「年賀状」の“終焉”で見えた日本郵便の「終わりの始まり」…大幅値上げが「年賀状じまい」を招く空前の大失策に
前年比34%減
日本郵便は「年賀状」をビジネスとして放棄することを決めたということなのだろうか。
昨年10月から「はがき」の料金を63円から85円に値上げしたが、この35%という大幅な値上げによって「年賀状じまい」が一気に加速した。2025年元旦の年賀郵便物の配達数は4億9000万通だったということで、前年から34%減ったという。
赤字の郵便事業を黒字にするための値上げという話だったが、それは、お役所仕事らしい机上の計算で、値上げした分と同率の売り上げ減が起きれば元も子もない。人件費やシステムなどの「固定費」は簡単には削れないので、売上減少によって、むしろ赤字が拡大する計算になる。年賀状だけで見ると、大幅な値上げは「大失策」だったことになる。
普通の民間企業ならば、値上げをするには相当の戦略を考える。値上げする分、消費者に納得してもらえるようなサービスの向上などをうたう。ところが日本郵便は、見事にサービスを劣化させながら値上げに踏み切った。
例年、わが家の地域の年賀状配達は午前中で、かつては朝9時過ぎには届いていたが、ここ数年は11時頃になっていた。ところが今年届いたのは午後3時過ぎ。配達員の人手不足が深刻なのか、出発式の時間を遅くしたのか。陽が傾いてからも郵便局員のオートバイが町中を走り回っていた。
2017年から1月2日の配達サービスを取り止めているので、元旦に配達されなかった分は3日に回されたが、今年は元旦とほぼ同数の年賀状が届いた。郵便局が元日配達に間に合う投函目安としている12月25日に間に合わなかった年賀状を、早々に3日に回したということだろうか。おそらく25日を過ぎて投函した筆者の年賀状は、先方に3日に届いたものが多かったのだろう。「賀状感謝」など一筆書かれた年賀状が届いたのは土日が明けた1月6日だった。松が取れた1月8日になっても年賀状が届いていたのが今年の特長だ。
元旦に届く比率が減っているとしたら、34%減という元日配達数の減少率よりも年賀郵便全体の配達数減少率の方が小さいということかもしれない。だが、いずれにせよ、年賀状が激減していることには違いない。