クックパッドが研究をリードする、「料理とAI」のスゴい未来

写真に写った現代の肖像(1)

クックパッドが持っていた「強み」 

複雑な事象を解析し、確度の高い予測をはじき出してくれるAI(人工知能)は、いまや私たちの生活になくてはならない技術的インフラだ。その仕組みを支えているのは高精度の画像認識技術なのだという。つまりAIとは人間の視覚と脳の機能関係のモデル化であり、「機械が『目』を持つ」ことだとも言われている。

昨年3月に刊行された『キッチン・インフォマティクス: 料理を支える自然言語処理と画像処理』(オーム社)はこの難解なAIについて、「料理」を切り口に分かりやすく描きだした好著である。

 

同書の著者である原島純さんは、料理レシピ投稿・検索サービスのクックパッドで研究開発部の部長を務めている。一般にはあまり知られていないが、クックパッドはAI化に関する先端的な企業の一つなのである。しかし、同社はなぜこの分野をリードできたのだろうか。原島さんはこう答えてくれた。

「そもそもAI研究には『機械学習』や『ディープ・ラーニング(深層学習)』という技術が必須なんです。これはコンピュータに大量のデータを読み込ませて、ルールやパターンを教えていくことです。画像認識の場合、その精度を高めるためには、できるだけ多くの画像を与え続ける必要があります。クックパッドには膨大な数のレシピに含まれる料理写真を蓄積しており、その点が強みになりました」

1998年のサービス開始から現在まで、クックパッドに投稿されたレシピの総数は360万品以上にもなる。様々な要素を含んだレシピがAI研究の基盤となり、同社の投稿・検索サービスを大きく向上させてきた。さらに日本人の食生活の傾向と変化が可視化され、同社の「食の検索データサービス」に纏められて、さまざまな事業体に活用されている。

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