Dean Guitars Custom Zone 2 HB レビュー:指板までド派手なネオンカラーエレキギターを徹底解説!
👆 Dean Guitars Custom Zone 2 HB をレビュー!
目次
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Dean Guitars Custom Zone 2 HB 指板までネオンカラーな安ギター!
今回は Dean Guitars (ディーン・ギターズ) のStandard Seriesより、国内では入手が難しい Custom Zone 2 HB をレビューです。Custom Zone 2 HBは一瞬で脳裏に焼き付く、超ド派手なネオンカラーを採用したエレキギターとなります。
Dean Guitarsの伝統ある演奏性の高さを継承しつつ、官能的なボディシェイプの曲線美が超クール&ハイセンスですね。度肝を抜く派手さはボディに留まらず、なんと指板までネオンカラーフィニッシュを採用しています。
奇抜なギターを好むプレーヤーであれば、性能や音質は度外視に是が非でも手中に収めたくなる衝動に駆られるハズです。
言わずもがな管理人もその一人で、
気が付けば全身どピンクと
全身どグリーンな全カラバリを制覇していました。
Custom Zoneについて
Custom Zoneはエレキギターとエレキベース、それぞれピンク系とグリーン系の2カラーで展開されています。
ギターはCustom Zone 2 HB (型番:CZONE) として、Florescent PinkとFlorescent Greenの2ハムモデルをラインナップです。両カラーにスペック面の差は無く、標準でセミハードケース (Dean Lightweight Case Electric Guitar) が付属します。
画像引用 (Custom Zone BASS 2種):Dean Guitars
Custom Zone BASS (型番:CZONE BASS) は1ピックアップモデルのベースで、Florescent PinkとNuclear Greenの2種が選択可能です。Florescent GreenとNuclear Greenの違いが分かりにくいものの、どちらもネオングリーン系フィニッシュとなります。
Custom Zone各種は国内入手が困難!
管理人はCustom Zone 2 HBを2023年までに2種とも入手済みでしたが、ギタいじでは未レビューとなっていました。基本的にU.S. Onlyのモデルで日本国内では流通が非常に少なく、2023年の入手時点で次回入荷の見通しが立たなかったためです。
参考までに管理人がFlorescent Pinkを入手した際は、注文から納品までに1年10ヶ月程かかっています。国内在庫が無い場合は原則入荷未定扱いとなる製品につき、ノリとバイブスだけで手を出さないようにご留意ください。
本記事ではCustom Zone 2 HB Florescent Pinkをレビュー!
全身ネオンなエレキギターの波動にキミの網膜と脳汁は耐えられるのか、いざ尋常に勝負!!
開封の儀
Dean Guitars Custom Zone 2 HBは低価格帯モデルでありながら、セミハードケースが付属することに驚きです。ケースの外装こそ化繊生地ですが、ハードケースにも負けない堅牢さと可搬性に優れた軽さを備えています。
中央にはDean Guitarsのブランドロゴが大きくプリントされており、小物収納用のポケットもマチ幅が広く大容量です。握りやすいソフトなハンドルと滑りの良いジッパーを搭載し、利便性にも秀でたナイスなサービスケースとなっております。
それではお待ちかね、全身どピンクなCustom Zone 2 HB Florescent Pinkと感動のご対面です。
うおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!
マジでええええええええええええええええええええええええ!!!!
全身どピンクだああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!
ファーストインプレッション
という訳でこちらが全身どピンクなエレキギター、Dean Guitars Custom Zone 2 HB Florescent Pinkでございます。最早その姿はどこからどう見ても、選ばれし伝説の英雄にしか装備が許されない王道RPGの主人公専用エレキギターです。
思考が停止するほどピンクっぷりの良さが常軌を逸しており、見る者の知能を極限まで低下させるオーラを解き放っております。
今日まで生きてこれてよかった……
「運命」に勝った!!
