無料あり―2025年「F1視聴方法」完全ガイド:DAZNとフジNEXT、知らないと損する選び方
録画ハイライトに限り、F1公式YouTubeチャンネルで無料配信されるが、地上波やBSでの無料放送(2011年終了)は行われず、公式配信「F1 TV PRO」も日本では利用できない。そのため、2025年のF1世界選手権を日本で視聴するための選択肢は、「DAZN(ダ・ゾーン)」と「フジテレビNEXTライブ・プレミアム」の2つの有料サービスに限られる。
「2つのサービス」とはいえ、それぞれのサービスが提供するチャンネルは全部で10種類もあり、料金も多岐にわたる。そのため、どの視聴方法が最もお得かは、各々のファンのニーズによって異なる。
そこで、料金やサービス内容を比較し、すべての視聴方法を以下にまとめる。特に断りがない限り、記載する金額はすべて税込みとする。
なお後述のように、「フジテレビNEXTライブ・プレミアム」は、キャンペーンを使うと加入月に限り無料で視聴できる。同様の1か月間の無料サービスはauおよびUQ mobileユーザー向けにも提供されていたが、2025年1月8日をもって新規受付が終了する。
2025年F1の開催概要と次戦スケジュール
2025年は史上最多タイとなる全24戦が予定される。オーストラリアで開幕し、4月6日の第3戦日本GPを経て中東へと飛び、マイアミを経由して本拠ヨーロッパラウンドに突入する。シーズン後半はアメリカ大陸に舞台を移し、12月7日のアブダビGPで閉幕する。
各グランプリのテレビ観戦ガイドはF1テレビ放送スケジュールを、年間のレース開催予定についてはF1カレンダーを参照されたい。
放送サービス比較表
F1放送チャンネルは大きく「DAZN」と「フジテレビNEXTライブ・プレミアム」の2つに分けられるが、後者のネット配信サービスである「フジテレビNEXTsmart」は「フジテレビNEXTライブ・プレミアム」と詳細がやや異なるため、まずはこれら3つの特徴を以下にまとめる。
本家DAZN | フジテレビ NEXT |
フジテレビ NEXTsmart |
|
---|---|---|---|
チャネル | ネット配信 | テレビCS放送 | ネット配信 |
月額料金 | 2,666~4,200円 | 2,409円 | 1,980円 |
初回費用 | 0円 | 0円 | 0円 |
無料お試し | 無 | 加入月 | 無 |
見逃し配信 | 有 | 再放送有 | 無 |
放送対象 | 全セッション | 全セッション | 全セッション |
録画 | 不可 | 可 | 不可 |
必要環境 | スマホ等のネット端末 | TV、アンテナ、チューナー | スマホ等のネット端末 |
特徴 | 多コンテンツ 4画面表示 |
安心確実 | 安価 |
注意 | 遅延障害 | 要アンテナ | 見逃し△ |
いずれも全24戦オールセッションを完全生中継・生配信する。各々のサービスの特徴と注意点、そして金額を以下に詳しく見ていく。
1:DAZN(ダゾーン)
スポーツ専門のストリーミング配信サービス「DAZN」は、2016年のドイツGPよりF1配信を開始。視聴プラン「スタンダード・プラン」を通じて、少なくとも2025年末までF1の配信を継続する。
「DAZN Baseball」という、視聴可能なコンテンツを野球に限定したプラン(月額2,300円)が提供されているが、モータースポーツ専用のプランは用意されていない。
特徴
スマホ、PC、タブレットに加え、スマートテレビやPlayStation、Xboxなど、多様なデバイスで視聴可能であり、場所を選ばない利便性が特徴だ。アンテナ設置などの追加費用が不要で、手軽に視聴できる点が魅力と言える。
多彩なコンテンツ
F1だけでなく、他のモータスポーツを含む様々なスポーツコンテンツが提供されているのもDAZNの大きな特徴だ。
レース週末に加え、シーズン中の毎週水曜日には「WEDNESDAY F1 TIME」を配信。見どころや勝負を分けたポイントを振り返り、レース前後でも楽しめるコンテンツを提供している。さらに、F1以外のモータースポーツとして、以下のカテゴリーが2025年末まで配信される予定となっている。
- FIA-F2選手権
- FIA-F3選手権
このほか、MotoGPのマルク・マルケスを特集した番組や、F1を世界的な人気スポーツへと押し上げたバーニー・エクレストンを描くドキュメンタリー「Lucky!」、さらにはポルシェ・スーパーカップなど、多彩な海外ドキュメンタリーやレースコンテンツも充実している。
さらに、モータースポーツ以外にも、以下のような幅広いスポーツコンテンツがそろっている。
- サッカー(明治安田生命Jリーグ、ラ・リーガ、セリエA、AFC公式14大会など)
