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ギタリストに必要な機能を一つに凝縮したLine 6の「POD Go(ポッド・ゴー)」は、現場に応じて柔軟に使える機能性と、使い勝手の良さ、そして最高レベルのサウンドクオリティを、手に入れやすい価格で実現したアンプ/エフェクト・プロセッサーです。これにワイヤレス機能が追加され、さらに便利になりました。今回は、この「POD Go Wireless」に注目していきましょう。
1998年に発表された「POD」は、Line 6の名を世界にとどろかせました。その第5世代にあたる「POD Go」は、2020年のNAMMショウで発表され、話題を呼びました。同社の最上位機種「Helix(ヒーリックス)」と同レベルのサウンドを、ノートパソコンくらいのサイズに収めています。サウンドのほか、特徴的なさまざまな機能もHelixから継承しています。
それでも「Helix」ではなく「POD」を名乗るのは、「使いやすさと低価格」を重視するPODの思想があったからです。直感的に操作できるような工夫をいくつも採り入れ、また一部の機能をカットしてシンプル化に努めたことで、多機能ながらストレスなく操作できるように設計されています。
ディスプレイの表示とフットスイッチの光り方が一致していることに注目。これはわかりやすい。
「第5世代」って言うけど、それまではどうだったの?ということで、第4世代までのPODをざっと見していきましょう。
初代「POD」は、宅録を意識したデスクトップ型です。2000年にアップグレードした「POD 2.0」は、それまで16種類だったアンプモデルが32にまで拡張されました。同年、ベース用も発表されます。
第2世代では、従来のデスクトップ型「POD XT」に加え、ラック型「POD XT Pro」、フロア型「POD XT Live」、エントリーモデル「Floor POD」など、PODは多様化していきます。
第3世代からギター用とベース用が統合され、またアンプモデルは歴代最大、合計100機種を越えました。デスクトップ型「POD X3」、ラック型「POD X3 Pro」、フロア型「POD X3 Live」らに加え、全てのモデリングを収録したソフトウェア版「POD Farm 2」がリリースされました。
第4世代では、それ以前のモデリングを全て一新、またアンプモデルを30ほどにまで絞り込んで、サウンドクオリティを向上させました。そして機種の選択肢が増強され、フロア型、ラック型ともに大中小の3タイプがリリースされました。また2013年には、DSPの強化を含むリフレッシュが施された「POD HD 500X」と「POD HD Pro X」が発表されています。
これまでLine 6の看板を背負ってきたPODでしたが、まったく新しいモデリングを取り入れた新製品「Helix(2015~)」に、その役を譲りました。以来、Line 6のアンプ/エフェクト・プロセッサーは、「ちょっと高額になっても、最高のソリューションを提供しよう」というHelix、「妥協のない音で、使いやすく低価格でありたい」というPOD、というコンセプトでそれぞれ展開されています。
「POD Go Wireless(左)」と「POD Go(右)」。見た目にはペダル上部のアンテナくらいの違いしかなさそうだが・・・?
