこれだけ味のある音楽的な中、低音域が鳴らせるなら1BAで良くね?と聴いていて思ってしまいますね。(まぁ出来の良い多BAとか聴いたら複数BA良くね?って思うんだろうけどw)
相性の良い音源はPOPS、ロック、ジャズ、アニソン等。少しゆったりとした音で鳴らしても問題ない音源が相性が良いです。
相性の悪い音源はスラッシュメタル、ハードロック等。聴けないことは無いですが、スピード感のある音源はU-554やER-4Sを選んだほうが良いでしょう。


3、装着感はEtymotic EVOに近く、かなり独特でER-4Sに慣れている私も慣れるまではちょっと苦戦した。基本的にER-4Sと互換性があり、フィルタ等も共通のものが使えたり、ER-4Sが好きでたまらねぇんだなというのがヒシヒシと伝わる造り。
装着感はハッキリ言って良くないです。ER-4Sの装着感もかなり人を選ぶと思いますが、このイヤホンは耳掛けができるようになっているのでER-4SよりEtymotic EVOに近い装着感でかなりクセがあります。私は慣れるまでは結構苦労しました、、、w慣れちゃえば長時間の使用も特に問題ない印象ですが、間違いなく人は選ぶ装着感であると思います。基本的にER-4Sで使用できるものはそのまま使えるようになっていて、ER-4Sで使われているフィルタも全く同じものが使えるようになっています。本当にこのイヤホン作った人はER-4Sが好きなんだなと随所で感じられるのが何かほほえましいですねw

4、U-554、U-556、ER-4Sの比較。
1、2項でも大分比較したことを書いていますが、基本的にこのイヤホンで気になるのはER-4Sとの比較の部分だと思いますので、改めて詳しく書きます。
U-554
・断トツで高音域の鮮明さは3機種の中でトップ。ER-4Sより音場が広く、それでいて高音域が非常に鮮明なため全体的に音がとてもスッキリとしている。ER-4Sより高音域の鮮明さが上がっているため刺さる帯域の音も強めに出るので、刺さりが気になる人には合わないだろうが、音の抜けが良いおかげで個人的には刺さりはそこまで気にならない。低音域の量感はほぼER-4Sとあまり変わらない。
ER-4S
・U-554にかなり似ているが、高音域は最高音域が少し切られているような印象があり音の鮮烈さでは一歩劣る。その代わり刺さりやすい帯域の音はかなりカットしてくれているので、明瞭な音でありつつも聴き疲れしないバランスとなっているので、一長一短といった印象。音の輪郭は3機種の中で一番ハッキリしており、低音域のスピード感は3機種の中で最も優れているが、音場は狭めなので、これを「タイトな正確な音」と捉えるか「少し窮屈な音」と捉えるかで評価はかなり変わるだろう、個人的にはタイトな良い音だと感じる。
U-556
・前2機種とはかなり違う中、低音域が厚い音で、少しゆったりとした広がりのある低音域の質感が楽しいイヤホン。正直音の解像度や高音域の鮮明さでは上記2機種には及ばないものの、中、低音域の少し広がりと深みのある音はとても聴いていて心地よく、一番良い意味でミドルテンポの音源を音楽的に楽しいで鳴らしてくれるのはこの機種だと感じる。1BAでこんだけ深みのある低音が鳴らせるんだなと思える意欲作。
まとめると
解像度 ER-4S≧U-554>>U-556
高音域の鮮明さ U-554>ER-4S>>U-556
刺さりの少なさ ER-4S>>U-556>U-554
中音域の量感 U-556>>ER-4S≧U-554
低音域の量感 U-556>>ER-4S≧U-554
音場の広さ U-556≧U-554>ER-4S
みたいな感じかなーと思います。

おススメ度 U-554 97点 U-556 85点
5、ER-4Sに音の抜けの良さを付加したような音で非常に魅力的な意欲作である。ER-4Sクローンみたいな扱いで取り上げられがちな製品だが、むしろER-4Sを持っていてER-4Sが好きな人に使い分けて楽しんで欲しいイヤホン。
音は非常に良くただの少し安いER-4Sクローンみたいな製品ではなく「ER-4Sよりさらに良い音を」という意気込みがしっかりと感じられる魅力的な音のイヤホンだと思います。特に、U-554の鮮明なスッキリとした音でありながら、音の抜けが良い少し広い音場で鳴ってくれる音は本当に魅力的でした。音の刺さりはER-4Sより多くなっていたり、装着感がイマイチだったり難点はありますが、ER-4Sの音が大好きだった人にこそ是非試して欲しいイヤホンだと思います。
実はER-4Sは私が高級イヤホンというものにハマるきっかけの製品で、初めて聴いたとき「こんなに高精細な音のイヤホンがあるのか!」と衝撃を覚えたのをとても覚えています。このイヤホンはそのER-4Sを超えた良い音を目指したという意気込みをしっかりと感じられる意欲作で、是非私のようにER-4S好きな人には試して欲しい魅力の詰まったイヤホンです。

僕もER4S持ってましたがまさに高音の伸びの不足を感じ、綺麗な音ではあるが退屈な音だなと思いしばらくして手放してしまいました。
高音の抜けが改善(進化?)したのであればまさに強化版のER4Sですね。
非常に興味が出てきました