- プロ野球(広島戦およびその他一部を除く)
- ゴルフ(全米オープンなど)
- テニス、ボクシング、総合格闘技
これら多彩なコンテンツを楽しみたいファンにとって、DAZNは最適な選択肢と言えるだろう。
4画面表示「F1 ZONE」
機能面での最大の特徴は、画面を4分割してさまざまなデータを表示する「F1 ZONE」だ。これは、インターネット配信ならではの強みを活かした革新的な配信形態と言える。表示される4つのデータは以下の通り。
- 国際映像
- オンボードカメラ
- 順位やタイム差が分かるライブタイミング
- ドライバー紹介や予選順位などの追加情報
料金体系
以下のように契約窓口とプランによって料金が異なる。なおpovo DAZN使い放題パックは2024年11月30日を以て提供が終了された。
窓口 | プラン | 料金 | 月額換算 |
---|---|---|---|
本家DAZN | 月額プラン | 4,200円/月 | 4,200円 |
年間プラン(月々払) | 3,200円/月 | 3,200円 | |
年間プラン(一括払) | 32,000円/年 | 2,666円 | |
DMM | DMM × DAZNホーダイ | 3,480円/月 | 3,480円 |
docomo | DAZN for docomo | 4,200円/月 | 4,200円 |
Amazon | Prime Videoチャンネル | 4,200円/月 | 4,200円 |
ABEMA | 月額プラン | 4,200円/月 | 4,200円 |
年間プラン | 32,000円/年 | 2,666円 |
このように8種類のプランが存在するが、実際の選択肢となり得るのは以下の3つである。
- 年間プラン(一括払い)
年間を通して視聴する場合、8ヶ月分の料金で12ヶ月間視聴可能な「年間プラン(一括払い)」が最も支払金額的にお得であり、月額換算で2,666円となる。 - DMM × DAZNホーダイ
膨大なコンテンツも利用できる点が他にはない魅力で、総合的なエンタメを楽しみたい場合におすすめ。 - DAZN for docomo
各種特典を活用することで、実質月額3,136円で利用可能。ドコモユーザーには検討する価値がある。
なお、同一IPアドレスであれば2つのデバイス、またはブラウザで同時に視聴可能だが、遠隔地などIPアドレスが異なる場合には同時視聴ができない。ただし、月額980円で同時視聴可能なストリーム数を1つ追加することが可能だ(「DAZN for docomo」「PPV」「NFL Game Pass」「Courtside 1891」を除く)。
以下、DAZNの各チャンネルを詳しく見ていこう。
本家DAZN
F1のオンシーズン(2024年3~12月)のみ月額プランに加入する方法もあるが、それでも「年間プラン(一括払い)」が最も安い。「年間プラン(月々払い)」は12ヶ月分の料金を分割で支払う形式だが、一括払いと比較すると年間で6,400円のコスト増となるため、一度に全額を支払うことが厳しいという場合を除き、特にメリットはない。
DAZNはこれまでに2022年2月23日、2023年2月14日、そして2024年2月14日の計3度にわたって値上げを実施しており、そのたびに月額プランが割高になり、「年間プラン(一括払い)」のコストパフォーマンスが高まっている。
支払い方法は、主に以下の手段が利用可能だ。
- クレジットカード(Visa, MasterCard, American Express, JCB, Diners Club)
- デビットカード(一部を除く)
- PayPal
- Amazon IAP(アプリ内課金)
- モバイルキャリア決済
- スマホ決済(LINE Pay / Pay Pay / Apple Pay / Google Pay)
- DAZNプリペイドカード / DAZNチケット
支払い方法による制限はあるものの、最大6ヶ月間に渡ってサービスを一時停止とする機能も用意されている。あらかじめ設定した利用再開日に自動的に再開するもので、一時停止期間中には料金が発生しない。
DMM × DAZNホーダイ
月額3,480円で「DMMプレミアム」と「DAZNスタンダード」の全てのコンテンツを利用できるお得なプランだ。通常、両サービスを別々に契約すると月額4,750円がかかる。つまり月々1,270円分お得というわけだ。
「DMMプレミアム」では、17万本以上が配信されている動画サービス「DMM TV」が見放題で、成人向けの「FANZA TV」の約2000作品が視聴できるほか、「DMMブックス」では限定コンテンツを閲覧できる。また限定クーポンも配信される。
年間契約はお断りという方には、金額・内容共に「DMM × DAZNホーダイ」をおすすめする。
