2024.01.02

「大恥かかせやがって!」医学部9浪を経て58歳母をバラバラ死体にした娘が告白する「地獄の高校三者面談」

2018年3月、滋賀・守山市野洲川の河川敷で、両手、両足、頭部を切断された体幹部だけの遺体が発見された。遺体は激しく腐敗しており、人間のものか動物ものかさえ判別が難しかったが、その後の捜査で、近所に住む58歳の女性のものと判明する。

女性は20年以上前に夫と別居し、31歳の娘と二人暮らしで、進学校出身の娘は医学部合格を目指して9年間もの浪人生活を経験していた。

警察は6月、死体遺棄容疑で娘を逮捕する。いったい二人の間に何があったのか――。

獄中の娘と交わした膨大な量の往復書簡をもとにつづる、驚異のノンフィクション『母という呪縛 娘という牢獄』。2022年12月の刊行以来、大きな反響を巻き起こしてきた本作が、2024年1月1日深夜1時05分より、『日本怪奇ルポルタージュ』(テレビ東京)にて放送された。

本記事では母を殺害した娘・髙崎あかり(仮名)が強いられた、想像を絶する「受験生活」の記録を取り上げる。

「母という呪縛 娘という牢獄」(講談社)12月14日より発売

「舐めた口を利きやがって!」

「はっきり言って、あかりさんのこの成績で医学部医学科は非常に厳しいです。志望校の再考をお勧めします」

三者面談で、模試のデータを見せながら担任は切り出した。

「ご覧ください。看護学科はA判定です。現役合格は間違いないでしょう」
「いや、でも、娘は……」
「あかりさんは」

あかりは息を潜め、担任をにらむように見つめていた。この面談が終わった後、母に何を言われるかわからない。黙れ、黙ってくれ!

「そもそも、医師を目指すのにふさわしくありません」

車に乗り込むと、案の定母は激昂した。

「何なのあの担任! あかちゃんが医者にふさわしくないって失礼なっ! たかが高校教師風情で舐めた口を利きやがって!」

空気がピリ、ピリと震え、フロントガラスが割れてしまいそうだ。

「そもそもあかちゃんがあんな恥さらしな成績しか取れなかったからでしょうがぁっ! バカタレがぁっ! お母さんに大恥かかせやがってえぇっ! ちゃんと勉強しろおぉっ!」

母の咆哮に耳が痛くなり、涙が出た。

獄中の娘と著者が交わした往復書簡

〈世間一般の母親も、こうやって娘に接するのだろうか。成績が良くないと怒鳴ったり、手を上げたりするのだろうか。

生徒の学力は試験の得点で測られる。それ以上でもそれ以下でもないのだ。数字は嘘をつかない。担任は事実に基づいて客観的な見解を述べているに過ぎないのに、なぜ母は受け入れないのだろう。担任に申し訳ない気持ちになる〉