2024.12.24

リニア調査ボーリングがすぐ終了する違和感…川勝前知事が実は「正しかった」かもしれない

静岡県が問題にする山梨県で行われる掘削

JR東海は12月6日、突然、リニア山梨工区の高速長尺先進ボーリング(調査ボーリング)を山梨県と静岡県境から静岡側へ10メートル入った地点でいったん終了することを発表した。

JR東海は来年早々から先進坑を掘り進めた上で、あらためて静岡県内の調査ボーリングに着手したい意向だ。

しかし、今回の専門部会で、静岡県は、先進坑が県境まで300メートル以内に達する前に、リスク管理などで県の合意を得ることをJR東海に求めた。

それはなぜか。静岡県はそもそも、山梨県内で行われる先進坑トンネルの掘削を問題にしていたからである。

ほぼ2年前の2022年10月13日、静岡県はリニア工事に関する新たな協議を求めるとした文書をJR東海に送りつけた。

山梨県内の先進坑トンネル掘削で、距離的に離れていても、高圧の力が掛かり、静岡県内にある地下水を引っ張る懸念がある。静岡県内の湧水への影響を回避しなければならない、ひいては、「静岡県境へ向けた山梨県内の工事をどの場所で止めるのか」を決定する必要があるとしていた。

12月17日の静岡県専門部会(筆者撮影)
 

この問題を地質構造・水資源専門部会にかけて、科学的・工学的な議論を進めるため、山梨工区の工事をどの時点で止めるのがよいのか、JR東海に具体的な案を出すように求めていた。

この文書を受け取ったJR東海は理論上、トンネル掘削することで高圧の力が掛かり、トンネルに向けて地下水を引っ張ることはありうるから、静岡県の要請を頭から否定できなかった。

ただ断層帯がない限り、湧水量は極めて微量であり、さらに締め固まった地質では引っ張り現象が起こらない可能性のほうが高いと考えた。

県境に向けて約300メートルを越えれば、山梨県内の断層帯にぶつかる。だから、湧水の可能性は確かにある。

実際には、調査ボーリングをやってみなければ、湧水があるのかどうかもわからなかった。

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