只今ギタいじ管理人の脳内では、ジョジョ4部終盤における川尻早人の雄姿が絶賛リピート中です。
2022年購入時3万円台 (+ポイントどっさり) にもかかわらず、ここまで尋常ならざる多幸感が得られた安ギターが存在したでしょうか。かつてない程の脳汁ドバリティで意識が飛びかかっていますので、サクっと基本スペックの確認に移ります。
基本スペック
Item ID:CZONE FLP
Model Name:Custom Zone 2 HB Florescent Pink
Dexterity:Right Handed
Body Material:Terentang
Body Type:Czone
Top Material:Terentang
Top Contour:Flat Top w/Arm Cut & Back Belly Cut
Neck Material:Maple
Scale Length:25 1/2″ (648mm)
Construction:Bolt-On
Neck Shape:C
Fretboard Material:Terentang
Inlays:None
# of Frets:22 Jumbo
Fretboard Radius:16″ (406mm)
Nut:Polymer Black (Plastic)
Nut Width:1 11/16″ (43mm)
Tuners:Sealed Die Cast
Knobs:Black Dome
Hardware Color:Black
Bridge:Vintage Tremolo
Pickup (Neck):DMT Design
Pickup (Bridge):DMT Design
Binding:None
Finish:Florescent Pink
Country of Origin:China
Truss Rod:Dual Action
Controls:Volume / Tone
Strings:D’Addario EXL120 (.009-.042)
年式によって木材の仕様変更が多く、かつてはボディ材がマホガニー、指板材はメイプルでした!
ルックス
Dean Guitars Custom Zone 2 HBはとにかくフィニッシュの発色が鮮やかで、他の要素が頭に入ってこなくなる破壊力です。おそらくCustom Zone 2 HBを購入したユーザーは、総じて鮮烈なルックスに惚れ込み脊髄反射で即買いしたものと思われます。
ボディシェイプは一見STタイプのように見えますが、随所に複雑なコンター加工が施されているのがポイントです。公表情報では『Flat Top w/Arm Cut & Back Belly Cut』となっており、ルックスのみならず取り回しにも配慮されています。
カラーリングの美しさと機能性の良さを備えている点は、低価格帯ギターとは侮れぬ要素の1つですね。ネオン系カラーとブラックハードウェアも調和が取れているため、網膜に吸い寄せられるような存在感を発揮しています。
ヘッドシェイプ
ヘッドシェイプはDean Guitarsオリジナルで、他のモデルにも使用されている鋭角的なL6配列のシングルサイドヘッドです。4つの角が全て鋭い形状に整えられており、攻めの姿勢が表れている独特のヘッドシェイプはDeanらしさを醸し出しています。
ただし上位モデルとは異なりバインディングが省略されているなど、低価格帯ギター相当に簡略化されたデザインです。ヘッドトップのロゴも上位モデルは翼を模したDean Guitarsロゴであるのに対し、本品は筆記体で『Dean』のロゴとなります。
代わりにロッドカバーは翼を模したロゴ入りだよ!
フィニッシュ
フィニッシュの種類は公表されておりませんが、塗装の厚みや硬度からポリエステルでしょうか。Florescent Pinkはいわゆるネオンピンク、またはショッキングピンクに近く、明度も彩度も高めの色調です。
表面は艶々の鏡面仕上げとなっているため、他ブランドの低価格帯ギター以上に本気度の伝わる磨き具合となっています。指板もヘッドトップもボディと同じポリエステルを用いたものと思われますが、いずれも光沢と艶のある美しい鏡面仕上げです。
ボディもピンク、指板もピンク……
嗚呼、今日も地球はなんて素晴らしいのでしょうか。
しとどに溢れるピンクの波動は無敵と称するに相応しく、
どことなく『おぼっちゃまくん』のようなバブリーさが漂っていますね。
バックを見ると……?
