自民党・二階幹事長「病欠」で飛び出したまさかのサプライズ人事案
水面下で駆け引きが始まっている自公の調整に「不在」の大きな影響が
自民党の二階俊博幹事長(79歳)の不在が、自民、公明両党の2019年度税制改正を巡る協議に大きな影響を与えた。
自民党の宮沢洋一税制調査会長と公明党の西田実仁税制調査会長は12月13日、来年度の税制改正で焦点となっていた婚姻歴のないひとり親(シングルマザー)への支援策について、公明党が強く求めていた低所得者の住民税軽減(寡婦控除)や年1万7000円の手当新設で合意した。
そして両党は翌14日、2019年10月からの消費増税に備えた自動車・住宅の減税策を盛り込んだ与党税制改正大綱を当初予定の12日から2日遅れて決定した。
もともとは二階自民党幹事長、井上義久公明党幹事長も同席する自民、公明党幹事長・税調会長会談だったが、二階氏の「検査入院」によって”片肺会談”となったことから、両党合意に至るまで時間を要したのである。
自民党幹事長室は臨時国会最終盤である10日、二階氏のインフルエンザ罹患を発表した。ところが翌日、約1週間の予定で都内の病院に検査入院したことが判明、インフルエンザ罹患→重篤な高血圧→脳梗塞発症など同氏の重病説が一夜にして永田町を駆け巡ったのだ。
早くも始まった「幹事長人事」の駆け引き
そもそも寡婦控除案について、自民党内には保守派を中心に結婚をしないカップルの増加を助長するだけでなく伝統的な家族観を揺るがすことなると、慎重論が少なくなかった。実は、安倍晋三首相がその慎重論の背後に控えていたとされる。
それでも自公協調路線を優先する二階幹事長が両党協議に出席すれば、自民党内の慎重論をたやすく抑え込んでくれると公明党側は期待していたが、同氏不在のため合意に時間がかかったのだ。
13日に会った自民党執行部の一人は筆者に「二階幹事長は週明けには復帰しますよ」と語っていたが、たとえ党務復帰できたとしても、党内では早くも後継幹事長人事に関心が向かっているのが実情である。
来年4月は統一地方選、7月には参院選がある。とくに参院選は衆院選とのダブル選挙の可能性が強まる現状では、二階幹事長の元で選挙戦を戦うのはとても無理だというのが党内コンセンサスになりつつある。