50歳からでも「格好いい肉体」を手に入れられる…じつは若者とはまったく違う「中高年のトレーニング法」
「最近、血圧が高くなってきた」「運動しても昔みたいに痩せない」――体調や体型に悩みを抱える中高年は実に多い。かつてのような健康で若々しい体を手に入れるにはどうすれば良いのだろうか。
そんな疑問に答えてくれる1冊が『50歳からの科学的「筋肉トレーニング」』だ。中高年の体の中で起こっている変化などを解説し、科学的な根拠に基づいたトレーニング方法を一挙紹介している。本稿では、そんな"中高年必携"の1冊の中から、読めばトレーニングへの考え方がガラリと変わる、「科学的なメソッド」について紹介している部分を特別に抜粋してお伝えする。
(※本稿はフィンク・ジュリウス『50歳からの科学的「筋肉トレーニング」』を一部再編集の上、紹介しています)
「生化学的ストレス」で筋肉を太くする
中高年と若者は同じ筋肥大のメカニズムなのでしょうか? もちろん若者でも中高年でも人間の体の基本的な仕組みは変わりませんが、筋肥大を起こす最良の方法が同一であるとは限りません。中高年には中高年に最適な方法があります。その考え方と方法を説明します。筋肉は基本的に次の2つの刺激によって大きくなります。
- 高重量
- 生化学的ストレス
高重量でトレーニングすれば筋肉が太くなるのが当然ですが、筋肉は非常に「慣れやすい」ため数週間同じ重量を使ってしまうと、その刺激に慣れてそれ以上は太くなりません。そうすると、より重い重量でトレーニングしなければ、新たな肥大は起こせません。
しかし、若い頃はどんどん重量を増やしていっても問題ありませんが、中高年になるとある程度重くなるとなかなか回復できなくなるうえに、関節が耐えられず怪我が多くなり、どんどん重量を増やしていくやり方は適していません。ですから、中高年の場合は後者の生化学的ストレスを主に使って筋肉を太くさせましょう。生化学的ストレスを起こすためには、
- 中程度のウエイトを使い、セット間の休息時間を短くする
が基本です。このトレーニング方法で、筋肉が完全に回復しないうちに再度セットを開始することによって、血液、乳酸と様々な代謝物(生化学的ストレス)が目的の部位に蓄積され、アナボリック(タンパク質合成優位)・ホルモンがより分泌されることで、筋肥大メカニズムが活性化されます。そうすることで、怪我のリスクの高い高重量を扱わずに、筋肉を太くさせることが可能です。
同時に血圧の面においてもリスクを減らし、代謝機能も上がるので、中高年には適しています。もちろん単純に筋肥大だけに注目すれば、高重量のほうが生化学的ストレス中心の方法に比べて効果的ですが、筋肥大の効果、怪我のリスク低減、健康などをトータルに考えれば、生化学的ストレスのほうが中高年に適しています。