Civin CE60-SL レビュー!安エレキギター弦はどんな音?まともに使える?【年700万組生産工場製】
👆 Civin (シヴィン) ELECTRIC 09-42 CE60-SL 格安エレキギター弦をレビュー!
目次
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Civin (シヴィン) CE60-SL 格安エレキギター弦の音や使い勝手を知りたい!
今回はリサイクルショップ等の新品弦コーナーでたまに見かけるエレキギター弦、Civin (シヴィン) CE60-SL をレビューです。Civinでは各種ギターやエレキベース、ウクレレ等の弦を低価格帯中心にラインナップしています。
アリババの情報によると製造元の紫金孔源乐器有限公司は1998年に創立され、Civinのみならず各社OEM供給実績が豊富です。弦の年間製造数は7,000,000セットにも及び、過去最大では8,500,000セットを生産していたことが公表されています。
エレキギター以外も充実&破格のラインナップ!
Civinはアジア圏の海外通販サイトではお馴染みの弦ブランドで、商品の品質と価格帯で3つのグレードが設けられているのが特徴です。品質順にHigh Quality、Medium Quality、Normal Qualityと用意されており、日本では主にNormal Qualityが販売されています。(※エレキベースはgood quality / Normal qualityの2グレード)
例を出すとアコギ用カラー弦のCA60C-XLはMedium Quality、激安ウクレレ弦として名高いCUW60はNormal Qualityです。CE60-SLはNormal Qualityに該当で、一時期国内ではPLAYTECH EGS0942より安価で流通していました。
最近はCivin製エレキギター弦の国内流通量が減っているのか、国内ネット通販や店頭でも見かけなくなった印象があります。ですがアリババでは非常に安価で取引されているため、今後もスポット的に販売する国内店が出てくるかもしれません。
企業理念
我们相信音乐造就美丽的生活,Civin吉他弦造就美丽的音乐。
直訳:私たちは音楽が美しい人生を作り、Civinギター弦が美しい音楽を作ると信じています。
引用:Coated Guitar Strings Product on Alibaba.com
な、なんて素晴らしい企業理念なのだ……
本記事では2023年初頭に購入したCE60-SLを使い、外観や使い勝手、サウンドの比較検証など詳しい情報を掲載です。
果たしてCivinの格安エレキギター弦の実力は如何ほどのものなのか、いつもの流れでレビューしていきましょう。
外観:格安エレキギター弦 Civin CE60-SL
Civin CE60-SLはビニールパックパッケージを採用し、黒と水色の鮮やかなカラーリングが目を引きます。
表面は目立つ位置に型番と弦の太さが表記されており、半透明の箇所からは実際の弦を確認可能です。
裏面はインチとミリで詳しい各弦のサイズが一覧表でまとめられているなど、ユーザーファーストなデザインとなっています。ただし掲載されているホームページのアドレス、およびQRコード先のリンクは更新が途絶えている様子でした。
Civinの情報については先のアリババの公式ページを参照する方が確実だよ!
弦のパッキング
パッケージを開封すると、各弦は6本分まとめて1つのビニールパックに封入です。価格帯相当に簡素なパッキング方式ですが、各弦毎に番号が振られたステッカーが添付されています。
とは言え酸化防止対策を施したパッキングではないため、保管時は密閉性の高い容器の使用を推奨です。金属パッケージやダダリオ等の真空特殊ポリマーパッケージよりも、湿度や酸化に弱い点を念頭に置いて保管しましょう。
弦のデザイン
CE60-SLはスーパーライトと記載されている通り、弦の太さは1弦が.009インチで6弦が.042インチとなっています。弦のボールエンドの色は全てニッケルメッキ仕様で、安ギター弦にありがちな『弦長が短い設計』です。
ワウンド弦は820~940mm、プレーン弦は940~955mm前後につき、平均的なギター弦よりもかなり短く感じます。
弦先端は芯が露出しないタイプなので弦長がそのまま有効弦長となりますが、レギュラースケールのSTタイプでも余裕が無いのです。リバースヘッドやEXロングスケールには適合が難しいため、ポストに巻く余剰分も含めて弦長が足りるのか確認が必須となります。
弦長一覧
・プレーン弦
1弦:955m / 2弦:940mm / 3弦:940mm
・ワウンド弦
4弦:900mm / 5弦:860mm / 6弦:820mm
6弦が820mmだと右利き用リバースヘッドには確実に搭載不可だよ!