しかしそこは低価格帯のエントリーグレードギター、真の無敵ピンクには一歩及ばない『隙』があるものです。正面からの画像だけを見ると、多くの人はネックのグリップ面までベタ塗りのポリエステルフィニッシュを想像するかもしれません。
ところがCustom Zone 2 HBは全身ネオンカラーのように見えて、
実はネックグリップのみサテン仕上げを採用しています。
個人的にここまでピンクに染め上げたのであれば、グリップやヘッドバックもカラーフィニッシュを採用して欲しいと感じました。
バックから見ると拍子抜けする要素につき、
Custom Zone 2 HBはネックのみ『びんぼっちゃま状態』なのです。
演奏中のプレーヤー視点では常にネックグリップが目に入ることもあり、全身ピンクを期待してしまった方は注意が必要となります。
ハードウェア
金属パーツも樹脂パーツも共通して、ハードウェア類は全てブラックカラーのみを採用です。ナットやアームバー、ネックプレート、バックパネル、ロッドカバーもブラックにつき、全体的な統一感は満点となります。
サドルは低価格帯ギターのトレモロブリッジではお馴染み、10.5mmピッチのブロックタイプを搭載です。ノブ類はボリュームとトーンがドームタイプのメタルノブ、スイッチノブはプラスチックのストラトタイプが使用されています。
ピックアップはオリジナルのDMT Designハムバッカーが2基、ペグはギア比の高い密閉型のロトマチックタイプです。奇抜な色や形状のハードウェアは使用されておらず、黒で統一された部品選定がボディや指板の明るさを一層引き立てています。
パーツグレード
パーツグレードは価格帯相当となっており、高級パーツや高品質なパーツはほとんど搭載されておりません。特にトレモロブリッジは名称こそ『Vintage Tremolo』とありますが、サスティーンブロックが安ギター特有の極薄タイプです。
10.5mmピッチのトレモロブリッジは代替品が少ないとは言え、ギタいじでは10.5mmピッチ対応のブリッジを多数レビューしています。後述しますがブリッジを交換したい方は、併せてギタいじの10.5mmピッチトレモロブリッジレビュー各種をチェックしましょう。
ペグやノブ、エスカッションの質感は少し安っぽく、樹脂プレート類は全て薄手の1プライとなっております。ある程度見栄えの良いパーツはロゴ入りのネックプレートとロッドカバー、オリジナルデザインのピックアップですね。
デフォルトではサウンドの比重がピックアップのみに集中しているため、徐々にパーツを変更していくことをおススメします。
最新の10.5mmトレモロブリッジレビュー!
セミハードケース
パーツグレードとは対照的に、明らかに商品価格設定以上の拘りを感じたのが付属のセミハードケースです。Dean Lightweight Case Electric Guitarは国内未発売ですが、海外では通販等で入手出来る商品となっております。
サービスケースとしては申し分無い性能で、もしかするとCustom Zone 2 HBの商品価格の大半を占めている可能性すらありそうです。家庭内で保管する際も屋外へ持ち運ぶ際も安心の設計につき、安ギターを収納する用途には不釣り合いにすら思えます。
同等の形状やネック角のギターであれば、Custom Zone 2 HBより高い価格帯のギターにも十分使用可能です。内部は全体がファーで覆われており、弦と接触する箇所は厚手のクッション材入りなので耐衝撃性も備えています。
もしもギグバッグやソフトケースが余っているのならば、本ケースを屋外持ち運び用として使い回しても良いかもしれませんね。
セミハードケースは見た目も性能もグッド!
ルックス面の総評として、ネックのグリップやパーツグレードを除き満足度が高いギターだと言えるでしょう!
付属ケースにはハードケース用湿度調整シートを使おう!
