石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』
「ストリートファイター6」をアラフィフが今から始めて面白いのか?
1人プレイでも楽しめる仕組みと、初心者にもわかる駆け引きの熱さ
2025年1月1日 12:55
eスポーツでにぎわっている対戦格闘に挑戦してみよう
あけましておめでとうございます。21世紀の4分の1が終わる年となりました。『アンゴルモアは来なかったな!』とか『199X年に世界は核の炎に包まれなかったな!』とか言っていたあの時からもう25年です。歳をとるのは怖いことですね。
さて、本稿を執筆する現在はもちろんまだ2024年、12月26日でございます。来年は何か新しいことにチャレンジしてみようかとか、年末年始に何をしようかと考えた時に、『そうだ、久々に対戦格闘ゲームをやってみよう』と思いつきました。
ちょうどSteamのセールで「ストリートファイター6」が半額になっていたから(1日3日まではSteamウィンターセールなので、まだ間に合うかも?)というのもありますが。本作はeスポーツ界隈でもにぎわっている日本製タイトルですし、ゲーム学問として履修しておく価値はあろうかと思います。
見た目難しそうですよね……?
かく言う筆者は1990年代、対戦格闘ゲームを好んで遊んでおりました。「ストリートファイター」シリーズだと「II」から「ZERO」辺りですね。特に「ZERO」に登場する「ローズ」というキャラがお気に入りで、対空投げ技の「ソウルスルー」ばっかりやっていた記憶があります。
当時はいろいろな対戦格闘ゲームをプレイしましたが、社会人になった2000年以降は触れる機会が激減しました。ゲージを消費する超必殺技みたいなものが出てからシステムが複雑化していき、見た目にとっつきにくくなっていったように感じています。
「ストリートファイター6」はプロ選手のプレイ動画を時々目にしますが、敵の攻撃を無効化しつつ反撃する技や、2種類あるゲージなど、やはり見た目に難しそう。すごいコンボは練習しなければいけないのはわかりますが、システムの理解の時点で、50歳に迫ったオッサンにはついていけないんじゃないか……という心配があります。
とはいえ、そんなに間口の狭いゲームでは人気は出ないはず。何十年も格闘ゲームを遊び続けてきた人のための作品という悪い印象はないですし、若い選手も活躍しています(他のeスポーツに比べて、ベテラン選手が多い作品であるのも事実ですが)。
まずはチュートリアルで基本を学ぼう
ということで、年末年始に時間ができたらのんびり遊んでみようと思ったわけですが、編集部から『1月1日に掲載する記事が欲しいです』と言われ、年末の激務の最中に書いております。時間がないのでとにかく遊んでみましょう。
ゲームを開始すると、デモが流れた後にアバター作成が始まります。この辺はお好みでやっていただくとして、そのまま進めていくと[コミュニティハブ]というところでAI相手に戦うよう言われます。ここはいったんタイトル画面に戻り、3つのメニューのうち右側の[ファイティンググラウンド]に移動します。
ここには基本操作を学ぶチュートリアルがあります。移動や攻撃、コマンド入力の必殺技、そして画面下のゲージを消費するスーパーアーツの解説があります。この辺りは1990年代の作品と変わらないのでざっと流して進みます。さほど時間はかかりません。
次に出るのがドライブインパクト。これが敵の攻撃を無効化しつつ反撃する技で、体力ゲージのすぐ下にあるドライブゲージを消費します。出し方は強パンチと強キックの同時押し。ゲームパッドでの操作なら、1つのボタンに同時押しを割り当てれば1ボタンで出せます。
他にもテクニックや各キャラクターのコンボなどを練習できるモードが充実しているので、必要に応じてここで学べます。筆者は基本システムを押さえ、いくつかコンボ練習をしたところで、最初の[コミュニティハブ]に戻りました。
ドライブインパクトを覚えるだけで楽しさが一気に広がる
[コミュニティハブ]では、AIを相手に対戦できます。このAI「まねもんくん」は、オンラインで対戦しているプレイヤーの動きを学習しているそうで、強さもプレイヤーのランクに合わせて調整可能。人間っぽい動作で練習相手をしてくれる仕組みです。
実際にやってみると、初心者にはなかなか歯ごたえがあります。一番弱いAIでも、スーパーアーツやドライブインパクトをじゃんじゃん使ってきます。ちゃんと反撃を考えてコンボも狙わないと、なかなか勝たせてもらえません。
