静岡の街から
もう一度歩きたくなる、「エッシャーの世界」〜静岡市美術館〜
7月17日から静岡市美術館にて開催されている展覧会「エッシャーの世界」も、いよいよ今月28日(日)で会期が終了します。「エッシャーの世界」は全国の美術館を巡回する巡回展で、高松市美術館を皮切りに茨城県近代美術館、そして静岡市美術館へやってきました。静岡市美術館での会期を終えると、すぐに9月から札幌芸術の森美術館へと巡回していきます。今回は、その巡回展の裏側について静岡市美術館の学芸員(広報担当) 青木良平さんに伺いました。

◉展覧会を味わい尽くそう。「エッシャーの世界」の舞台裏。
ーー巡回展は、美術館による自主企画展とどのように異なるのですか?
巡回展、自主企画展というのは、開催する美術館から見て「巡回」か「自主」かという違いです。
当館にとっては巡回展でも、別の美術館の自主企画展である場合もありますし、共同企画の巡回展もあります。また、複数の美術館で開催される巡回展の場合、マスコミの文化事業部や企画会社など美術館以外の組織が深く関わることもあり、多くの人々が協力して作り上げてゆきます。
巡回展も自主企画展も、展覧会を行うのにはかなり時間がかかります。作品調査や展示作品の選定、各美術館の会期の調整や輸送スケジュールの策定などを行います。加えて学芸員は、図録の執筆や会場の解説、チラシ等広報物の作成なども行います。
また、他館から展示作品を借用する場合は、展示空間を指定の環境に整えなくてはなりません。美術作品にとって、温度、湿度、照明の明るさといった展示環境は極めて重要です。紙の美術作品は繊細ですし、エッシャーのような版画の作品は温度と湿度、照明の明るさに厳密な決まりがあります。

△静岡市美術館|学芸員(広報担当)の青木良平さん
ーー確かに、エッシャー展の展示空間はほんのり暗めです。美術作品を見せることと、守ることを同時にしなくてはならないのですね。
はい。「見せる」という意味では、学芸員は作家や作品にまつわることを勉強することも仕事の一つです。なぜなら、その学芸員が語ることや書くこと、示すことが展覧会の内容に反映されていて、それがそのまま市民や第三者に触れることになるからです。準備期間に学芸員の机を見ると、展覧会に関する書籍や資料が山積みになっていたりします。知識を深めることで、展覧会の質を高めていきます。
さらに、展示室のレイアウトを決めることも学芸員の仕事です。作品保護や安全性に考慮しつつ、どのように壁を配置し、来館者の動きを誘導するか、作品をよりよく見せるためにはどうするか、自らが引いた図面をもとに設営業者とプランニングを行い、「どうすれば作品が映え、来館者を分かりやすく楽しませられるか」展示プランを練ってゆきます。
静岡市美術館の場合、展示室の設営から展示までは1~2週間くらいで行います。それまで数年に渡る研究の成果がやっと形になるので、学芸員にとって一番熱がこもると言いますか、「最も佳境であって最も楽しい瞬間」だと思います。展覧会の会期は一般的に1月半〜長くて3ヶ月。1人でも多くの方に作品を楽しんでいただきたいです。
なお、美術館では展覧会以外にも講演会やギャラリートーク、オープンアトリエなどの教育普及活動も行っています。中でも静岡市美術館の教育普及活動の中で最も多いのは講演会。今回のエッシャー展では、幾何学アーティストの日詰明男さんを講師に招いて、自身の作家活動の紹介と合わせながらエッシャーの作品と数学との関係性について語っていただきました。エッシャーの作品には数学的な知見から制作に臨んでいることが見て取れます。他の美術作家とは異なる魅力を伝えていただきました。こうした講演会やワークショップを通して、様々な角度からエッシャーの魅力、美術作品の魅力を感じていただきたいです(了)

