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若かりし頃のエッジ:一番右
エッジ(The Edge)氏は、ロックバンド「U2」のギタリストです。1980年のデビュー以降、政治的な信条と渇愛を正面からストレートに力強く歌い上げるU2のスタイルは、世界中の人々を魅了して止みません。エッジ氏は、このモンスターバンド「U2」のサウンドをデビュー当時から今に至るまで支えています。
U2のヒットソングを多数輩出するなど作曲家としても突出している一方、ギタリストとしての最大の功績は、ディレイ・エフェクターを使った空間的なギター・プレイです。付点8分音符のディレイを利用したパーカッシブでドライブ感あるフレーズはそれまでのディレイの使い方の概念を一新したもので、90年代の日本のロックにもエッジ氏からの影響と見られるディレイの使い方をしているバンドが数多く登場、シーンのギタリストに多大な影響を与えました。
1961年8月8日 生 英ロンドン
本名はデヴィッド・ヒューウェル・エヴァンス(David Howell Evans)。
1976年、高校の掲示板に貼られたメンバー募集の貼り紙をきっかけに集まったメンバーが現在の「U2」です。1979年の限定シングル『U2:3』がアイルランド国内で人気を得て、1980年にアイランド・レコードと契約を結びメジャーデビューを果たします。
U2 – Pride (In The Name Of Love)
音が幾重にも重なってくる、不思議なコードプレイ。これこそがエッジ氏の必殺技「付点8分ディレイ」です。なお、この曲で人間が弾いているリズムは主に8ビートです。
U2の作品は、順調に支持を伸ばします。1983年の3rd「WAR(闘)」で初の全英1位を獲得、1987年の5th「The Joshua Tree」では英米その他各国で1位となり、名実ともに世界的なロックバンドとなりました。この作品以降、アルバムをリリースすれば各国で1位、という無双状態が長らく続きました。アルバムの総売り上げは1億7千万枚を超え、グラミー賞獲得数22作品という記録はロックバンド史上最多です。
その間、アイリッシュなサウンドを出発点にブルースやゴスペルなどアメリカンな要素を取り入れたり、デジタルロックに傾倒したりとさまざまな模索を続けます。現在では原点に回帰しており、他の何者でもないU2のサウンドを武器に、精力的な活動を続けています。
U2 – With Or Without You
どう聞いてもシンセの音にしか聞こえないこの伸びる音、コレもエッジ氏の仕業です。「E-Bow」という道具により、弦振動を持続させているのです。
エッジ氏のプレイは、エフェクターを絡めたカッティング、アルペジオ、単音のメロディなどを中心とした緻密なプレイが特徴的です。多種多様なエフェクターを駆使し、様々な独創的なサウンドを作り出しています。氏の独創的なプレイスタイルは、デビュー当時のギターヒーローたちがディストーションサウンドと技巧的なギターソロを持ち味としていたことを受け、彼らとは違うアプローチを模索した結果だと伝えられます。
“I’m a musician. I’m not a gunslinger. That’s the difference between what I do and what a lot of guitar heroes do./The Edge”
(和訳:私はミュージシャンなのであって、ガンマンではありません。それが私と他のギターヒーローとの違いです)
ディレイタイムを楽曲のテンポに対する付点8分音符にセッティングしたディレイは、氏の代表的な演奏方法です。ディレイ音を楽曲のリズムと巧くかみ合わせることで、エッジ氏はこれまでになかったさまざまな表現方法をあみ出しました。後に多くのフォロワーが真似をしました。
アナログでは多少の音質変化が避けられなかったところ、デジタルディレイは演奏した通りの音をほぼそのまま再生させることができます。これを利用すれば、自分の演奏とディレイとの組み合わせで新しいフレーズを作ることができたり、ディレイと合奏して分厚いサウンドを作ったりできるのです。付点8分ディレイを使うと何が起こるのか、1例を挙げてみましょう。
ディレイタイムが付点8分音符になるようセットし、ディレイが1回だけ返ってくる状態で、スタッカートで「ミレドミレド・・・」と弾きます。すると、ディレイとの組み合わせによって倍速の「ドレミドレミ・・・」というフレーズになるのです。不思議ですね。なお、同じ要領で「ドレミドレミ・・・」と弾くと、倍速の「ミレドミレド・・・」になります。
付点8分音符の長さは、1拍(4分音符)の4分の3です。テンポ(BPM)が決まっていたら、付点8分音符のディレイタイムを算出することができます。
《公式》付点8分音符のディレイタイム = 60 ÷ BPM × 0.75
例えばBPM=120ならば、付点8分音符のディレイタイムは
「60÷120×0.75=0.375」
で0.375秒(375msec)です。タップテンポ機能が発明される以前なら、ギタリストはいつも計算をやらされるか、「TIME」ノブを全集中で回してちょうど良いところを探らなければなりませんでした。
ディレイにタップテンポ機能があるなら、付点8分のタイミングでスイッチを踏めばOKです。マルチエフェクターの多くにも同じような機能が備わっているので、ぜひチェックしてみてください。
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エッジ氏のギターサウンドは、ピッキングの音から独特です。氏はドイツ「ヘルディム(Herdim)」製、1.1mm厚のナイロンピックを使用、これを逆さに構え、ツブツブになっている滑り止め部分が弦に当たるようにピッキングしているのです。このピッキングによって、普通に弦を振動させた音にチャイムのような高音が加わった、独特のキラッキラなサウンドが得られます。
