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今回は、1月29日から2月1日にかけて実施された第1回公開テストの中で体験した、フェンサーの基本データから、他クラスとの兼ね合い、戦場での役回りなどについて紹介していく。前述の通り、バランス調整を前提としたテストでの情報なので、今後仕様が変更される可能性もあることは予めご了承願いたい。
なお、フェンサーのコンセプトについては昨年末のインタビューに掲載されているので、そちらも一読していただきたい。
■ 高威力の攻撃スキルを持つアタッカー。建築物へのダメージは低い フェンサーは、右手に刺突用の武器を携え、マントを身に着けた西洋の騎士のような風貌のクラス。攻撃スタイルは、“蝶のように舞い、蜂のように刺す”という肩書き通りに、華麗な身のこなしで攻撃を避け、相手の隙をついた強力な攻撃を得意とする、接近戦に特化したクラスだ。既存プレーヤーがクラスチェンジして遊ぶことを前提に考えているようで、中・上級者向けのバランス調整が行なわれるという。 今回の公開テストで用意されていた武器は、レベル1から装備できる「エペ」というもので、能力値と強化上限はともに100。レベル40で装備した状態の攻撃力は124で平均的だが、攻撃力の高いスキルがあり、総合的な攻撃力は高い。防具は「フェンサー専用テスト防具」として支給されており、5部位の防具を上限まで強化すると、耐性は132になった。初日は耐性が144でウォリアーと同じ値だったが、下方修正されている。それでもスカウトよりは高く、4クラス中で2番目に高い耐性となっていた。
既存のクラスとは異なる仕様としては、建築物へのダメージが通常攻撃、スキルともに低く設定されている。通常攻撃では1発で20程度とかなり低いため、現状では建築物の破壊には向いていない。
■ 各スキルの現仕様をチェック
全てのスキルを習得するには43スキルポイントが必要となっていた。レベル40のスキルポイントは40あるので、例えば「イレイスマジック」をレベル1で留めておけば、他のスキルは全て最大レベルまで習得できた。
では順に、スキルの詳細を紹介していく。 ・通常攻撃
最初から覚えている基本攻撃スキル。攻撃力は100で、消費Pwは0。他のクラスの通常攻撃とは異なり、連打すると攻撃のモーションが変化し、最大3回の連続攻撃を繰り出せる。またこの攻撃に限って、時々「Critical」という表示が現われ、最大で2倍程度のダメージを与えられることがあった。
・ダウンドライヴ 攻撃が命中すると相手が転倒し、ダウンした相手に1回だけ追撃できるスキル。スキルのレベル1から3までの攻撃力は50、消費Pwは20で共通している。ダウン効果は対人のみ発生する。 「エンダーペイン」使用中のウォリアーに当ててもダウンさせられないが、「スパイダーウェブ」を受けて鈍足になっているウォリアーに対しては、「エンダーペイン」状態であったとしても、「ダウンドライヴ」スキルレベル2以上であればダウンさせられる。 追撃を当てた相手は、再び弾かれるように転倒する。その後は起き上がるまで、通常の転倒と同様に無敵状態となり、追撃はできない(1回だけ追撃可能な状況)。ただしタイミングによっては、追撃しても再転倒が発生せず、起き上がるまで無防備なまま攻撃を受け続けることがあった。バグなのか仕様なのかは今のところ未発表。
他のフェンサーが「ダウンドライヴ」を使って転倒させた場合、追撃できるのか、追撃できないのか区別しにくく、他のプレーヤーからの追撃を期待しづらいのが難点。現時点では攻撃用のスキルとしてより、追撃で相手を遠くへ飛ばすために使うことが多かった。
・フラッシュスティンガー 素早く3連続で突きを繰り出し、攻撃した相手をのけぞらせるスキル。スキルレベル1から3まで攻撃力は90、消費Pwは30で共通している。「エンダーペイン」状態のウォリアーものけぞらせるため、フェンサーのスキルの中で最も使用頻度が高かった。 のけぞりの発生時間が長く、スキルレベル3の「フラッシュスティンガー」がヒットすれば、さらにもう1度「フラッシュスティンガー」に攻撃が繋がる。ステップでの転倒すらさせてもらえないため、1人で最大3連打(ダメージは9回発生)できる。消費Pwが少ないためスキル連携の基軸として使用しやすく、後述するスキル「フィニッシュスラスト」に繋げれば、一気に相手の体力を奪える。