♦︎場所:静岡市美術館
〒420-0852 静岡県静岡市葵区紺屋町17-1 葵タワー
♦︎会期:〜8月28日(日)(終了まであと3日!)
♦︎開館時間:10:00〜19:00(展示室への入場は閉館の30分前まで)
♦︎休館日:毎週月曜日
♦︎観覧料:一般 当日1,000円、大高生・70歳以上 700円、中学生以下 無料
http://shizubi.jp/exhibition/future_160717.php

◉展覧会を味わい尽くそう。「エッシャーの世界」の舞台裏。
ーー巡回展は、美術館による自主企画展とどのように異なるのですか?
巡回展、自主企画展というのは、開催する美術館から見て「巡回」か「自主」かという違いです。
当館にとっては巡回展でも、別の美術館の自主企画展である場合もありますし、共同企画の巡回展もあります。また、複数の美術館で開催される巡回展の場合、マスコミの文化事業部や企画会社など美術館以外の組織が深く関わることもあり、多くの人々が協力して作り上げてゆきます。
巡回展も自主企画展も、展覧会を行うのにはかなり時間がかかります。作品調査や展示作品の選定、各美術館の会期の調整や輸送スケジュールの策定などを行います。加えて学芸員は、図録の執筆や会場の解説、チラシ等広報物の作成なども行います。
また、他館から展示作品を借用する場合は、展示空間を指定の環境に整えなくてはなりません。美術作品にとって、温度、湿度、照明の明るさといった展示環境は極めて重要です。紙の美術作品は繊細ですし、エッシャーのような版画の作品は温度と湿度、照明の明るさに厳密な決まりがあります。

△静岡市美術館|学芸員(広報担当)の青木良平さん
ーー確かに、エッシャー展の展示空間はほんのり暗めです。美術作品を見せることと、守ることを同時にしなくてはならないのですね。
はい。「見せる」という意味では、学芸員は作家や作品にまつわることを勉強することも仕事の一つです。なぜなら、その学芸員が語ることや書くこと、示すことが展覧会の内容に反映されていて、それがそのまま市民や第三者に触れることになるからです。準備期間に学芸員の机を見ると、展覧会に関する書籍や資料が山積みになっていたりします。知識を深めることで、展覧会の質を高めていきます。
さらに、展示室のレイアウトを決めることも学芸員の仕事です。作品保護や安全性に考慮しつつ、どのように壁を配置し、来館者の動きを誘導するか、作品をよりよく見せるためにはどうするか、自らが引いた図面をもとに設営業者とプランニングを行い、「どうすれば作品が映え、来館者を分かりやすく楽しませられるか」展示プランを練ってゆきます。
静岡市美術館の場合、展示室の設営から展示までは1~2週間くらいで行います。それまで数年に渡る研究の成果がやっと形になるので、学芸員にとって一番熱がこもると言いますか、「最も佳境であって最も楽しい瞬間」だと思います。展覧会の会期は一般的に1月半〜長くて3ヶ月。1人でも多くの方に作品を楽しんでいただきたいです。
なお、美術館では展覧会以外にも講演会やギャラリートーク、オープンアトリエなどの教育普及活動も行っています。中でも静岡市美術館の教育普及活動の中で最も多いのは講演会。今回のエッシャー展では、幾何学アーティストの日詰明男さんを講師に招いて、自身の作家活動の紹介と合わせながらエッシャーの作品と数学との関係性について語っていただきました。エッシャーの作品には数学的な知見から制作に臨んでいることが見て取れます。他の美術作家とは異なる魅力を伝えていただきました。こうした講演会やワークショップを通して、様々な角度からエッシャーの魅力、美術作品の魅力を感じていただきたいです(了)

♦︎場所:静岡市美術館
〒420-0852 静岡県静岡市葵区紺屋町17-1 葵タワー
♦︎会期:〜8月28日(日)(終了まであと3日!)
♦︎開館時間:10:00〜19:00(展示室への入場は閉館の30分前まで)
♦︎休館日:毎週月曜日
♦︎観覧料:一般 当日1,000円、大高生・70歳以上 700円、中学生以下 無料
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Updated:2016年08月25日 静岡の街から