DAZN for docomo
ドコモが窓口の「DAZN for docomo」は月額料金が本家と同じ4,200円だが、以下に該当する場合、条件次第で最大1,064円引きの実質3,136円となる。
特典 | 条件 |
---|---|
764ptのdポイント還元 | eximo・eximo ポイ活・ahamo・ギガホ契約者かつdポイントクラブ会員 |
300ptのdポイント還元 |
|
本家と異なるのは料金の対象期間だ。公式は申込日を起算として計算が行われるが、「DAZN for docomo」の場合は契約日・解約日にかかわらず、毎月1日から末日までの1か月分の料金が請求される。
ABEMA de DAZN
サイバーエージェントとテレビ朝日が出資する「ABEMA」でもDAZNのF1コンテンツが視聴できる「ABEMA de DAZN」が2024年2月23日にサービスを開始した。
ただ、DAZNの全てのコンテンツが視聴できるわけではなく、価格も月額4,200円、年額32,000円と本家と変わらず、敢えて積極的に「ABEMA de DAZN」を選ぶ理由は見当たらない。
Amazon Prime Videoチャンネル
プランは月額4,200円の一つのみであり、積極的に「Amazon Prime Videoチャンネル」を選ぶ理由はあまり見当たらない。
ただし、ドコモユーザーであればAmazonプライムをおトクに利用できる。初めてAmazonプライムに登録する場合、月額会費相当の600円が、回線料金と月額会費の合計額から3か月間割引される。さらに、毎月dポイント(期間・用途限定)120ポイントが還元される特典もある。
実況・解説
海外発のサービスだがF1の実況・解説は全て日本語。元F1ドライバーの中野信治氏やモータースポーツジャーナリストの小倉茂徳氏らが解説を担当し、実況はスーパーフォーミュラやSUPER GTなどJ SPORTSでもお馴染みのサッシャ氏らが務める。解説は平易で、モータースポーツ初心者向けな印象だ。
見逃し配信
基本的にレース後1週間程度は見逃し配信があるため、万が一リアルタイムで視聴出来なくても安心。F1は世界各国で行われるため深夜や早朝にレースが行われる事も少なくなく、その意味でも見逃し配信は有り難い。
注意点
ストリーミングサービスの特性上、回線状況やデバイスの性能などにより遅延や障害が発生する可能性がある。
かつて類似のF1ネット配信サービスである「Formula 1 on ZUME」は、許容できないレベルの遅延や障害が頻発し、視聴者から大きな不評を買った。しかし、後発のDAZNはこうした課題に対し精力的に対策を講じており、遅延の程度を示す「リバッファリング率」をフルシーズンを初めて配信した年の半年間で1.2%から0.2%へと大幅に低減させた。
現在では目立った遅延もほとんどなく、安定した配信品質を維持している。
パナソニックのビエラやSonyのブラビア等に代表されるスマートテレビの他、「Apple TV」や「Chromecast」や「Amazon Fire TV」に対応しているため、これを別途購入することで、自宅のテレビ画面でDAZNを楽しむことも出来る。
2:フジテレビNEXTライブ・プレミアム
特徴
F1放送の老舗であるフジテレビは、1987年に鈴鹿サーキットで初開催された日本GPからF1全戦の放送を開始し、今年で38年目を迎える。フジテレビNEXTライブ・プレミアムは、2009年4月1日に専門チャンネルとして放送を開始した。
解説陣にはお馴染みの川井一仁、森脇基恭、津川哲夫をはじめ、現役トップドライバーの松田次生、元ブリヂストンタイヤ開発本部長の浜島裕英、元ホンダF1マネージングディレクターの山本雅史など、モータースポーツ界の著名人が名を連ねている。
最大の特徴は、インターネット配信サービスとは異なり遅延が発生しない点であり、安心・確実にレースを視聴できるという大きなメリットがある。「総集編」や「F1レジェンド」、「F1 GPニュース」といった関連番組が楽しめるのも魅力の一つだ。
さらに、スカパーで「フジテレビNEXTライブ・プレミアム」を契約すると、加入月に限り無料で視聴できる特典がある。また、スカパー契約者には「スカパー!番組配信」のインターネット無料配信サービスが付帯し、ライブ配信のほか、各セッションや「F1 GPニュース」の見逃し配信が利用可能である。
かつてはフジテレビによる1社単独放送だったが、現在ではDAZNの参入に伴い競争が生まれた。その中で、フジテレビはSNSアカウントを活用し、ハッシュタグ「#f1fujinext」を通じて視聴者からの質問を受け付けるなど、ファン目線でのサービス向上に努めている。
料金体系