相手のクラスを問わず、1人で大ダメージを与えられる攻撃だが、他のプレーヤーと連携することでさらに強力になる。2人のフェンサーで交互に「フラッシュスティンガー」を打ち合ったり、ウォリアーの「ヘビースマッシュ」を挟んでもらったりと、味方の連携によってさらに強みを増す。逆に2人のフェンサーに「フラッシュスティンガー」を交互に撃たれると、HPが満タンでもやられてしまうような状況も発生していた。
・ディシートアクション 通常攻撃より早いモーションの突きを繰り出すが、ダメージはなく、ヒットもしないフェイントスキル。消費Pwは0。
発動後の硬直はほとんどなくすぐに動き出せるので、硬直を狙う相手の攻撃を誘い、避けて反撃するという使い方が想定される。多人数で争う戦場においては使いどころが難しいが、局地戦でうまく活用し、接近するきっかけにしたい。
・フィニッシュスラスト 渾身の一突きを繰り出し、大ダメージを与えるスキル。スキルレベル1で攻撃力は200、レベル2で330、レベル3で460となり、消費Pwは全スキルレベル共通で60。 普通に敵にヒットさせても相応のダメージを与えられるが、相手が鈍足状態や、凍結または「シールドバッシュ」でスタンして動けない状態の際には、より大きなダメージを与えられる。例えば凍結状態のソーサラーに対して「フィニッシュスラスト」を当てたときには、900を超える大ダメージをたたき出した。
一撃必殺ともいえる強力な攻撃力を持つ反面、硬直時間が約2秒と非常に長いため、発動後はかなり危険な状態になる。
・クイックムーブ 発動中、ステップの移動距離が減少する代わりに、移動速度が上昇し、硬直時間が短縮されるスキル。レイスのスキル「ダークミスト」のように、Pwを減らしながら持続するタイプのスキルで、Pw100で使用すると7秒程度効果が持続する。発動中に再度スキルを使用すると効果が消えるのも「ダークミスト」と同様。
スキルを使ってからステップを連発すると、歩くよりもかなり速く移動できる。発動時の硬直もごく僅かで、相手を追う時や、逃げる時に頻繁に使う。
・タンブル “バク転”しながら後方へ移動するスキル。スキルレベル1で1回、レベル2で2回、レベル3で3回連続で移動できるようになる。連打しなければ1回や2回で止めることも可能で、1回転ごとにPwを10消費する。
後方へのステップといったイメージで、やはり着地点を狙われやすい。またステップのように無敵時間もないため、移動スキルとしてはあまり有効に機能していなかった。今のところは、凍結状態で相手の「シールドバッシュ」を受ける際に発動し、自らダウンするという使い道はある。
・ペネトレイトスラスト 自分の体ごと直線的に斬りこんでいくスキル。スキルレベル1から3まで攻撃力180、消費Pw25で共通。スキルレベルによる変化は確認できなかった。 ウォリアーのスキル「ストライクスマッシュ」のような移動攻撃スキルだが、ターゲットを必要とせず、任意の方向に発動できる。移動距離も一定なので、逃げる相手にも追撃できる。ただし移動距離はそれほど長くなく、発動後の硬直もあるため、移動速度としては歩きよりも少し速くなる程度。
攻撃判定は、発動地点から着地点までの直線で、体に触れる位置にいる敵全てにダメージが発生する、一種の範囲攻撃スキルとなっている。ただし現時点では、敵のターゲット枠が赤く表示される距離から、さらに1歩前に進んでも攻撃が届かず、表示にやや問題があるようだった。
・キーンセンス スカウトのスキル「ヴォイドダークネス」や、召喚獣「レイス」のスキル「ダークミスト」の闇による盲目状態を緩和し、一定の距離が見えるようになるスキル。使用すると15Pw消費し、さらに1秒ごとに5Pwを消費し続ける持続型のスキル。
