2019.05.13
# 中国

10億円稼ぐ作家も!中国で「小説投稿サイト」ビジネスが爆成長中

日本はこの「大成功」に続けるか
日本では「小説投稿サイト」が群雄割拠の様相を呈している。なぜ各社はこぞってこのビジネスに投資し始めたのか。ヒントになるのは中国の現状だ。中国では、投稿サイトでデビューして10億円以上を稼ぐ作家が現れるほどネット小説市場が活況を呈しているという。投稿サイト「小説家になろう」でデビューし、KADOKAWAの「カクヨム」やLINEの「LINEノベル」の立ち上げに参加した、作家で医師の津田彷徨氏による最前線レポート。

「LINEノベル」が始まった意味

「LINEスタンプ」「LINEマンガ」「LINE MUSIC」に続く、新たなコンテンツ事業として、LINE株式会社が4月16日に「LINEノベル」の運営開始を発表しました。

同社はこれまでも小説事業へ取り組んできましたが、この度『ソードアート・オンライン』『とある魔術の禁書目録』などのヒット作を手がけてきた三木一馬氏が率いる株式会社ストレートエッジと組み、小説投稿サイトを設立しWEBサイトと公式アプリで小説を提供する形となります。

同投稿サイトでは一般の小説投稿に加え、宮部みゆき氏や鎌池和馬氏などの有名作家から、WEB出身である蝉川夏哉氏、みかみてれん氏、そして私、津田彷徨など100名を超える作家がLINEにてエッセイや小説などを連載する運びとなりました。

今回ローンチに参加する一個人としてはもちろんLINEノベルの成功を願う次第ですが、小説投稿サイトは既に群雄割拠とも呼べるほどに非常に多くのサイトが設立され「小説家になろう」を頂点にまさに激しい競争にさらされています。

KADOKAWAの「カクヨム」、DeNAとNTTドコモとの共同出資である「エブリスタ」を始めとし、この一年の間だけでも講談社の「NOVEL DAYS」「セルバンテス」、株式会社ホビージャパンの「ノベルアップ+」が立ち上がるなど、指折りの大企業や出版会社が次々とサイトのローンチを発表してきました。

こうして新たなサイトが増え続けた結果、既に小説投稿サイトの数は国内だけでも50を超えるほど存在し、事業としてはレッドオーシャンと呼べる状況を呈しております。

ではなぜ、このような競争過多な小説投稿サイト事業に、新たに参入を試みる企業が絶えないのでしょうか。

その疑問を解くには、日本よりも先行して小説投稿サイト文化が広まった中国に視線を向けることで思考の補助線を引くことができるかもしれません。

 

作家への印税は約166億円

中国語で網絡文学とされる中国のネット小説。その現状は、日本より遥かに規模が大きく、少なくともネット小説のユーザー数は3億人を越え、小説投稿サイトのアクセス数は1日あたり15億 PVとされます。これは日本最大手である「小説家になろう」の一か月分の PV 数に相当するレベルです。

この膨大なアクセス数を誇る中国の小説投稿サイトでは、1日における投稿文字数は2億文字を超え、連日膨大な数の新しい小説作品が投稿されるかたちで、小説投稿サイトとしてのスピード感や市場規模は現状において日本の比ではありません。

そんな中国における老舗にして最大の小説投稿サイトが「起点中文網」。同サイトでは「玄幻」と呼ばれる剣と魔法、仙人、武侠(武術に長け義理を重んじる主人公もの)、異世界転生などが入り混じったジャンルが人気を博しており、このあたりは日本のWEB小説と相通じるところがあるかもしれません。

関連記事