レビュー
「へべれけ ばにーがーでん」先行レビュー!突っ込みどころしかなさすぎて「突っ込みどころ」という言葉すら別の意味に思えてくるレベル
2025年10月8日 00:00
- 【へべれけ ばにーがーでん】
- 10月9日 発売予定
- 価格:2,480円
キュリエイトより、期待の新作「へべれけ ばにーがーでん」が明日10月9日に発売!
位置づけとしては、2024年に発売された恋愛アドベンチャーゲーム「バニーガーデン」のスピンオフにあたる。
先に言っておくと、筆者はバニーガーデンの大ファンである。
特に赤い衣装の花奈(かな)という子が好きで、エンディングを何回も見た。バニーガーデンにはキャラのパンツが毎日変わる「PTA(パンツ・たくさん・ありがとう)システム」というものがあるのだが、その法則が知りたくて、ゲーム内で毎日花奈のパンツを覗いてはスクリーンショットを撮り、集計表にまとめ、花奈のパンツカレンダーを完成させてネット上に公開したことがある。多くの花奈ファンの方々からは賞賛されたが、それ以外のほぼすべての人から「気持ち悪い」と言われた。どうして?
さっそくプレイしてみよう。
バニーガーデンといえば、花奈、凜(りん)、美羽香(みうか)という3人のキャストが「お紳士様」ことお客さんを楽しくもてなしてくれて、頼めばお酒も一緒に飲んでくれるお店だが……
……顔が赤い!
もうできあがってる! 扉を開けて2秒で酔っぱらい3人!
しかもどうやら、3人の目の前にお客さんはそもそもいなかったらしい。もう本日の営業は終了済みで、酔っぱらった花奈が虚無に向かって話しかけていただけとのこと。怖すぎる。
金髪に黄色の衣装が映えるお調子者の凜は、そんな花奈を見て「もしかしておばけいる? おばけならまかせて! あたしがしばいてあげるから!」と茶化し、暴れ始める。酔っているので制御が効かない。
ここは、青色のイメージ通りクール担当である美羽香の出番だ! 美羽香なら2人をしっかり止めてくれるはず……
べろんしちゃった! おっぱいべろーんしちゃった!
なんだそれは! いいのか!? 本来こういう記事で「おっぱいべろーん」なんて書くのはよくない気がするが、これは原文ママなのでしょうがない! おっぱいべろーん! おっぱいべろーん!
ゲームを開始してまだ1分も経っていないのに、この感じである。すべての絵面、すべてのテキストに突っ込みどころがある。最初からクライマックスにもほどがある。
しかし、このゲームが本当に恐ろしいのはここからだ。
見てほしい! 「キャストの3人みたいに製作陣も酔っていたのでは?」と疑いたくなる、とんでもないシステムの数々を!
意外と難しい千鳥足アクション。ステージ挑戦前には装備を整えよう!なお、装備とはおもに下着のこと
本作は、基本的に「キャラ選択→エピソード選択→ステージ挑戦→ごほうびエピソード閲覧」という流れで進めていくことになる。キャラごとにエピソードやステージはすべて異なり、バリエーション豊富。
そして、ここで言う「ステージ」とは、「酔っぱらったキャストが目的地(自宅方面)にたどり着くまでの帰路」を指す。
そう、本作のジャンル名は「千鳥足アクションゲーム」! まっすぐ歩けないキャラをうまく操作し、障害物を避けながら前に進むゲームなのだ!
やってみるとわかるが、これが意外と難しい。
基本ルールは「スティックを前に倒すとヒートゲージが増加する」「ヒートゲージが増加するとキャラは前進するが、MAXになると倒れる」「キャラはまっすぐ前進しないので、Lボタン・Rボタンで向きを変える必要がある」の3つだけであり、すぐ覚えられる。が、ゲージを管理しながら向きを微調整し続け、さらに障害物もよく見て……となると、かなり忙しい。
結果、本作は「シンプルで覚えやすいが難しく、しかしそれゆえにプレイを重ねると上達を実感しやすい」という、アクションゲームとしてかなり秀逸なつくりになっている。「酔いどれキャストが夜道をふらふら歩く」という珍妙な絵面に反し、ものすごくちゃんとしている。ある意味どうしてこんなにちゃんとしてしまったのか。
歯応えのあるアクションゲームである以上、ある程度のトライ&エラーは必須。
一般的なタイトルであれば、「ステージで装備が拾えます」とか「強い装備をセットして臨めば攻略が楽になります」とかの収集・救済要素があることが多いが、本作では……
ステージでパンツが拾えます!
