「FIFTY FIFTY」と所属事務所との“泥試合”の行方…なぜK-POP界では法的紛争が後を絶たないのか?

デビュー4ヵ月で米ビルボード・メインチャート入りするなど、グローバルなシンドロームを巻き起こした4人組ガールズグループ「フィフティーフィフティー(FIFTY FIFTY)」が所属会社との法的紛争でいきなり危機を迎えた。

人気に火がついたばかりのタイミングで生じた今回の出来事は、所属事務所とアーティスト双方に致命傷を負わせるだろうと、K‐POP界は懸念を示している。

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「中小ドル」の奇跡

フィフティーフィフティーは独立レーベル「アトラクト(ATTRAKT)」所属の4人組ガールスグループで、22年11月にデビューを果たした。デビューアルバムはこれといった成績を得られなかったが、今年2月に発表したデジタルシングル「キューピッド(cupid)」がグローバルヒットし、一躍K-POPシーンの注目株となった。

キューピッドは、ディスコ風の少しスローテンポなダンス曲で、そのふわふわとしたメロディーが、今世界を席巻しているレトロ旋風にハマる雰囲気を出している。特に、速さを調節したスピードアップ(SPEED UP)バージョンがTikTokのチャレンジ動画のBGMに使われたことで、米国や英国などで先に人気の火が付いた。

キューピッドは3月28日、米国ビルボード「ホット100」に100位でランクインして以来、7月1日現在まで、なんと14週連続で100位圏内にとどまり、デビューから最も早くビルボードメインチャート入りを果たしたK-POPアーティスト、最も長くメインチャートにチャートインしたK-POP女性アーティスト、という記録が彼女たちによって塗り替えられた。

錚々たる先輩たちを追い抜く記録を出した彼女たちは、「中小ドルの奇跡」というニックネームを得てK-POPシーンで将来が最も注目されるアーティストへと浮上したのだ。「中小ドル」とは、「中小プロダクション所属のアイドル」という意味だ。

HYBE、JYP、SM、YGの4大プロダクションが莫大な影響力を持っている現在のK-POPシーンにおいて、弱小プロダクション所属のアーティストの成功は至難の業といわれている。

今や世界的人気を得たBTSも、2013年のデビュー当時は「BIG HIT」という新生プロダクション所属ゆえに、「中小ドル」「土のスプーン・アイドル(土のスプーンとは庶民層以下を意味する若年層の新造語)」と言われた。デビューしてからもラジオ出演さえ容易ではなく、そもそもデビューの舞台も誰かの「穴埋め」として立たせてもらったというエピソードは有名だ。

 

だが、周知のとおり、BTSは中小ドルの限界を克服し、K-POPというカテゴリーを飛び越えて世界的なアーティストとして成長、BTSの生みの親であるバン・シヒョク氏が率いるBIG HIT(現HYBE)も、韓国を越えて世界的なエンターテインメント企業として成長した。

デビューと同時に世界中から注目を集めたフィフティーフィフティーも、もしかしたらBTSのように世界的なアーティストへと成長するかもしれないという期待が、K-POP界にはあった。しかし、デビュー7ヵ月目の今年6月に所属事務所との「まさかの紛争」が起きたことで、彼女たちへの期待は憂慮へと変わってしまった。

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