「原発・基地周辺の土地」を、中国人らが購入している問題の「深い闇」

「重要土地取引規制法」は成立したが

原子力発電所の近くで暮らしたいですか

かつて忌野清志郎が『軽薄なジャーナリスト』を揶揄する歌の歌詞で「あの発電所の中で 眠りたい」と歌い上げたのと似た問題が、北海道の北海道電力・泊原子力発電所で発生したのは2007年のことです。

泊原子力発電所 by 北海道電力 

原子力発電所からわずか600mほどの先にある茶津漁港。その周辺に忽然と「宅地用(住宅地)」として正体不明の土地取得者が住民不在で廃屋となって久しい小さなあばら家を含む450平方メートルほどの土地を買収しようとしました。

追いかけていくと、マレーシアやインドネシアで資源の輸出入を行うと標榜する中国資本の貿易会社が資金の主で、当初、筆者らの取材に対して会社代表の中国籍の男性は「値上がりが確実な日本の土地を買わないかと持ち掛けられて土地の購入を決意した」「北海道は旅行で行ったことがあるが、買収した地域に行ったことはない」「あくまで(札幌市で不動産売買業者として登記のある)仲介会社から斡旋されて購入しただけ」と説明していました。ここだけ聞くと「あ、原野商法に引っかかったのだな。原発付近の無価値の土地を高値で買わされて可哀想」となりますね。

ところが、実際の売買価格は、周辺の取引実態とは全く異なる高値であり、また、この貿易会社は他に北海道、秋田、新潟、神奈川、福井など、複数の道県にまたがる地域の物件情報を収集していることが分かります。

 

何してんだよ、と思うわけですが、いずれも原子力発電所や自衛隊施設の付近の土地をピンポイントで購入検討しており、それも、物件によっては施設から数百メートルも離れていない間近の土地を、宅地用と仲介業者に説明して購入しようとしていました。

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