細部の加工
Civinの弦は『Professional Environmental Anti-Rust Coat』と表記されている通り、酸化防止コーティングが施されています。
一般的なコーティング弦という訳ではなく、近年流行中のEMP系コーティング弦とも異なる模様です。
図を見る限り弦を長持ちさせるための防錆加工のことで、外見上はノンコーティング弦と大差が無いように映ります。
全域に導通があることを確認しているため、あまり気にせず普通のニッケルワウンド弦と考えてOKです。
価格相当な面
ボールエンドの巻き返し部分は芯が上手く切断されていない個体が含まれており、仕上がりの粗っぽさが目に付きます。飛び出した芯で皮膚を痛めないように、弦を交換する際はボールエンド付近をよく確認した方が良いでしょう。
安ギター弦では弦表面に黒い汚れが付着した状態の銘柄が多いのですが、本品ではそういった汚れはほとんど見当たりませんでした。交換直後に指が真っ黒になる現象は発生しにくいと思われるので、その点は安心して使うことが出来そうです。
触感
弦の触感はワウンド弦とプレーン弦で異なり、ワウンド弦はフニャっとしつつも柔らかさにムラがあります。開封直後は弦が円形状にならず、ひらがなの『つ』のような形になるため復元力に乏しそうです。
プレーン弦はワウンド弦よりも比較的硬質で、標準か標準よりも僅かにテンションが高めだと思われます。ワウンド弦とプレーン弦でテンションバランスが良くないため、弦高の再調整が必要になるかもしれません。
ワウンド弦が柔らかめかつ復元力が低めなので弦高によってはバズりやすいよ!
生産国について
Civin CE60-SLは中国の自社工場設備内にて、ドイツ製の機械を用いて製造されているとのことです。オートメーション化した設備と思われますが、Ernie Ball製と比べるとワウンド弦の巻き線が細めとなっています。そのため同一のゲージを遠目に見た場合、視覚的にCivinの弦の方がスリムに映るかもしれません。
交換:格安エレキギター弦 Civin CE60-SL
ここからは実際に、無改造のEART YMX-SG3へCivin CE60-SLをセットしてみました。交換後の第一印象は触感の項で述べた通り、ワウンド弦とプレーン弦のテンションの差が若干気になる要素です。
通常演奏の範囲であれば慣れで克服出来る範疇であるものの、アーミング時にワウンド弦側が緩く感じる場合があります。コードワークで各弦をバランス良く鳴らすのも少し難しく、パワーコードのパームミュートではテンションが不足気味です。
この辺は弦の個性と捉えるか扱いにくい弦と捉えるか、使用者によって判断が大きく分かれることでしょう。ルックス自体は適度な艶と光沢があり上々なので、演奏時の触感や音質が上手くハマる人には面白い弦だと言えます。
生音
生音の音量はErnie BallのSuper Slinkyよりも低く、とりわけワウンド弦に迫力がありません。弦のテンションの低さが要因と推察されますが、対照的にプレーン弦側はハリがあって高音の伸びが良好です。
カッティングや開放弦を交えたアルペジオなどにおいて、高音弦主体のフレーズとは好相性となります。先述のパームミュートは生音レベルでも力感に乏しいため、低音を効かせたハードロックやメタル、パンク系のリフには不向きです。
出力
アンプを通すと生音の音量の低さが如実に反映されており、Super Slinkyよりもやや低めの出力となります。かといって極端に歪みにくい訳でもなく、高音と倍音がよく出ているのかそれなりに粒の立ったドライブ感です。
高音の伸びに反してキンキン耳に刺さる成分が控えめで、思いのほか楽しめるサウンドだと思います。Civin CE60-SL使用時はアンプ及びオーディオインターフェース等の入力ゲインや、ボリューム関連の設定を見直すと良いでしょう。
サウンドデータをCivin CE60-SLとErnie Ball Super Slinky #2223で徹底比較!
管理人の主観だけでは説得力に欠けるため、Civin CE60-SLとErnie Ball Super Slinkyのサウンドデータを比較です。Ernie Ballの弦はトーンプロフィールが表記されているため、比較対象の弦(≒基準となる弦の音)に最適となります。
Super Slinkyのトーンチャートは出力が8で、低中高音域が全てオール7の設定です。弦交換前後の測定環境は全て揃えた上で倍音特性、周波数特性、サスティーン、音の立ち上がりの4項目を比較しました。
ギターはこちらも弦高等のセッティングが共通のEART YMX-SG3のみを使い、弦の種類による音の違いを浮き彫りにしています。
10点評価の注意点
弦やピックアップを筆頭に、楽器関連の性能判定は10段階評価を用いることが多いです。10段階評価の注意点としては、10点に近いほど『性能が優秀とは限らない』ことにご留意願います。
例えば控えめな高音が必要となるプレイスタイルの場合、高音が伸びやすい弦は必ずしも『利点』とはなりません。あくまでその帯域が『伸びやすいor減衰しやすい目安』として、サウンドメイクにご活用下さい。
使用したギターはコチラ!
