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母は筋金入りの「超」ネガティブ人間だった

ぐるぐるねこ男

 

メジャーリーグで大活躍している大谷選手を見ていると思い出すことがある。それは僕の母が、特にスポーツに関して超ネガティブであったことだ。僕が子供の頃はテレビで野球観戦をしながら家族みんなで晩御飯を食べるのが日常であった。僕の父は根っからの巨人ファンだった。当時の野球中継が、ほとんど巨人戦であったこともあり、子供の僕も自然と巨人ファンになった。当時の巨人は本当に強かった。原、クロマティなど強打者がずらりと並び、ピッチャーも桑田、槙原、斎藤などエース級の選手が何枚も揃っていた。そして内野手には中畑や篠塚という名選手もいた。

 

春から始まるプロ野球、気がつけば巨人が優勝して終わりという年が多かった。晩御飯を楽しむためのエンターテイメントとして、巨人ファンであることはある意味「勝ち組」であったかもしれない。僕の友人に大洋ホエールズの大ファンが一人だけいたが、大洋が勝ったか負けたかなんて巨人戦の番組の下の方に出てくる途中経過の字幕でしか分からなかった。それでも彼は粘り強く大洋ホエールズのファンであり続け、その姿勢は私生活でも役に立ったのか、努力に努力を重ねて今では立派な税理士になっている。

 

さて、うちの母に話を戻すが、彼女は巨人の試合中ずっと「今日は絶対に負ける」とか「絶対に三振する」とか「絶対に逆転される」といった感じでネガティブなことを言い続けていた。物心がついた頃はあまり気にしていなったが、小学校高学年になる頃には母のネガティブ発言が苦痛でしかなかった。これはプロ野球だけに限らず、4年に一度のオリンピックの時なんて最たるものであった。体操を観ている時は「絶対に(鉄棒から)落ちる」とか「最後に着地で失敗する」と口癖のように言っていた。柔道や水泳のような競技でも「絶対に負ける」、陸上に至っては「勝てるわけがない」といった感じで、競技をやっている選手が聞いたら「うるせぇ!!」と怒鳴りたくなるようなネガティブ発言を、母は4年に一度、呪文のように繰り返していた。

 

 

 

それでも日本人選手が金メダルを獲得したりすると、満面の笑顔で手を叩いて喜んでいたのである。応援はしているのだが、自分が応援している選手が負けたり失敗したりするのが恐いため、最初から自分の中で選手が「失敗する」とか「負ける」という状態までハードルを下げておく作業が、母のネガティブ発言の本当の正体なんだ…と、大人になった僕は気がついた。

 

しかし僕は、母のネガティブ発言を聞き続けたおかげで自分の中に反骨精神が生まれたと思う。母が「失敗する」「負ける」と言うたびに、自分の心の中で「絶対に成功する!」「絶対に勝つ!」と密かに思っていた。そのおかげで、他の人にどれだけ「無理に決まってるだろ」と言われた医学部の再受験を、成功に導くことができたのかもしれない。以前の記事「教師になるのは無理と言われ」でも紹介したが、あの時の母が「学校の先生になるなんて、難しいから絶対に無理」と言って、僕の夢を潰してくれたおかげで今の自分があるのかもしれない。どちらの人生がよかったのかなんて分からないが。

 

あと、この母のネガティブ発言から間接的に学んだことは「期待するから失望する」ということだ。自分自身に期待するというよりは、周りの環境や他人(上司や知人など)に対しての”期待”である。この学校に通っていれば絶対にいい大学に進学できるはずだとか、今の上司なら絶対に自分のことをわかってくれるはずだとか、彼(彼女)なら絶対になんとかしてくれるはずだといったような、自分以外に対する勝手な期待が裏切られやすい。そもそもその相手にしてみたら「あなたの期待を裏切った」なんて微塵も思っていないはずである。勝手に自分が期待して、勝手に自分で失望しているだけなのだ。そう言った意味ではうちの母は最初から誰にも期待していないため、失望感も少なかったはずである。

 

 

 

小学3年生になった時、うちの母から「もう学校の勉強を教えてあげれないから自分で頑張りなさい」と言われた。母は子供の頃、給食費が払えないくらいの貧乏な生活をしていて、中学校を卒業したら家計を助けるためにすぐに就職したような人間だ。今思えば母は自分自身を責め続けるような人生であったように記憶している。僕は母に勉強を教えてもらうこともできず、もちろん塾に通うようなお金も無かったため、自力で勉強し続けた。そして誰にも頼らず自分でお金を稼いで大学も卒業することができた。でもそんな生活を結構楽しめていたと思う。

 

母のネガティブな発言の裏に「他人になんか期待せず、人生なんて自分でを切り開きなさい」という意図が込められていたかどうかは定かではない。そして母は数年前に他界しているため、今では確かめようがない。しかしどんな時も僕のことを褒めてくれて、僕のことを応援し続けてくれた母には今でも感謝している。ネガフィルムも現像すれば美しい写真になる。ネガティブな発言や事象でも、自分の捉え方次第でポジティブな考え方に繋がるはずだ。目の前のどんなネガティブなことでも、自分の「捉え方」「受け止めかた」「反応の仕方」次第だと思う。大谷選手の大活躍を観ていて、ネガティブな母(故人)に思いを馳せてしまった休日の朝は、嘘のように晴れていた。

 

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それではまた^ ^