周囲の状況が全くわからないときには便利なスキルだが、消費Pwが多いために、使って攻めるという行動は取りづらい。また、そもそも頻繁に盲目状態になる状況も少ないため、現時点ではスキルスロットを1つ使うほどの価値を見出すのは難しい。
・ストライクダウン 発動すると、その場で動きを止めて構え、相手の物理攻撃を1度だけ無効にし、逆に反撃するスキル。スキルレベル1から3まで攻撃力は0、消費Pwは40で共通。攻撃力は0とされているが、直接的な攻撃力がないという意味のようで、反撃によるダメージは与えられる。ただしダメージ自体は数十程度とかなり低めになっている。 レベルアップに応じて構える時間は長くなる。反撃後には一瞬硬直状態になるので、そこを狙われないように、ここぞという時に使うスキルになる。消費Pwが40と多く、反撃のダメージも低いので、あくまで物理攻撃を無効化するのが主体となる。
特に、凍結時に「シールドバッシュ」を狙われた際に効果を発揮する。相手が2回連続で「シールドバッシュ」を仕掛けてきても、「ストライクダウン」を連打すれば2回とも防げた。もちろん、「ストライクダウン」が空振りしてモーションが解けたところを狙われるとどうしようもないので、読み合いは必要になる。また「ストライクダウン」で反撃が成功した場合は、ダメージを受けていない判定となるため、凍結は解除されない。
・イレイスマジック 効果中、1度だけソーサラーからの魔法を無効化できるスキル。スキルレベル1から3までの消費Pwは30で共通。持続時間はレベル1で約10秒、レベル2で約15秒、レベル3で約20秒に伸びる。 「ストライクダウン」とは異なり、反撃効果はないが、使用後に移動できる。持続時間中は体の周りにオレンジ色のオーラのようなものが出現する。Pwが減り続けることもなく、短時間ながら敵の魔法をほぼ無視して行動できる。1度魔法を受けるか、持続時間が経過すると消滅する。
魔法を受けると、キャラクターの前面に円形のエフェクトが出現して魔法を無効化する。その際に一瞬硬直するが、すぐに「イレイスマジック」を再使用すれば、同じソーサラーからの魔法は再び打ち消せる。ただし、「ジャッジメントレイ」は3回攻撃判定があるため、2発目、3発目は食らってしまう。また「スパークフレア」と「ブリザードカレス」の爆風部分は無効化できず、凍結などの追加効果も受けてしまうので注意が必要。
■ 追い詰められないが、逃げるのも簡単 スキルの説明を一通り終えたところで、次はフェンサーの運用法について考えていきたい。 フェンサーのスキルは、接近戦に偏っている。逃げていく敵を追える可能性があるのは「ペネレイトスラスト」のみだが、射程距離が短く、着地後の硬直も狙われやすい。「クイックムーブ」からステップを使用して回り込むという手もあるが、消費Pwが激しいため、攻撃のためのPwを残しておくのが難しい。さらに、鈍足効果を与えるスキルもないので、相手がよほどヘマをやらかさない限りは、逃げる敵に止めをさすのは難しい。 逆にフェンサー側が危なくなった時には、「クイックムーブ」を使用して下がるだけで、まずどのクラスにも追いつかれることはない。天敵は短剣スキルの「アームブレイク」と「パワーブレイク」だが、それさえ気をつけていれば、1対1で倒されることはまずない。 よってフェンサー1人で敵を倒そうとか、相手のフェンサーを追い詰めて倒そうというのは、不毛な戦いといえる。しかし戦争ではオベリスクの防衛などで少数の対戦も発生するので、フェンサーでどう対峙すべきかをクラスごとに考察をしていく。
同様に対スカウトの場合も、「エアレイド」などの弓スキルで狙われると、「エンダーペイン」を持たないフェンサーで接近するのは非常に困難だ。「ペネレイトスラスト」か「クイックムーブ」で一気に近づいてしまえば戦えるが、捕まえるのは容易ではない。 短剣スカウトが相手の場合は、前述の通り「パワーブレイク」と「アームブレイク」を受けると、頼みの綱である「クイックムーブ」が使えなくなり、逃げ道がなくなる。相打ち覚悟で来られた時点で不利なので、ウォリアーと同様、「フラッシュスティンガー」による牽制がせいぜいである。 対ソーサラーの場合は、魔法を無効化する「イレイスマジック」を使用している限り、相手には手がない。ソーサラーも接近されたくないので、ひたすら下がるしかない状況だ。ただフェンサーとしても、効果的に追いつくスキルはなく、「イレイスマジック」を再使用しているうちに逃げられてしまう。