演奏性
ここからは演奏に関わる要素に焦点を当てて、Dean Guitars Custom Zone 2 HBを各パーツ単位で細かく確認です。ギターに手を加えた状態で評価するのではなく、購入直後のデフォルトコンディションを評価します。部品の機能性と組み込みの精度も含め、可能な限り主観を除いた視点を心掛けました。
ペグ
形状としては本体がGOTOH SG318系、ペグボタンが同GOTOHの07風、ネジ穴位置が45度のロトマチック式密閉型ペグです。配列はL6でギア比は1:21と高い値を採用しており、数値上は細やかなチューニングに対応しています。
ですがトルクのムラが激しくチューニング後の安定感が今一歩で、高いギア比を活かしきれていないのが惜しいですね。チューニング時に弦が空回りするようにスカっと抜ける感触があるなど、ギア比以外は汎用安ペグ相当の品質と思われます。
交換する際はGOTOH SG318やSGS510系などがポン乗せ可能につき、真っ先にグレードアップを検討する部位となりそうです。
ロトマチックペグ関連記事はコチラ!
弦高&オクターブチューニング
弦高とオクターブチューニングは全く問題が無く、入手直後に調整無しですぐに使用出来るコンディションでした。
管理人が入手した個体のデフォルト弦高は6弦側が1.8mm、1弦側が1.6mmに設定されています。アタック感や音のハリも感じられる弦高につき、パーツ等を交換した際もデフォルト弦高を基準にすると良さそうです。
オクターブチューニングは12フレットを基準として、実音もハーモニクスも狂いなく調整されています。ブリッジサドルを前後に動かせる余裕が残っており、他のフレットを起点として調整することも可能です。
ハイフレットをあまり使用しない場合や逆にローフレットの使用頻度が低い場合は、プレイスタイルに合わせて再調整しましょう。
一人一本は欲しい弦高ゲージ!
ネック
ネック材はメイプルを採用し、指板にはテレンタンが使用されています。弦長は25 1/2″ (648mm) のレギュラースケール、フレット数は22、最終フレットがツバ出し仕様です。
ボディとの結合にはネックプレートを使用した、ボルトオンネック (デタッチャブル) となっています。ゆるやかな角度のついたアングルドヘッドで、ヘッドとネック本体の繋ぎ目はスカーフジョイントです。
サテン仕上げなのでスカーフジョイントの繋ぎ目もサラサラですが、境目が目立ちやすく好みが分かれるかもしれません。グリップは薄手のCシェイプとなっており、指板アールは16″ (406mm) で設計されています。
ネック幅は0F (ナット) が43mmジャスト、12フレットがおよそ51.5mm程度と薄くて細いネック形状ですね。ガッシリした握り応えこそ無いものの、速弾きやチョーキングがしやすいためテクニカルなフレーズの演奏に適しています。
トラスロッドはダブルアクションで反りを微調整しやすく、順反り方向にも逆反り方向にも変化することを確認しました。
ネックプレートは代替品無し
残念ながら特殊な取付けピッチなのでFENDER規格のネックトプレート (※) には交換出来ません!
(※) FENDER規格よりも取付けピッチが狭い
指板の感触とハイフレットへのアクセス
Custom Zone 2 HBはグリップ面がサテン仕上げですが、指板表面は塗装が施されているため手に伝わる感触の違いや温度差を実感です。オールグロスとは異なり、手の平や指の腹が触れる箇所はサラサラで指先のみグロスに近いヌトっとしたフィーリングとなります。
また純粋に室温の低い環境では、グリップ側よりも指板側の表面温度の方が冷たく感じるのも事実です。湿度が高い環境では指板側の方にブレーキがかかりやすく、思いのほか扱いに慣れを要します。
ハイフレットはボディのホーン部が抉れているため演奏しやすそうに見えますが、実際は22F仕様のストラトと大差ありません。そもそもネックプレートが長方形につき、ヒールカット仕様ではないことを頭に入れておきましょう。
指板はインレイ無しでポジションマークはサイドインレイ頼みとなる点にも留意してね!