ハデなパンツをセットして臨めば攻略のモチベーションが上がります!
そう、これこそが本作が誇る大発明「PTA(パンツ・たくさん・あつめよう)システム」だ! そんなものを誇っていいのか?
道に落ちているパンツを拾うと、それらはすべて自分のものにできる。
1キャラあたりパンツは約30種あり、さらにそのなかでカラーバリエーションが用意されているので、細かく言えば100種以上。
さあ、夜の街でパンツをたくさん拾い歩いて、パンツコレクションを充実させよう!
……冷静に読み返すととんでもないことを書いているが、これはゲーム内容を説明しているだけなのでセーフである。おそらく法的な問題はないはずである。
さて、たくさんのパンツを集め、穿かせて、ステージを攻略していると……
ああっと、花奈が転んでしまった! HEATゲージがMAXになってしまったことにより転倒!
転倒するとしばらく動けなくなるほか、ご覧の通りパンツが露わになってしまうので、気をつけなければならない。
よし、次は転倒しないように、慎重に……転倒するとパンツが露わになってしまうので……パンツが……
ああっと! 転倒してしまった!
違うんです! これは純粋にミスしてしまっただけです! 決して何かが見たかったわけではなくて!
……このように、本作は難度の高いアクションゲームである。
操作には慣れたはずなのに、ゴールは目の前のはずなのに、なぜかキャラを困らせたり転ばせたりしたくなってしまい、なかなかクリアできないことがある。この世には不思議なこともあるものである。
ただ、このPTAシステムのおかげで「失敗を繰り返すストレスがほぼない」アクションゲームになっていることは特筆しておきたい。クリアできればもちろんうれしいし、クリアできなかったらできなかったでパンツがたくさん見られてうれしい。見事な両面待ち。ありがとうキュリエイト。
とてもじゃないが全容を紹介できないミニゲームの数々
大変だ! 転んだ拍子に上半身がゴミ箱にはまってしまった!
タイミングよくボタンを押してお尻を振り、身体を引っ張り出そう!
GOOD!
なにがGOODなんだ? このシチュエーションとこの絵面、どうやったら思いつくんだ?
FINISH!
なにがFINISHなんだ? こんなに「FINISH」の文字が意味深に見えたゲームは初めてだが?
……という感じで、本作にはミニゲームが盛りだくさん!
そして先に言っておくが、このいきなり紹介したゴミ箱脱出ミニゲームはまだマシなほう! いや、なにをもって「マシ」とするかにもよるが、なんと言うか、まだここで紹介できるほう!
数あるミニゲームのうち、ごく一部を許されそうな範囲で厳選して紹介すると……
酔いつぶれたキャストにペットボトルの水を飲ませるゲーム。
なぜ舌を出してペロペロ舐めるように飲む必要があるのか。
ムリヤリ飲ませると、涙目になりながらゴックンと飲み込んでけほっけほっとむせてしまうぞ! 気をつけよう!
筆者は気をつけた結果、なぜかボタンを押す手が止まらなくなってムリヤリ飲ませ続けて3回ゲームオーバーになった。
ナイトルーティンのひとつ、ヨガ。
ボタン連打系のミニゲームなのでシンプル。連打でヨガパワーをチャージしよう!
ときにあなたは、ヨガをやったことがあるだろうか? 体内のヨガパワーがMAXになると、どんなことが起きるか知っているだろうか?
正解は……
服が弾け飛び、大事なところはヨガパワーで光り輝く!
