東京都江東区豊洲の液状化問題を都議会で何度も追及している日本共産党の清水ひで子都議が本誌にこう証言した。
「地震直後、『豊洲で液状化現象が起きた』との情報が入り、都の都市整備局に新市場建設予定地の視察を申し入れたら、なぜか『1週間待ってくれ』と言われました。許可が下りてからも『現場で水や土を持ち帰らないでほしい』と再三、念押しされた上、視察には長靴を用意していったのですが、現場で『これに履き替えてほしい』と長靴を渡されました。靴に付着した泥を持ち帰られたくなかったのでしょうね」
豊洲は大震災で大液状化現象を引き起こした。周知の通り、豊洲は石原慎太郎都知事(78)が、築地市場の移転先に選んだ土地である。だが、そもそもこの予定地は、二つの大きな問題を抱えていた。
一つは、予定地が東京ガスの工場跡地であり、土壌と地下水の深刻な汚染が明白であることだ。'02年に行われた都環境局の調査によれば、敷地全体がヒ素、水銀、六価クロム、ベンゼン、シアン、鉛など様々な疾病の原因となる化学物質や重金属で高濃度に汚染されていた。
もう一つの問題が液状化だった。液状化は地下水を含んだ緩い砂の層が、地震で締め固められて水が噴出する現象だ。
本誌は'09年6月5日号で二つの問題について報じ、日本環境学会の坂巻幸雄・元通産省地質調査所主任研究官の「豊洲予定地の地盤が液状化の兆候を見せていることは明白」という懸念を紹介していた。その懸念が現実のものとなったのだ。
右上の写真は、震災直後の3月13日に撮影された新市場建設予定地だ。液状化によって大量の水が流れ出た跡がくっきりと残っている。「敷地内のおよそ90ヵ所でこの現象が見られた」(共産党都議団)が、4月15日に同じ場所を訪ねると、クレーターのようにサークル状に土が盛られ、その中に土嚢(どのう)が置かれていた(右上の写真)。まるで液状化が起きた事実を隠蔽しようとしているかのようだ。
豊洲の汚染対策費用に関する「公金支出金返還訴訟」「予算執行差し止め訴訟」の原告で、一級建築士の水谷和子氏は「豊洲の液状化現象は極めて危険」と言う。