「老後2000万円騒動」なぜ今だったのか?財務省の空恐ろしい策謀

いろいろと不自然な点がある

なぜこのタイミング、この内容で…?

先週の本コラム「『老後に2000万円不足』金融庁レポートと消費増税の不穏な関係」にひきつづき、金融庁による報告書を今週も取り上げよう。

先週は、「消費増税の必要性を国民に刷り込む」「年金の破たんをあおって金融機関の営業を後押しする」という金融庁報告書の「裏の意図」と、その背景に、世間一般で年金が「保険」であると理解されていないことがあると指摘した。

金融庁報告書は、先週もいろいろなメディアで取り上げられた。しかし、どれも今一歩ピンボケばかりだ。何しろ、なぜこの時期にこのような報告書が出てきたのか、という根本理由に言及できていない。金融庁報告書の本質を、誰も読み取れていないからだ。

むしろ、「年金が危ない」という煽りにマスコミや野党が結果として加担したので、消費増税を目論む財務省は、今回の「炎上」にほくそ笑んでいることだろう。

 

今回は、この金融庁報告書が出てきた理由について、時系列にそって詳しく説明しよう。

問題となったのは、金融審議会「市場ワーキング・グループ(WG)」の報告書である。

金融審議会は、金融庁設置法第6条に基づいて設置されたものだ。同法第7条に基づき、「内閣総理大臣、長官又は財務大臣の諮問に応じて国内金融に関する制度等の改善に関する事項その他の国内金融等に関する重要事項を調査審議し、内閣総理大臣、長官又は財務大臣に意見を述べる」とされている。

市場WGの審議経過は、金融庁のホームページに掲載されている。(財務大臣ではなく)金融担当大臣である麻生氏から金融審議会への諮問があったのは、第1回の2016年4月19日で、その内容は「市場・取引所を巡る諸問題に関する検討」だった(https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/market_wg/siryou/20160513/04.pdf)。

諮問から半年後、第12回の2016年12月20日には報告書が出ているが、中身はまさに市場・取引所問題の検討であり、今回の報告書にあるような年金や高齢者、長期投資の話はほとんど出てこない。

ところが、約1年9ヶ月後の2018年9月21日になって、この市場WGが再開されている。資料には、「今般、『高齢社会における金融サービスのあり方』など『国民の安定的な資産形成』を中心に更に議論を深めるため、市場WGを再開することとなった」とある(https://www.fsa.go.jp/news/30/singi/20180921-1/01.pdf)。

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