そうして対戦しているうち、プレイヤーのランクが上がっていきます。するとAIのランクも調整され、少しずつ強くなっていきます。自分の腕前に合わせたAIと自然に戦えるようになっていて、これだけで相当楽しめそうな印象です。
また対戦の中で、AIが出すドライブインパクトで簡単に反撃されることに気づきました。こちらが適当に攻撃を出していると、すぐドライブインパクトで返されて大ダメージを受けます。これがとにかく強い。
ということは、逆にこちらも出せばいいのでは? 試しに敵が攻撃してきそうなタイミングで発動すると、敵の攻撃を見事に潰して反撃できます。しかし敵がジャンプしたら避けられますし、投げを仕掛けられるとやられるなど弱点もあります。また相手のドライブインパクトに合わせて自分もドライブインパクトを出すと、後出しした方が勝つ仕組みです。
ドライブインパクトを出すのは1ボタンで簡単です。つまりお手軽で強力な技なので、どんどん使っていこうということ。そして『相手もここで使ってくるのでは?』と考えると、駆け引きのポイントとして機能することがわかります。
相手の攻撃をただガードして反撃の機会を待つのではなく、相手の攻撃を読んで積極的にカウンターを狙えるのがドライブインパクト。お互いに攻めの姿勢で、かつ緊張感をもって駆け引きができる仕組みではないかと思います。
とにかく簡単で強力なドライブインパクトを使えば、本作の面白さや爽快感がぐっと増します。筆者も時間がないと言いながら、気づいたらAIと1時間以上戦っていました。とはいえまだ最低ランクのルーキーですし、先は長いようです。
他にも心配事があれこれ
『本作を楽しむならオンラインで対戦しないとダメなんじゃないか』という心配もあると思いますが、今のところはAIとのバトルだけでかなり満足感がありそうな手ごたえです。自信がついたらオンライン対戦に挑戦してもいいですが、義務ではありません。オンライン機能がない時代の家庭用ゲーム機で遊んでいるのと同じで、楽しければそれでいいのです。
『ゲームパッドでいいの?』と思われる方もいるでしょう。プロの中にもゲームパッドを使用する選手がいるので、決してダメなわけではありません。ただコマンド入力がしづらいという声は多いので、そこはお好みで。個人的にはレバー操作もボタンで行うレバーレスタイプに興味があります。少し触ったことがありますが、意外と操作はすぐ慣れて、コマンドも出しやすかったです。
『高価なゲーミングPCが要るのでは?』という点については、最近のPCで外付けGPUが搭載されているならまず問題ありません。内蔵GPUでも、最近の高性能なものであれば設定次第で十分遊べます。気になる方は本作のベンチマークツールを試してみてください。
『オッサンでも大丈夫?』という今回の本題ですが、もちろん大丈夫です。「ストリートファイター」シリーズに20年以上のブランクがあっても、ちゃんと本作から楽しめます。短時間のプレイでも十分楽しさは感じられましたので、安心してチャレンジしてください。
『昔使っていたあのキャラは居る?』……それはいない場合も多いかと思います。筆者が使っていた「ローズ」もいません。ただ本作では「キャラクターパス」という有料追加コンテンツで、定期的にキャラクターが追加されています。最近だとSNKの「餓狼伝説」から「テリー・ボガード」が追加され、近日中に「不知火舞」も登場予定です。
プロの試合を見ているだけで面白い本作ですが、自分もプレイしてみればより面白さがわかるはず。eスポーツを楽しむ一環として、ぜひ遊んでいただければと思います。本年もどうぞよろしくお願いいたします(まだ12月26日ですが!)。
1977年生まれ、滋賀県出身
ゲーム専門誌『GAME Watch』(インプレス)の記者を経てフリージャーナリスト。ゲーム等のエンターテイメントと、PC・スマホ・ネットワーク等のIT系にまたがる分野を中心に幅広く執筆中。1990年代からのオンラインゲーマー。窓の杜では連載『初月100円! オススメGame Pass作品』、『週末ゲーム』などを執筆。
・著者Webサイト:https://ougi.net/
PCゲームに関する話題を、窓の杜らしくソフトウェアと絡め、コラム形式でお届けする連載「石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』」。PCゲームファンはもちろん、普段ゲームを遊ばない方も歓迎の気楽な読み物です。