Rによるテキスト分析を始める人のための、日本語によるquantedaの使用法の説明。メディア分析を事例とし、サンプルデータは朝日新聞の2016年の政治および外交に関する記事。本稿は、2017年に早稲田大学および神戸大学で開催したワークショップの資料が元になっている。量的テキスト分析の概要については、『日本語の量的テキスト分析』がある。
2020年5月17日に追記:より洗練された日本語の前処理に関しては、『経済学における量的テキスト分析入門』を参照すべし。
quantedaは、London School of Economics and Poltical Science(LSE)のKenneth Benoitが、2012年頃から欧州連合(EU)の支援を受けて開発を始めた社会科学向けの量的テキスト分析のRパッケージ。現在は、日本人やアジア人を含む、国際チームによってオープンソースで開発が進められ、欧米の政治科学者の間で人気を集めている。
なお、quantedaはquantitative analysis textual dataを短くしたものであり、カタカナでクオンティーダとも表記できる。
- Rのパッケージとの互換性を重視し、既存の日本語向けのテキスト分析ツールなどよりも柔軟な統計分析を行うことができる。
- テキストの内部処理はユニコードに準拠するため、あらゆる言語で利用でき、特に、日本語と中国語では形態素解析を用いずに文の分かち書きを行える。
- プログラムの中核がC++で実装されているため、同等の処理をPythonで実装されたシステムの半分の実行時間とメモリー使用量で行うことができる。
- 外部のプログラムやライブラリーに依存しないためインストールが容易で、Windows、Mac OSおよびLinux上で動作する。
quantedaと他のRのテキスト分析パッケージの違いについてはJohns Hopkins UniversityのLen Greskiによる説明がわかりやすい。