高校1年生の息子さんを通して、現役中高生のリアルな声を探っているライターの太田奈緒子さん。今まで、子どもの性暴力問題やSNSの使い方、ネットいじめ、コロナ禍の鬱屈した子どもたちの本音などを聞き出す記事などを作ってきた。

今回は、息子さんに訊ねられて以来ずっと回答に困り、モヤモヤが止まらないという動画サイトの「スパチャ」(正式名称:スーパーチャット/投げ銭システム)についての問題だ。中高生にも浸透し始めているオンラインでの投げ銭について寄稿してもらった。

 

中高生にも浸透している「スパチャ」

「ねぇ、スパチャってどう思う?」 ある日、高1の息子に突然、聞かれた。

「あースパチャね。YouTubeのライブ配信とかで投げ銭(直接、課金したり、アイテムを購入したりして、見る側が配信者にお金を提供)することでしょ」と答えると、息子が言った。

「そうそう。で、友達がさ、スパチャ投げたのがバレて、親にめっちゃキレられたんだって。友達の家は、ネットゲームの課金とか音楽のサブスクとかは毎月の小遣いからあとで親に差し引いてもらう条件で(親のカードを登録してある自分のスマホでキャリア決済することが)OK だったんだ。なのにスパチャは大激怒。友達は『ワケわかんねー』ってぼやいてる。ねえ、親から見てゲームの課金とスパチャって何が違うの?

子どもがスパチャをやっていたら?と中高生の親に尋ねると、「賛成できない」の声は多い。photo/iStock

うーん、うまく説明できないけれど、友達の親御さんがキレた心情はよくわかる。
実はこのところ、私もスパチャにはモヤモヤしていた。私が見ているYouTubeのライブ配信でも、明らかに子どもとわかる「期末テスト中やけど、このライブだけは見逃せん!」とか「クラスで最初に○○さん推しになったのは私でーす!」といったコメントが、色付き(課金すると、目立つようにコメントに色が付く仕様になっている)で頻繁に表示されるのに気が付いたからだ。

私が目撃した範囲内では、明らかに子どもとわかるスパチャの金額は、数百円がほとんどだった。息子の友達も555円をスパチャして、お気に入りの女性VTuber(2D または3D のアバターを使って活動しているYouTuberのこと)に、自分の名前を呼んで欲しかったらしい。

10代の子どもがお小遣いの範囲内で、数百円のスパチャ……。やはり私的には、彼の親御さん同様、金額が少なくてもそれは「ナシ」だ。

もちろん大人が自分の裁量で投げ銭することには、私自身、なんの異論もない。むしろコロナ禍でライブ活動ができなくなったアーチストをライブ配信時にスパチャで支援しているファンの様子を見て「なるほど、これが時代に合った新しい応援のスタイルなのか」と感心していた。でもやっぱり、子どもが自分の小遣いの中から投げ銭をする行為を「アリ」と肯定はできない。