2018.06.25

福島第2原発も廃炉に…ニッポンにはいま、「廃炉庁」が必要だ

国が責任を負う以外、道はない

東電、福島第2も廃炉表明

東京電力ホールディングスは福島第2原子力発電所(福島県楢葉町、富岡町)の原子炉4基を廃炉にする方針を表明した。

6月14日に同社の小早川智明社長が福島県庁で内堀雅雄知事と面会した際、知事が第2原発の廃炉を求めたのに対して、「4基全て廃炉の方向で検討に入っていきたい」と述べたという。

東電は事故を起こした福島第1原発の廃炉作業を進めてきたが、第2原発について「廃炉」を明言したのは初めてのことだ。

 

福島第1原発事故後、第2原発は運転を停止してきた。この日の面会で小早川社長は「根強い風評、帰還が進まない況を踏まえると、(第2原発の)あいまいな状況自体が足かせになっている」と述べたそうだ。

内堀知事は面会後の記者会見で、「多くの県民が県内の原発全基を廃炉にしてほしいと訴えてきた。今日、明確な意思表示をされたことを重く受け止めている」と話した。

知事は「重要なスタートだ」と評価したが、大手新聞などメディアは事故後7年たっての決断に「遅すぎる」と批判した。

県民感情を考えれば当然の批判とも言えるが、東電には第2原発の廃炉を明言できなかった事情がある。

廃炉には膨大なコストがかかる

第2原発の廃炉方針を示せば、原発設備の損失処理などが必要になり、その負担が一気に東電にのしかかることになる。

そうでなくても第1原発の廃炉と賠償には少なくとも21兆円の費用がかかるとされており、しかも、本当にその金額で収まるのかさえ見通しがたっていない。

結局は電気料金を通じて利用者や国民にツケが回るのだが、東京電力という民間会社の責任で事故処理と廃炉を行わせようとする事にもはや無理があるのだ。

原発を新設して稼働させたのは原子炉ごとにステップ・バイ・ステップだったわけだが、東電は福島第1の6基に加えて、福島第2の4基の合計10基を同時に廃炉させる事になる。

時間差なしにいっぺんに10基の廃炉費用が通常の決算にのしかかる事になれば、通常の電力会社では経営が成り立たない。

 

東京電力の組織のあり方が問われていた2013年ごろには、自民党内から「廃炉庁」を設置すべきだという声が挙がった。

廃炉庁はもともと英国にある組織にヒントを得たもので、政府(廃炉庁)が責任を負って廃炉を進めるものの、廃炉作業自体は民間に事業委託する形で行う。

英国流のやり方を参考に日本独自の廃炉庁を設置すべきだというアイデアが持ち上がったのだが、その後は雲散霧消したままだ。

国が廃炉に責任を持つ姿勢を明確にせず、東電任せにしたために、福島第2原発の廃炉表明に7年もかかったと見ることもできる。

いや東電として廃炉方針を表明したからといって、実際に廃炉までの道筋が決まったわけではない。その膨大な費用をどうするのか、最終的に電力料金にすべての費用を上乗せしようとすれば、電気料金は益々上昇することになる。

原油価格の上昇によるコストの増加で、電力各社は値上げを余儀なくされているが、そんなものでは済まない可能性が出てくる。

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