こちらから追うスキルが足りない以上、いずれも牽制に終始し、相手のペースで戦いが動くことになる。フェンサーは1人で動いても、せいぜい「クイックムーブ」で素早く戦線を行き来できるという程度で、さほど効果的な戦いはできない。真の能力を発揮できるのは、味方との連携が決まったときである。
■ 戦場での活路は味方にあり。多彩な立ち回りを見せるフェンサー
まず「フィニッシュスラスト」は、動きの制限された敵に対して、全クラス最高峰のダメージを叩きだせるフェンサーの看板スキル。しかし自分で相手の動きを制限するスキルを持っていないため、氷系魔法を持ったソーサラーや、片手ウォリアーの近くにいることが重要になる。 凍らされたり、スタンさせられそうな敵がいれば、「フィニッシュスラスト」を狙いに行く。ただし「エンダーペイン」がなく、転ばされたり、発動を潰されることも多いので、「ペネトレイトスラスト」で強引に近づいたり、「クイックムーブ」を一瞬だけ使うといったテクニックも求められるだろう。「フィニッシュスラスト」は、使用後の硬直時間が2秒程あるため、相打ち狙いなど多少強引に使用する必要がある。 次に味方のサポートととして、前線で凍らされている味方に寄ってくる敵に対して、「フラッシュスティンガー」で牽制する。当たれば「シールドバッシュ」を持つ片手ウォリアーでものけぞってしまうので非常に有効だ。またあえて味方の前に出て「ストライクダウン」を使い、味方を守るという使い方もある。 この時に「イレイスマジック」を使用していればより効果的。「イレイスマジック」そのもので味方に対する魔法を防ぐのは難しいが、敵のソーサラーに対して、“味方に魔法を使ったら「フラッシュスティンガー」を狙うぞ”という姿勢を見せれば、圧力としては十分だ。特に少人数での戦闘では、ソーサラーに対してプレッシャーをかけられる。 優秀な移動スキルである「クイックムーブ」も幅広い使い方が考えられる。敵のサイドや後方に素早く回り込むと、かなりの確率で数人の敵が追ってくる。あとは攻撃を受けない距離を維持しつつ、前線の人数を減らすという風にかく乱できる。また「クイックムーブ」の速さを活かして、敵陣奥のオベリスクを破壊する“ねずみ行為”も狙える。フェンサーの建築物へのダメージは低いが、フェンサーだからといって放置されることはないので、敵の戦力をそぐ効果は期待できる。 このように、全クラス中最大の攻撃力を誇る「フィニッシュスラスト」を持った強力なアタッカーでありつつ、「フラッシュスティンガー」や「イレイスマジック」で味方のサポートもできる。さらに、最速で移動できる「クイックムーブ」で多彩な戦法で立ち回りができる面白さを持っている。戦争における戦略の幅も広がってくることだろう。現時点では「タンブル」などの“死にスキル”もあるが、ここは今後の調整を期待したい。
フェンサーは以前から中級者から上級者を対象としたクラスとされている。接近戦に特化したのクラスでありながら「エンダーペイン」がないというだけで、戦場での立ち回りは難易度がかなり高い。容易に扱えるクラスではないが、味方との連携をきちんと把握した立ち回り次第で、戦争のキーパーソンにもなれる実力を持ったクラスだと感じた。数値的な部分は今後変更されることと思うが、ヒットアンドアウェイのコンセプトに即した、面白いクラスになっているといえる。
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□ゲームポットのホームページ (2009年2月3日) [Reported by 日高文典 / 石田賀津男]
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