「POD Go Wireless」には、従来のPOD Goにギターワイヤレス機能と、そのための便利な機能が追加されています。このワイヤレス機能について、ちょっと深堀りしていきましょう。
「POD Go Wireless」にはワイヤレス・トランスミッター(送信機)「Relay G10TII」が同梱されており、買ったその日からギターワイヤレスの解放感を楽しむことができます。ケーブルの束縛から自由になることが、どれだけギターライフを豊かにするのか。ギターワイヤレスでは、これを体験することができます。レコーディングも超快適で、PCとUSB接続させるならギターケーブルすら不要です。
左がわにボコっと空いている「ストレージウエル」に送信機を格納した様子。指を入れるゆとりもあるので、着脱しやすい。
本体背面には、送信機を収める「ストレージウエル(Storage Well)」が設けられています。送信機Relay G10TIIをすっぽりと格納でき、またその間は電池を消耗させないため、保管と運搬にたいへん便利です。
送信機の電池残量を表示する「バッテリー寿命インジケーター」、また送信機からの信号強度を表示する「RF信号強度インジケーター」が、メイン・ディスプレイで常に確認できます。充電切れや干渉といった、ワイヤレスならではの厄介事を未然に防ぐことができます。
◁PAGEとPAGE▷同時押しでGlobal Settingsメニューを呼出、Wirelessの項目から選択できる
送信機をインプットジャックに差し込んで10秒ほど待てば、「POD Go Wireless」は自動的にチャンネルを設定してくれます。しかし、このチャンネルは自分で選ぶこともできます。たとえばワイヤレスシステムを使うメンバーが何人もいるようなバンドでは、あらかじめ自分の使用するチャンネルを設定できた方が、よりスムーズに干渉のリスクを回避できるわけです。
デジタル方式のワイヤレスシステムは、電波さえ届けば受信機からどれだけ離れても、音質は劣化しません。しかしシールドを介した音に慣れた耳にとっては、そのクリアな音は過剰に感じられることがあります。「ケーブルトーン」はシールドによって高域がロールオフされた状態を再現する機能で、POD Go Wirelessでは10フィート(3メートル)、30フィート(9メートル)、オフを選択できます。これらは「グローバル・セッティング」からON/OFFできます。
ではここから、従来モデルPOD Goを含めた、「POD Go Wireless」の魅力をチェックしていきましょう。最上位機種「Helix」ゆずりの直感的な操作感と最高レベルのサウンドクオリティがあり、かつ音作りを深く追求できる奥深さも兼ね備えています。
メイン表示からは、各ブロックがどんな感じに並んでいるのかが分かりやすい。
「POD Go Wireless」の操作感は、「POD史上、最もカンタン」と言われます。スマホの画面並みに大きなフルカラー液晶ディスプレイには、ペダルやアンプを模した「ブロック」が並び、しかもフットスイッチのカラーがこれに対応します。上下に並ぶ二つのノブ、左右に並ぶ5つのノブにはスイッチも仕込まれており、押す/回すといった操作で音作りがどんどん進められます。また、Mac/Windows用の無償ソフト「POD Go Edit」を利用すると、PC上でサウンドメイクやプリセットのバックアップができます。
アンプヘッドなのか、プリアンプなのかも、描き分けられている。何という優しさ。
「ブロック」は、POD GoやHelixを扱ううえで重要なキーワードです。インプットとアウトプット、ワウやボリュームペダル、アンプやキャビネット、各種エフェクターまでひっくるめて「ブロック」と呼び、ブロックの選択と並べ替えによってプリセットを作り上げます。
「POD Go Wireless」には、3つのフットスイッチ・モードが用意されています。あらかじめ「Preset(プリセット)」で使いたいプリセットを選んでおいて、演奏中は「Stomp(ストンプ)」や「Snapshot(スナップショット)」を使うのが、スタンダードな使い方です。
「Stomp」は、コンパクトエフェクターを切り替える要領で、フットスイッチごとにブロックをON/OFFします。このほか、ゲインの高め/低め、ディレイタイムの長め/短めなど、パラメーターの切り替えをフットスイッチに割り当てることもできます。
「Preset」はフットスイッチごとに、プリセットを丸ごと入れ替えます。初心者の人でも、1A(クリーン)/1B(クランチ)/1C(ドライブ)/1D(ハイゲイン)といきなり完成された使える音が用意されているので、すぐに良い音で演奏できます。しかしアンプもエフェクターもまるごと入れ替えることになるので、切り替え時にはどうしても、ほんのちょこっとだけ音切れが生じます。