ヨガってそういうものなのか? この世界のヨガはなんなんだ?
これもナイトルーティンのひとつ、スキンケア。
ボディローションを上下に激しく振って、身体に液体をかけよう!
……この説明の時点でダメな予感しかしない。そもそも絵面がすでにダメな気がする。
いや、しかし。それは我々の心が汚れているだけかもしれない。なんせ、キャストは純粋にスキンケアをしようとしているだけなのだ。そう考えれば、ダメな要素なんてどこにも……
ダメすぎる!
むしろダメじゃない要素がどこにもなかった! 端から端までぜんぶダメだった! ちなみに写真では伝わらないが、ボイスもだいぶダメ!
でもなぜだろう、手が止まらない! ボタンを押す手が止まらない! ウオオオオオ!
FINISH!
なにがFINISHなんだ? こんなに己の気持ちとシンクロした「FINISH」は初めてだが?
なお、ミニゲームは基本的に3キャラとも共通。
ただし、事前に選択した衣装や下着が反映されるので、実質的にそのパターン数はかなり多い。
どの場面をどう切り取っても、突っ込みどころしかないミニゲームの数々。
突っ込みどころしかなさすぎて、「突っ込みどころ」という言葉すらもなにか別の意味に思えてくる。ダメな表現の気がしてくる。
「花奈も凜も美羽香も、突っ込みどころがありすぎる」。ほら、なんかダメそうでは?
作り手のエンジン全開、遊び手のモチベーション全開!ファンは絶対「買い」&今秋最注目のバカゲーであり良ゲー
本作は、まず「バニーガーデン」のファンには文句なしに超おすすめである。
花奈、凜、美羽香の3人にまた会えるだけでもうれしいのに、新規イベントスチルや新規ボイスが盛りだくさんで、フィッティング(着せ替え)やミニゲームも豊富。ふだんとは違う、酔った状態の3人がずっと見られるのも楽しいところ。
また、「バニーガーデン」ではそれほど多くなかった、「キャスト同士のかけ合い」が非常に多いのも本作の特徴。
3人の仲良しっぷりがこれでもかと言うほど描かれており、「バニーガーデン」をやりこんだ人なら「あのエンディング」への納得感が増すはず。なるほど、これならたしかに……と。
そして、本作は「バニーガーデン」を遊んだことがない人にもおすすめできる。
なぜなら、超わかりやすいゲームだからである。なんせ説明が「酔っぱらい美女3人がパンツを集めながら家まで帰る『お紳士様』向けゲーム」で終わりである。スピンオフでありながら予備知識不要。
ゲーム開始直後からフルスロットルなのでついていくのが大変かもしれないが、すべてがぶっ飛んでいるのでずっと笑えるし、アクションゲームとしてのやり応え、パンツをはじめとする衣装の収集要素、どうかしているミニゲームの数々など、これでしかできないゲーム体験がたくさんある。今秋最注目と言ってよいレベルのバカゲーであり良ゲーだ。
なお、重要なこととして、本作はNintendo Switch版とSteam版があり、仕様が若干異なる。
違いを端的に言うと、Switch版のほうが各種表現がやや「控えめ」になっている。
具体的な違いは、上図の通り。
本記事はSteam版をプレイしたうえで執筆しており、本記事に使用しているスクリーンショットもSteam版で撮影したもの。ぜひ参考にしていただきたい。
今回、花奈で繰り返しプレイして、かなりの数のパンツを集めた。筆者はカルビンクレインの下着が大変お気に入りである。
あなたもプレイして、お気に入りをぜひ教えてほしい。日本全国の、いや、世界中のお紳士様たちが本作のお気に入りの下着についてオープンに語り合い手を取り合う、そんな世の中が来てほしいと切に願う。でも本当にそんな世の中が来たらみんな困ると思う。
あまりにも突き抜けている千鳥足アクションゲーム「へべれけ ばにーがーでん」は、明日10月9日発売!
エンジン全開で作られた突っ込みどころの数々に、こちらもモチベーション全開で突っ込みまくろう!
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