ボディ
ボディ材は指板と同じテレンタンが使用されており、フラットトップに複雑なコンター加工が施された独自性の高い形状です。
正面からはシンプルなST風シェイプに見えて、大胆なエルボーカットやバックコンターが取り回しの良さをアシストします。
ネックジョイント付近もフラットに見えますが、よく観察するとホーンの頂点を結ぶ半円状に緩やかな傾斜が設けられているのです。
バックパネルは二か所とも落とし込み加工になっているなど、奏者の身体とフィットしやすいボディシェイプに仕上がっています。
ボディ厚は最大で約45.5mm、エルボーカットで最も薄くなる箇所が約27.1mm、バックコンターで最も薄くなる箇所が約20.0mmです。STタイプのボディシェイプを主としつつ、コンター加工はディンキー風に深く抉られていますね。
丸みを感じさせないヘッドシェイプとは性質がかなり異なり、フラットさと滑らかさを併せ持つボディ構造です。
日頃のお手入れですこやかな艶を保とう!
ナット
ナット材は Polymer Black (Plastic) を使用した弦溝加工済みのもので、実測値は43.0×8.0mmとなっております。加工済みナットをポン乗せしただけではなく、表面や側面の触感から察するに面取りや研磨が行われている模様です。
ただし弦溝の調整はノータッチの様子で、6弦と5弦の溝が浅く1フレットを抑えた際にピッチが1/4~1/3ほどシャープします。低価格帯ギターではよくある症状ですが、購入後すぐにナットの調整が不可欠ですね。
プラスチックナットに難色を示す方は、調整ではなくナット自体を交換しても良いでしょう。
フレット
フレットはスペック表に22 Jumboと記載があるのに対して、幅の実測値は2.6~2.7mm程度なのでミディアムジャンボ相当になります。材質はニッケルで加工は価格帯相当といったところで、粗や表面の研磨不足が目立ちました。
チョーキングをした際にゴリゴリと強い摩擦が発生する箇所があるなど、全体的に再調整が必須です。演奏時に触れる機会が少ない箇所であるとは言え、ハイフレットの6弦側は末端が切りっぱなしとなっています。
指で触れると皮膚を痛める恐れがある上に、ボディをクロスがけする際に接触すると繊維がボロボロになりそうです。やはり価格帯の限界を超えているギターなのか、華やかなルックスの皺寄せがフレットの品質に反映されているように感じました。
19フレット以降の6弦側末端は演奏中に触れる機会が少ない箇所だけれども、意図せずに触れたら危ないことに変わりないからね
ブリッジ
搭載されている Vintage Tremolo はアームバーがフルブラック仕上げである点を除き、最低グレード品となります。安ギターで多用される取付けピッチと弦ピッチが共に10.5mmのタイプで、サスティーンブロックも7mm前後の極薄仕様です。
立ち上がりの速さと軽さ以外にメリットが少なく、時期を見て交換するのが吉となります。交換を検討する際はFENDERやWilkinsonにMusiclilyなど、ギタいじで過去に取り上げた10.5mmブリッジレビューをご参照ください。
デフォルトの設定は非フローティングのベタ付けとなっており、スプリングはハードタイプを使ったハの字状3本掛けです。この手のブリッジはフローティングの安定感に欠けるため、ブリッジを交換しない場合は摩擦を低減させるパーツを併用しましょう。
安ギター音質改善!ギタいじ10.5mmトレモロブリッジ特集!!
安定感向上!ギタいじ摩擦低減パーツ特集!!
センター
管理人の個体は各ザグリの配置やジョイントの仕込みが良く、幸運にもセンターが綺麗に揃っています。ナット位置、ネックジョイント、各ピックアップザグリ、ブリッジザグリ、ブリッジ位置はほぼ狂い無しです。
各ザグリの掘り方等の木工はやや大雑把ですが、部品のレイアウトは安ギターとは思えぬほどに整っております。ナットやフレット、貧弱なパーツ類に手を加えることで、別物の楽器に化ける潜在能力を秘めていそうです。
調整や部品交換次第で大化けするかも……?