「Snapshot」は、同一プリセット内でのブロックのON/OFF、各ツマミの状態までをまとめて一発で呼び出します。音切れは一切ありません。エフェクターボードを組んだことがある人なら痛いほどわかる、たとえば「ディストーション+ロングディレイ」から「クリーン+コーラス+ショートディレイ」への切り替えで5か所も踏まなければならないような忙しさが、過去のものとなります。
「POD Go Wireless」は比較的求めやすい価格帯の製品ながら、最高級モデル「Helix」のサウンドが惜しみなく採用されています。確かにDSPを二つも持つ「Helix」に対し、「POD Go Wireless」は一つなので、モデル数はちょっとだけ絞られています。しかしそれでも必要十分以上に多く、サウンドのキメの細かさ、本物に近い質感と空気感はほぼそのままです(DSP:演算処理を行なう回路。PCでいうCPUに相当)。
アナログの再現を目指しつつも、かつてのPODにはデジタル特有の過剰なクリアさが残りました。しかし本機ではアナログならではのちょっとした濁り感ばかりか、接続したことで音質がちょっと劣化するところまで再現されています。アナログにこだわる人も、じゅうぶん以上に納得することができるでしょう。
PCとUSB接続することで、オーディオインターフェイスとしても利用できます。DAWとの連携で、「POD Go Wireless」で作った音をモニターしながらギターのドライ音を録音、録音したドライ音に後からあらためてサウンドメイクができる「リアンプ」という技までできて、便利です。ギターサウンドの演算処理をPCに押し付けなくて済むので、PCの処理が重たくなることもありません。
PCとは、大の仲良し。
プロフェッショナルな要求にも、応えることができます。センド/リターン端子は外部エフェクターを接続させるほか、AUX入力としても使用でき、またギターアンプのセンド/リターンと組み合わせた「4ケーブル・メソッド」が利用できます。
メイン出力はDIが無くてもPAに接続でき、それとは別に「アンプアウト」端子が使えます。作り込んだギターサウンドをライブ会場に鳴り響かせながら、ステージ上のギターアンプをモニターとして使用できるわけです。なお、この「アンプアウト」端子があるのは、POD Goシリーズだけです。
われらが「POD Go Wireless/POD Go」よりずっと小さくて、値段がちょっと高い「HX Stomp」、これを大型化した「HX Stomp XL」。どれもが「Helix」のサウンドを持っているのですが、どんなところが違うのでしょうか。二つの大きな違いを見ていきましょう。
HX Stomp
「POD Go」シリーズは拡張性こそあれ、コレだけ持っていけば何とでもなる「一台完結型」です。歴代PODシリーズ最高峰の製品であり、メイン機として使われることを想定しています。これに対して「HX Stomp」シリーズは、いちデバイスとしてエフェクターボードに組み込まれることをかなり意識しています。また「Helix」ユーザーがリハーサルなどに持ち出す、サブ機としての用途も想定されています。
Line 6 HX Stomp – Supernice!エフェクター
HX Stomp XL
「POD Go」シリーズは「カンタン操作」重視の製品です。「Helix」サウンドの多くを収録、ブロックの配列は直列のみで、自由に入れ替えられるブロックは4つまで、というようにできることは絞られていますが、そのぶん初心者でも迷わず使うことができます。「HX Stomp」シリーズは「Helix」のサウンドをぜーんぶ収録、8ブロックを自由にでき、途中からでも並列でつなぐことができるなど、沼のような奥深さがあります。
《小さくて便利、そして最高の音質》Line 6「HX Stomp XL」
以上、Line 6「POD Go Wireless」に注目していきました。最高グレード「Helix」同様のサウンドクオリティがありながら、ワイヤレス対応で、直感的に操作でき、一台でライブも録音もこなすことができます。操作のしやすさから初心者さんの最初の一台として強烈にお勧めで、プロレベルの音まで出せるので長期的に愛用できます。初心者でも扱えますが決して初心者向けではなく、これまでのPODを愛用してきた人がアップグレードの意味で持ち替えるのにも適しています。ショップや展示会で、ぜひ体験してみてください。
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