いよいよ世界中で「働かない人」が激増中…それが経済に与える「深刻すぎるダメージ」

世界各国で、コロナ危機で離職した後、あえて仕事に復帰しない、あるいはコロナ危機をきっかけに自ら会社を辞める、大量離職と呼ばれる現象が発生している。実はこの問題と、コロナ後に顕著となったインフレには密接な関係がある。

あらゆる階層で仕事を拒否する人が増えている

米国では、コロナ危機によって多くの従業員が解雇され、失業率が一気に跳ね上がったが、危機からの立ち直りもはやく、経済はすでに回復軌道に戻っている。もともと米国は、社員の解雇や雇用がドラスティックに行われる国であり、いつもなら、景気回復期待の高まりと同時に、失業者が現場に戻ってくるのが常であった。

ところが今回は様子がだいぶ違っている。

コロナからの景気回復期待が高まり、企業は多くの人員を雇用しようと採用活動を強化しているが、解雇された労働者がなかなか仕事に戻ってこない。このため企業は、より高い賃金を従業員に提示する必要に迫られており、これが人件費の高騰という形でインフレを加速させている。だが、高い賃金を提示しても、職場の環境が良くない企業の場合、容易に人は集まらず、米国の労働参加率は横ばいが続く。

〔PHOTO〕iStock
 

こうした動きがもっとも顕著となっているのが、いわゆるエッセンシャルワーカー(ライフラインの維持に欠くことのできない業務に従事する労働者)の職場である。エッセンシャルワーカーの場合、実際に現場に行かなければ業務にならないことがほとんどであり、感染症が発生した場合でも出勤が求められるケースが多い。

一部の職場では十分な感染対策が行われなかったことから、コロナをきっかけに多くの労働者が、こうした業務についてリスクが高いと認識するようになってしまった。このため、相当な金額を提示しないと職場に人が戻ってこないのだ。

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