倍音特性の比較 (A2/110.00Hz)
倍音特性は周波数が分かりやすいように、5弦開放弦 (A2/110.00Hz) を比較です。
1.Ernie Ball Super Slinky #2223
トーンバランスの良さと煌びやかな倍音に定評がある通り、低次倍音も高次倍音もムラ無く出力です。偶数次倍音と奇数次倍音の比率も極端な差異はありませんが、全体的に偶数次倍音の方が気持ち大き目に計測されています。
倍音が煌びやかでも鋭く鼓膜を抉るような奇数次倍音が含まれていないため、明るさと暖かさを内包した倍音特性です。
2.Civin CE60-SL
低次倍音よりも基音の出力が低めで、アタック時に倍音の方が前に出やすい傾向があります。Super Slinkyには及ばずとも倍音が計測される帯域 (横軸) が広く、部分的に倍音の出力 (縦軸) を上回っている箇所も散見です。
しかし出力を上回る箇所は総じて奇数次倍音であるのに加え、極端に出力の低い高次倍音が音の滑らかさを損ねています。非整数倍音は全帯域で控えめですが、倍音と倍音の谷間に不規則な非整数倍音の山が発生しやすい点に要注意です。
ワウンド弦のテンションの低さがバズるような音の濁りに繋がるかもね
倍音特性波形の周波数目安
左端側の太長い山(中央灰色線)が基音110Hz 偶数次倍音:第2倍音(220Hz)、第4倍音(440Hz)…… →ナチュラルで暖かな傾向の響き、多いほど親しみを感じやすいという研究結果も 奇数次倍音:第3倍音(330Hz)、第5倍音(550Hz)…… →金属的で冷たくメカニカルな傾向の響き 非整数倍音:各倍音の谷などに含まれるが音程を感じさせない
周波数特性の比較
波数特性はDI直で同一フレーズを繰り返し、平均的なスペクトラムを算出しました。
a.Ernie Ball Super Slinky #2223
トーンチャートの設定に偽りなく、全ての帯域で平均以上の値を計測しています。オールラウンドにサウンドメイクが可能で、ジャンルを問わず扱いやすい周波数特性です。
公表トーンチャート
出 力:8 / 低音域:7 / 中音域:7 / 高音域:7
b.Civin CE60-SL
生音の音量の低さを裏付けるように、Super Slinkyと比較して出力が最大-1.5dBほど低い値を示しています。アンプやオーディオインターフェースのボリュームやゲインを揃えて聞き比べると、Civin CE60-SLはいささか力感不足です。
そこで出力を+1.5dB補正して最大出力が同等になるように調整したところ、2kHz以降の帯域はSuper Slinky以上の数値を計測です。ところが300~800Hz付近の中音は平均的で、300Hz以下の帯域は平均以下の値となります。
これらの結果からCivin CE60-SLは低出力かつ、高音に強烈なアドバンテージが得られる弦だと判断出来そうです。
推定トーンチャート
出 力:5 / 低音域:4 / 中音域:6 / 高音域:9
周波数特性波形の周波数目安(左から順に)
赤線:100Hz,200Hz 橙線:400Hz,800Hz 桃線:2000Hz,3000Hz,6000Hz
サスティーンの比較
サスティーンはDI直で開放弦Eコードを1ストローク鳴らし、出力が0になるまでの時間を計測します。Super Slinkyの音伸びを基準となる0として、Civin CE60-SL交換後に±何%音伸びが変化したのかを記録です。
なお人力でもデータ精度を上げるため、定例通りえげつない回数のストロークを繰り返しています。計測したサスティーンデータを元に、平均%、最小%、最大%の3通りを算出です。
平均:-24.0%
最小:-19.6%
最大:-22.4%
音量補正後はまた違った結果となりますが、上記は生鳴りベースで比較した値を掲載しています。
出力に最大-1.5dBの差が生じる点の影響が大きく、サスティーンに関してはSuper Slinkyよりも優位に立てる要素が皆無です。サスティーンが短くとも高音の鋭さを活かせるカッティングや、音が伸び過ぎるギターに使うと収まりが良いかもしれません。
音の立ち上がりの比較
サスティーンの計測と平行して、音の立ち上がりについても調査しました。Super Slinkyと比較して、Civin CE60-SLは平均して7ms(0.007秒)ほど立ち上がりが鈍くなります。アタックの弱さも重なり低音は特に立ち上がりの鈍さを感じるため、ピッキングニュアンス重視のプレーヤーは用心しましょう。
格安エレキギター弦 Civin CE60-SL まとめ
・アジア圏を中心に海外では名の知れたハイコストパフォーマンスエレキギター弦
→同ブランドはエレキギター用のみならず各種弦楽器用弦を低価格でラインナップ
→2023年現在海外では流通が盛んだが国内ではエレキギター用弦の流通が非常に少ない
・標準的な同ゲージのギター弦よりもテンションにムラがある
→ワウンド弦は柔らかめ、プレーン弦は標準か標準よりも硬め
・出力は控えめでアタック時は基音よりも倍音が主張しやすい
・高音の伸びが強烈だが中音は標準的で低音は弱め
・生音ベースではサスティーンが伸びにくい
・音の立ち上がりは鈍化する可能性が高い
とにかくコストを重視しつつ高音の個性を際立たせた弦だね!
低価格帯にしてはほどほどの品質だと思うけれども人を選ぶ要素が多数アリ!
安さに抵抗が無く低出力&高音ギラギラの音がマッチする人は試してみよう!
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