日本のWebサイトが「アメリカのサイト」に勝てない「決定的な理由」
コロナ禍で明らかになったITシステムの問題点新型コロナウイルス対策接触確認アプリ「COCOA」、東京証券取引所システム、新型コロナウイルスワクチン接種の予約システム……など、コロナ禍において、日本のITシステムに次々と障害が発生し、報道されたのは、記憶に新しい。
上記は有名な例だが、じつはこれ以外にも多数の障害が発生している(参考「情報システムの障害状況一覧」、IPA独立行政法人情報処理推進機構)。この背景には、ITシステムの機能以外の「非機能要求」と呼ばれる性能やセキュリティなどの品質が、日本は世界に比べて弱いという問題があるという。
一般のユーザーにとっては身近なWebサイトやモバイルアプリの遅延として実感することが多いITシステムの品質問題。Webサイトのパフォーマンス分析の専門家で、株式会社Spelldata代表の竹洞陽一郎氏が、日本のWebサイトがアメリカのサイトに勝てない「決定的な理由」を解説する。
アプリの起動が遅いのは「回線」のせい…?
私がある家電量販店で買い物をした時の話です。そのお店は会計の際に、専用のモバイルアプリを起動してポイントを付与してもらうのですが、アプリを起動して待っていても、なかなか画面が表示されません。レジを担当した店員の方が苦笑いと共に「携帯の通信が悪いみたいで」とおっしゃいました。
このような表示速度の問題を携帯会社の通信品質を理由にしている場面に出くわした経験はありませんか?
そんなときは、同じ場所からブラウザで、気象庁などの官庁のWebサイトか、私が経営している会社のWebサイト(https://spelldata.co.jp)にアクセスしてみてください。実にすんなりと表示されるはずです。
これは何を意味しているかというと、家電量販店のモバイルアプリの遅延は、携帯会社の回線の品質の問題ではなく、そのアプリそのものが問題ということです。
スマートフォンでWebサイトやモバイルアプリを利用する際に反応が遅いのは携帯回線のせいだという予想は、実は間違っている可能性が高いです。今は4Gから5Gへの過渡期なので、問題がいくつか生じてはいるものの、基本的に日本の携帯回線の品質は世界と比べても高いからです。