音質改善テクニック!
電装系
Custom Zone 2 HBの電装系はシンプルにまとまっており、コントロールは1Volume1Tone、ピックアップセレクターは3way仕様です。ポットは小型タイプで抵抗値は500kΩ、コンデンサは耐圧100V、静電容量0.047μF、精度誤差Jランク(誤差±5%) となります。
ピックアップセレクタースイッチはALPHA製を模した中国製コピー品で、使用されている部品類は総じて最低グレードに近いです。コンデンサがシングルコイル向きであるため、別モデルの余剰電装パーツを使って組まれていると予想されます。
アウトプットはサイドジャックのプレートマウント式、配線材はPUワイヤーのみシールド線で他は単芯のビニールワイヤーです。配線はハンダ付けしたというよりも適当に繋げただけという粗雑さは見逃せず、時期を見て全パーツ交換して良いと思われます。
シールド効果が見込めるのはバックパネル裏に貼られたアルミシールのみと、キャビティ内には導電塗料が塗布されていないです。現状でも気になるノイズ等は発生しておりませんが、ハードに歪ませる場合は別途ノイズ対策を行いましょう。
電装系パーツを交換する前に読もう!
重量
本体重量は実測3,578gと標準的な値で、STタイプやTLタイプと比較しても別段重くはないと感じます。ダブルアクションロッド搭載ネックにありがちなヘッド落ちも発生せず、立位で演奏する際の重心バランスは実に良好です。
滑りやすい化繊系ストラップを使用してもブレにくく、ボディのコンター加工と相まって勢いのあるアクションにも対応出来ます。人目を引くルックスと動きやすさをフル活用し、ステージパフォーマンス専用ギターに仕立てるのも一興です。
ストラップブロック or ロックピンで暴れよう!
サウンド
Dean Guitars Custom Zone 2 HBは典型的なロック向き安ギターのサウンドで、安ギター愛好家は音をイメージしやすいと思います。ピックアップを除きパーツグレードは新品1万円台のギターと差が無いため、アンプを通さない生音はザ・安ギターなサウンドです。
雑味のある音の散らばり具合や弦だけが鳴るようなペチペチしたアタック音に加え、ブリッジ由来のリバーブ感が残ります。パワフルな鳴りが魅力のYAMAHA REVSYARなどとは真逆のベクトルにつき、ピックアップのみにサウンドが支えられている状態です。
DMT Design ハムバッカー
ハムバッカーはオリジナルのDMT Designを2基マウントしており、高出力で歪みやすくパキっとしたハリのある音色が味わえます。マグネットやコイルターン数は公表されておりませんが、粒のそろったディストーションを作りやすい好印象なピックアップです。
DMT Design Bridge (ブリッジ)
ブリッジ用は直流抵抗値が約14.18kΩ、ポールピースピッチは10.4mmとなっています。歪ませたチョーキングの高音が伸びやかで、ブラッシングもジャキジャキと心地良く、歯切れの良いトーンチューニングです。帯域的には見た目に反してローが弱くミッド寄りにつき、低音が必要となる楽曲には不向きかもしれません。
DMT Design Neck (ネック)
ネック用は直流抵抗値が約8.02kΩ、ポールピースピッチは10.0mmジャストで設計されています。低~中音の力感以上にネック用としては高音を出しやすく、レスポンスの速さも上々です。
より快適なサウンドを目指すならば……?
両ポジション共にスピード感のあるフレーズと良く合う反面、サスティーンの物足りなさやリバーブ感による雑味の多さが否めません。改造派の方はパーツを選定する際に、ブリッジ周りでサスティーン改善を意識することが重要となります。無改造派の方はFENDER FATFINGERの併用や、スティーヴ・ヴァイ先生のティッシュ術でリバーブ感を改善しましょう。
スプリングハンガーやトレモロスプリングでサスティーンアップ!
