絶好調の朝ドラのモデルとして再び注目を浴びている安藤百福。本日発売の週刊現代では、世界中で食されているインスタントラーメンを開発し「ラーメン王」と呼ばれた男の素顔を掲載している。ドラマを見逃していた人も楽しめます!
ラーメン作り、まだ?
「たちばな塩業を大きくしようとも思ったんですが、それはやめました。新しい冒険に挑戦しようと思ってます」
「冒険ってなんや」
「だからそれをいま考え中なんです」
NHKの連続テレビ小説『まんぷく』が絶好調だ。週間平均視聴率は21・0%。初回から7週連続で20%の大台をキープしている。
ドラマでは、食べることが大好きな福子(安藤サクラ)と夫で発明家の立花萬平(長谷川博己)の半生が描かれる。チキンラーメンやカップヌードルを開発したことで知られる、日清食品創業者・安藤百福とその妻・仁子がモデルだ。
だが、ドラマ開始から2ヵ月が経つが、萬平はいっこうに即席ラーメンの開発に着手しない。初登場時は、紙焼き写真を投影する「幻灯機」の技師。終戦後に製塩業を始めるも、冒頭のように、また新事業に乗り出すと宣言する。
これには、出資者の世良社長(桐谷健太)も呆れてしまう。「いつになったら、ラーメン作るの?」とやきもきしている視聴者も多いことだろう。
『安藤百福とその妻仁子』の著者・青山誠氏は言う。
「実はモデルとなった百福自身も、いくつもの事業に手を出しているんです。好奇心旺盛な発明家気質。ただ、ドラマの萬平とは違って、大阪・船場商人として銭勘定にも長けていました」
百福は1910(明治43)年、日本の統治下にあった台湾南部で生まれた。両親を幼い頃に亡くし、台湾で呉服屋を営む祖父から商売のノウハウを教わる。
22歳のときに繊維業に着目し、「東洋莫大小」を設立。後に日本に進出し、戦時下は軍需工場を共同経営するなどして事業を拡大した。だが、資材横流しの嫌疑をかけられ、投獄されてしまう。
「拷問以上につらかったのが、食事だったようです。冷めた麦飯が不潔な食器に盛られている。汚れた水も喉を通らない。一時は絶食を続けたようです」(青山氏)
このあたりはドラマと同じだ。百福は後にこの経験を「人間にとって、食こそが最も崇高なものなのだと感じられた」と述懐し、食品業界に進出するきっかけになったと語っている。