【全エリア実名】全国で起こるM8以上地震「危険度マップ」東京では19万棟が倒壊、帰宅困難者750万人
南海トラフ地震は近い未来、必ずやってくる。しかし、本当に恐れるべきは、その地震を起点に日本各地に次々と襲いかかる「連動地震」だ。もはや我が国に安全な場所などないのかもしれない―。
前編『【発生確率77%】南海トラフ地震後1週間以内に続発する巨大連動地震「もうその前震は始まっている」』では、今月上旬に学術誌『ネイチャー』で発表された連動地震について詳しく報じた。
日本全体が地震活動期に
いま、南海トラフ地震が起きれば、連動はさらに広がる恐れがある。「メガ連動大地震」の危険性だ。地震学者で武蔵野学院大学特任教授の島村英紀氏がこう警告する。
「南海トラフ地震の発生によって、日本列島全体が地震活動期に入ります。どこに影響が及び、新たな巨大地震を起こすか分からない。南海トラフ地震の想定被害地域外に住んでいるからといって他人事ではありません」
実は'11年の東日本大震災以来、日本で地震が起きるメカニズムは大きく変わっている。海溝型の東日本大震災の発生翌日に長野県、その3日後に静岡県で、マグニチュード6を超える内陸型の直下地震が起きた。これらは余震ではなく、東日本大震災に誘発された別の内陸型の地震で、活断層がズレることで起きた。
この現象は東日本大震災によって北アメリカプレート全体が海側へ引っ張られたことが原因だとされる。引っ張られることでプレート面が剥がされ、陥没して起きる「正断層型」だ。3・11以前、内陸型地震は、横から押されて耐え切れなくなった地面がせり上がる「逆断層型」が普通だったが、いまでは「正断層型」が多くなっている。
陸地が海側に引っ張られるのは、海溝型の巨大地震が起きた後に必ず見られる現象だという。つまり、南海トラフ地震でも同様の現象が起きる。日本には少なくとも2000の活断層があり、これ以外にも場所が確認できていない活断層が多数存在するとみられる。巨大地震が起きた時、数多ある活断層は複雑に影響し合い、これまで活動を停止していたところが目覚めてしまうのだ。
上の地図は南海トラフ地震が起きた後、このメカニズムで連動地震が起きる可能性が高い震源域をまとめたものだ。
琵琶湖を囲むように名古屋、大阪、京都、神戸を結ぶ地域は「近畿トライアングル」と呼ばれる。南海トラフ地震の被害範囲と重なる部分があるが、ここは世界一の活断層密集地でもある。
「慶長年間に動いた活断層や、平安時代頃から動いていないものなど、多様な活断層があります。なかでも1000年以上動いていない活断層などは、膨大なエネルギーを溜めているという見方もできる。ここは首都圏に次ぐ経済活動の中心地です。したがって、いったん地震が発生すれば、日本全体に大損害が及ぶことになります」(前出・佐藤氏)