ヘッドに装着するだけでサスティーンアップ!
スティーヴ・ヴァイ先生愛用のリバーブ感解消テクニック!
倍音特性 (A2/110.00Hz)
最後にピックアップの各ポジションにおける、倍音と周波数特性を計測しました。
弦はデフォルトと同じD’Addario EXL120 (.009-.042)、ピックはポリアセタール製のAria Pro II HYPER TOUCH P-HT01/080 YLです。倍音は周波数が分かりやすいように、レギュラーチューニングの5弦開放弦 (A2/110.00Hz) を確認しています。
1.DMT Design Bridge (ブリッジ)
出力の高さから低次倍音も高次倍音も満遍なく計測されていますが、全体的に奇数次倍音が強めの傾向です。非整数倍音も高めの値を示しているため、常に音程を伴わぬ空気感や雑味を内包しています。
2.DMT Design Neck (ネック)
奇数次倍音の強さと非整数倍音の大きさはブリッジ側と共通で、加えて部分的に高次倍音の出力が高めです。ネック用としては高音を出しやすいという主観と一致しており、太さと煌びやかを備えたサウンドを作成することが出来ます。
倍音特性波形の周波数目安
左端側の太長い山(中央灰色線)が基音110Hz 偶数次倍音:第2倍音(220Hz)、第4倍音(440Hz)、第6倍音(660Hz)…… →ナチュラルで暖かな傾向の響き、多いほど親しみを感じやすいという研究結果も 奇数次倍音:第3倍音(330Hz)、第5倍音(550Hz)、第7倍音(770Hz)…… →金属的で冷たくメカニカルな傾向の響き 非整数倍音:各倍音の谷などに含まれるが音程を感じさせない
周波数特性
周波数特性はDI直で同一フレーズを繰り返し、平均的なスペクトラムを算出しました。
a.DMT Design Bridge (ブリッジ)
中心周波数が500~800Hz付近の中音に集中しつつ、800~2kHzにかけて火花の散るような爆発力のある中高音です。6kHz以降の高音や超高音もシングルコイル並みの値ですが、400Hz以下の低~中音は極端なほどに低い値を示します。
b.DMT Design Neck (ネック)
100~400Hzにかけての低~中音は出力が平均して高く、400~2kHzにかけての中~中高音は出力が控えめです。5kHz前後から再び出力が盛り返し、高音や超高音はネック用ハムバッカーとは思えぬほど高い値を記録しています。
ダンカン師匠、もっと歪むハムバッカーをお願いします!
» 【全80種以上】Seymour Duncan ピックアップ 音質解析 一覧
当ブログでは80種以上のダンカン製PUを解析済み!キミの求めている音もきっと見つかるよ!!
サウンドデモ
まとめ
ボディも指板もネオンカラーに染まったインパクトが素晴らしく、脳を沸騰させるどころか爆散させる興奮に浸れるエレキギターです。低価格帯でありながらもカラー指板を採用しており、ルックスや付属品のケース、センター精度は他の安ギターを圧倒しています。
その分目立たない箇所や後から手を加えられる箇所はコストカットされているため、購入後は調整や部品交換などの作業が必須です。けれどもここまでド派手なデザインは中々お目にかかれず、調整次第では音と外観の両面で類稀なるオリジナリティを主張出来ます!
🏃💨今すぐ Dean Guitars Custom Zone 2 HB で脳汁をドバらせる🧠💦
Custom Zone 2 HB Florescent Pink
Custom Zone 2 HB Florescent Green
日本国内ではクロサワ楽器がDEANの輸入総代理店となっています!
並行輸入品は価格も納期も安定しないため、Custom Zoneの取り寄せについてはクロサワ楽器へ直接お問合せ下さい!
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