結局、参謀は将軍にはなれないのか。誰もがそう思い始めた矢先、例の男が計ったように存在感を増してきた。菅が「時間切れ」となる総裁選まで残り4ヵ月。三たび天下を取るには十分な時間だ。発売中の『週刊現代』が特集する。
絶好調の独演会
「ムリとはなんだ、ムリとは! ええ!」
官邸に菅の怒声が響くことが、4月から明らかに増えている。以前はもっぱら官僚たちが標的だったが、最近は閣僚相手でもお構いなしに怒鳴る。
議員や官僚がひっきりなしに菅のもとを訪れる。しかし菅は孤独だ。誰かが恐る恐る「それは難しいかと……」と反論しようものなら、罵声が飛ぶ。
人心が離れてゆく。菅はますます苛立つ。
いま、菅の頭にはワクチンしかない。ワクチンを打ちまくらなければ、この窮地は打開できない。東京五輪も開けない。
だから、全国から逐一状況を報告させる。遅いところは締め上げる。ほら、「7月には絶対に接種を終わらせます」という自治体が増えてきた―。
(やればできるじゃないか。その調子でお前ら、寝ずにやるんだ。こっちだって寝てないんだ)
明らかな無茶振り、そして忖度の強要だが、意に介さない。