かつては加入料として2,800円を支払う必要があったが、2017年10月1日にこの制度は廃止された。2024年4月1日からは月額料金が660円値上げされ、月額2,409円に改定されたものの、F1のみを視聴できれば十分というユーザーにとっては、依然としてDAZNよりも遥かに魅力的な選択肢と言える。
月額費用 | 2,409円 (税込) 視聴料:1,980円 + 基本料:429円 |
---|---|
初回費用 | 0円 |
放映形式 | CS放送 |
放映対象 | 全戦の全セッション |
4K放送は終了
2019年よりフルハイビジョンの4倍の画素数を誇る4K放送が開始された。当初は別途月額1,540円(税込)で提供されていたが、2021年からは付帯サービスとして無料で提供されるようになった。
4K中継はフリー走行を除く予選と決勝に限定されていたが、キメ細かな超高精細映像と5.1チャンネル・サラウンドによる立体的な音響が、最高の視聴体験を提供していた。しかし、2022年シーズンをもってサービスは終了した。
申し込みの流れ
- スカパーが映るかチェック
- WEBか電話で申し込み
- 30分後に視聴可能
自宅のテレビで「CS161」を選局し、映像が映るかどうかを確認する。その後、テレビに差し込まれているB-CASカードの番号を控え、WEBまたは電話で申し込むだけでよい。申込みから約30分で視聴が可能となる。
注意点
視聴するにはCSアンテナが必要となる。自宅にアンテナが設置されていない場合は、別途アンテナ本体および工事費用が発生する。ただし、家の間取りや環境によっては、安価な室内型アンテナを使用することで受信が可能であり、この場合は工事が不要だ。また、卓上ブースターと呼ばれる電波増幅装置を併用すれば、多くの環境で問題なく視聴できるだろう。
3:フジテレビNEXTsmart(ネクスマ)
特徴
“ネクスマ”の愛称で知られる本サービスは、スマホ、PC、タブレットなどで「フジテレビNEXTライブ・プレミアム」のコンテンツを視聴できるインターネット配信サービスだ。利用料金は月額1,980円で「FOD」や「SPOOX」などを通して視聴できる。
ただ、「フジテレビNEXTライブ・プレミアム」をスカパー!、J:COM、ひかりTV経由で契約している場合、各社のオンデマンド配信サービスを通じて追加料金なしで無料で視聴できる。
2018年以前はネクスマの単品契約ではF1放送を視聴することができなかったが、2019年以降は単品契約でも視聴が可能となり、「F1 GPニュース」などの関連番組を含むすべてが生配信されている。
ただし、番組内容は「フジテレビNEXTライブ・プレミアム」と異なる場合があるとされており、視聴前に都度確認することが推奨される。
料金体系
月額費用 | 1,980円 (税込) |
---|---|
初回費用 | 0円 |
放映形式 | ネット配信 |
放映対象 | 全戦の全セッション |
注意点
見逃し配信に関しては「一部の番組のみ対応」とされており、必ずしもF1コンテンツの見逃し配信が保証されているわけではない点に注意が必要だが、それを許容できるのであればDAZNではなく「フジテレビNEXTsmart」も選択肢となる。
DAZN同様、ストリーミング配信なので遅延などの障害が発生する可能性がある。ローンチ当初の2013年当時は使いものにならないくらい遅延がひどかったが、近年は然程気になるような遅延はない。
総括
ネット配信ならDAZN
レースはやはり生観戦が醍醐味だ。緊迫したレース中に突然映像がフリーズする可能性があるネット配信は、慎重に選ぶ必要があるものの、近年の改善ぶりは注目に値する。
一方で、見逃し配信に不安のある「フジテレビNEXTsmart」は、価格以外で価値を見出しにくい面がある。確かに価格は上昇したが、ネット配信サービスを利用するのであれば、DAZNを推奨したい。特に野球やサッカーなど、他のスポーツも楽しみたいファンには、より魅力的な選択肢と言えるだろう。
年に12ヶ月間視聴するのであれば本家DAZNの「年間プラン(一括払い)」が月額2,666円相当で最も安い。
最大1,064円引きの特典が利用できるのであれば、実質3,136円の「DAZN for docomo」が、F1以外にもアニメや大人向けコンテンツを楽しみたいという方には「DMM × DAZNホーダイ」がおすすめだ。
高画質・遅延なしならフジNEXT
CS受信環境が整っており、最高の視聴環境でレースを楽しみたい場合には、「フジテレビNEXTライブ・プレミアム」が最適な選択肢と言える。料金面でもDAZNに比べて優位性があり、コストパフォーマンスの面でも魅力的だ。
迷ってしまう場合は…
どれを選ぶべきか迷った場合は、まずは無料トライアルを利用して「フジテレビNEXTライブ・プレミアム」を試してみるのがおすすめだ。