エッジ氏ご愛用品の1.1mmは青。厚みによって色が違います。
エッジ氏のリフには、高音弦でカッティングやアルペジオをしながらも、4弦開放が鳴りっぱなし、といった例が見られます。ケルトやゲールといったアイルランドの音楽には「アンビエント・ノート」という概念があり、バグパイプなどでずーーっと同じ音を出し続けます。エッジ氏は自分のルーツにあるこうした要素をバンドアンサンブルに取り入れている、というか自然に入ってしまっているわけです。
U2 – I Still Haven’t Found What I’m Looking For (Official Music Video)
さまざまな音が飛び交う中で、4弦開放のD音が鳴り響きます。
エッジ氏はビンテージのエレキギターを好んで使う他に、非常に多くの種類のエレキギター・エフェクター・ギターアンプを使用することで知られています。ディレイだけでもElectro Harmonix Deluxe Memory Man(初期モデル) → TC Electronic TC2290 → KORG SDD-3000 → AMS Digital Delayと年代毎に変移しています。
エレキギター
エッジ氏はデビュー以降しばらくエクスプローラー1本で頑張っていた時代があり、ファンにとってもご本人にとってもエクスプローラーは特別なギターになっています。
ギターアンプ
VOX「AC30」で最も評判が良いのが1964年製だと言われます。エッジ氏はギターの信号を分配し、何台ものアンプを切り替えて使っていました。
エフェクター
The Edge Strat
2016年から登場したエッジのシグネイチャー・モデル・ストラトキャスター「The Edge Strat」は、フェンダーUSA製。
ブラックカラーのアルダーボディ、モダンCシェイプのネックは柾目とグレードが高く、メイプル指板は9.5インチR、21Fミディアムジャンボフレット、2点支持のシンクロナイズド・トレモロ、70年代スタイルのラージヘッド、そしてハードケースが付属します。
ピックアップはブリッジのみ DiMarzio FS-1 、フロント/センターは Custom Stagger Fat 50’s を搭載するなど、他フェンダー・ラインナップにはないユニークな仕様となっています。
The Edge Stratを…
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「ジ・エッジ・デラックス」は、エッジ氏のテイストに合わせて氏のサウンドを再現させるシグネイチャー・アンプです。氏の愛用する1957年製デラックスを出発点にアップデートが施されており、U2のサウンドに欠かせないクリーンやクランチを響かせることができます。オールチューブの12Wで、15W12インチのCelestion製「Blue」スピーカーを1基搭載、低音へのレスポンスを強化した調整回路が組み込まれるほか、ボリュームノブの回し具合が絶妙に調整され、「The Edge」のフロントパネルバッジが付けられます。
1980年のデビュー時のU2には、バンドが将来世界を制することを思わせる要素はほとんど見あたらなかった。実際、本作にあるのは野暮ったいかもしれないが魅力的な、成人したばかりのバンドの切迫感だった。ボノの視点は、まだじれったいほど曖昧で素朴で、その鼻につくほど議論好きの傾向がまだ目立っていないことは明らかです。
1980年リリース作品
U2、2枚目のアルバム。
1981年リリース作品
独特の乾いた質感を持つ3枚目のアルバムで初期の最高傑作。
「血の日曜日」事件について書かれたサンデイ・ブラッディ・サンデイ 、ニュー・イヤーズ・デイ など名曲が収録されています。
1983年リリース作品
U2 – Sunday Bloody Sunday
4枚目のアルバム。名曲「In the name of love」など収録
1984年リリース作品
ブルース、ソウル、R&B、ゴスペルといったアメリカン・ルーツ・ミュージックへと接近、U2をワールドワイドなスタジアムバンドへ導いた大ヒット作。グラミー賞で「最優秀アルバム賞」「最優秀ロック・グループ賞」を獲得し、U2の最高傑作として名高いロック史に残る永遠の名盤。
アメリカ議会図書館に2013年分として永久保存することが決定されました。
1987年リリース作品
U2 – Where The Streets Have No Name
U2のアルバムの中では最も実験色が強く、エレクトリックなサウンドが全編に渡って繰り広げられる
2000年リリース作品
エレクトロ路線での迷走から原点回帰とも言えるべきバンドサウンドで復活した、21世紀のロックンロールを感じさせるアルバム。疾走感が心地よい「Vertigo」、2曲目,3曲目、本作のハイライトともいえる「City Of Blinding Lights」など聞き所満載のアルバムとなっています。
2004年リリース作品
U2 – City Of Blinding Lights
U2の14枚目。前作「Songs of Innocence(2014)」が故郷アイルランドでの経験、愛や喪失に触れた個人的なアルバムだったのに対し、これの続編というコンセプトでボノ氏(ボーカル)の心に最も近い人々や場所に宛てて書いた手紙として制作されました。曲ごとにプロデューサーを変え、客演プレイヤーも多く、世界的な大物バンドの名にふさわしいバリエーション豊かな構成です。
U2 – You’re The Best Thing About Me (Official Video)
デビュー以来40年近く、ずっとこの4人。バンドの音は変わったところも変わらないところもある。U2サウンドは今も健在。
U2の音源を…
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