ついに日本の「人口」が減少し始めた〜週休3日も視野に、抜本的な発想の転換を
これからの日本が直面する問題
2月26日、2015年国勢調査の人口速報値が公表された。
2015年10月1日時点で、日本の総人口(外国人を含む)は1億2711万47人であり、5年前に比べて94万7305人(0.7%)減少した。日本の人口が減るのは、1920年の調査開始以来、初のことである。
世界での順位は10位と変わっていないが、これまでの予想通り、人口減少局面に突入したことが数字で明確に知らされることになった。
私は、いわゆる「団塊の世代」、つまりベビーブーマーであるが、兄弟の数が5人以上というのは普通のことであった。学校では、1クラス60人などといった状態で、いつも競争を強いられていたような記憶がある。人口減少社会が到来したというのは、その時代を生きてきた者にとって、まさに隔世の感がする。
戦後の日本は、1億人が生きていくために、懸命に経済成長を追求した。パイを増やし、富を増やすことに明け暮れたと言ってもよい。頑張って働いて豊かになり、マイホームを購入することが皆の夢であった。住宅の供給が需要に追いつかなかった時代に、「多摩ニュータウン」のような巨大な団地が誕生したのである。
ところが、今や人口が減少する時代となった。少子化で、出生数よりも死亡数の方が多くなり、人口の自然減が拡大していく。住宅が不足するどころか、過剰な状態になっていく。たとえば、一人っ子どうしが結婚し、あらたにマイホームを作るとすると、双方の親が死んだときには、親の家二軒が余ることになる。
全国の「空き家」は今や820万戸にのぼり、その1割の82万戸が東京にある。東京都も、空き家対策に本格的に取り組む体制を整えたが、これこそ、人口減少社会が直面する象徴的な問題である。
空き家を地域社会の重要な資源と考えて、コミュニティの活性化に役立てる視点が必要である。行政が関与して、民間と共同で、公共の利益のために使う道を模索すべきである。