唯一無二の存在感を放つ芸人、ハリウッドザコシショウ。46歳。食えない時代が長く続いた。本人が「地獄」と表現する日々、同期や後輩が先に売れていく光景。それらがなければ今はなかった。その後、「誇張モノマネ」で大ブレイクを果たした。無名期から現在までのこと、芸人として大切にしていること、縦横に熱く語る。
(取材・文:てれびのスキマ、写真:草野庸子)
地獄の日々と『R-1』優勝
――お笑いだけで食べれるようになったのは、だいたいいつ頃でしたか?
マジで『R-1ぐらんぷり』で優勝してからですよ。それ以前は地獄でしたから。いっときも食えなかったです。『あらびき団』のときも食えてる印象を持つ人もいますけど、まったく食えてなかったですね。
『あらびき団』だと東野さんと藤井くんがツッコんではじめて笑いが起きる。それを勘違いすると、別番組に行ったら大失敗するんです。ツッコミがなくてウケないから。やってるときはそれに気づかない。芸人は窮地に追い込まれないと気づかないから。
それに気づかせてくれたのが、『R-1』かもしれません。売れなくて、単発でテレビに出て、そこでハネても、次の仕事につながるわけでもなく。「まぐれ笑いで笑い取ってるできねえヤツ」みたいなイメージがあったのかもしれません。
――ザコシさんは吉本興業、ワタナベエンターテインメント、ソニー・ミュージックアーティスツ(SMA)など渡り歩かれてきましたが、事務所ごとの違いは?
吉本はほったらかされるんですね。それでピラミッドの1番上のやつが売れていく。ナベプロはどちらかというと過保護。よりすぐりの上品な何組かをプッシュする。あと、吉本はネタ見せがなくて、いきなりライブに出る。ナベプロはライブの枠が少ないから、ネタ見せをした中から何組かしか出れない。
で、ソニーはもうホントにただただ自由な事務所ですね(笑)。各事務所で失敗してもう一回頑張ろうという芸人が集まってきているから、ハングリー精神がある。だから、ソニーの芸人がぼくは好きですね。なんでソニーを辞めないかといったら、仲間がいるからというのが一番かもしれないです。だってR-1前なんて辞めてもいいような状況でしたからね。全然給料もなく、フリーと変わんないじゃんって。