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東京大学、数理・データサイエンス・AIに関する教材を無償公開

政府の「AI 戦略 2019」に対応したモデルカリキュラムすべてに準拠

今回リリースされた応用基礎レベル教材の教材

 東京大学 数理・情報教育研究センター(MIセンター)は6月8日、数理・データサイエンス・AI教材の無償公開を開始した。政府の「AI 戦略 2019」に対応した数理・データサイエンス・AIモデルカリキュラムすべてに準拠した教材の公表は、全国で初めての試みだという。クリエイティブコモンズライセンス(CC BY-NC-SA)の下、国内すべての大学・高等専門学校などで利用できる。

 「MIセンター」は2017年、複数の研究科が連携する全学的組織として設立。東京大学全体の数理・情報教育の支援・促進に加え、全国120の国公私立大学・高等専門学校などからなる「数理・データサイエンス教育強化拠点コンソーシアム」の事務局として、すべての大学が参照可能なモデルカリキュラムの策定、教材開発など、全国の数理・データサイエンスAI教育の強化・質の向上に取り組んでいる。

 今回公表された教材は、政府は2019年6月に決定した「AI 戦略 2019」に即している。同戦略は「文理を問わず、全ての大学・高専生(約50万人卒/年)が、課程にて初級レベルの数理・データサイエンス・AIを習得」、「文理を問わず、一定規模の大学・高専生(約25万人卒/年)が、自らの専門分野への数理・データサイエンス・AI の応用基礎力を習得」といった目標を掲げているが、その実現のため具体的に策定されたモデルカリキュラムを教材に落とし込んだものといえるだろう。今回公開されたのは応用基礎レベル教材の教材だが、これを4月に公開されたリテラシーレベルの教材と合わせれば、カリキュラムで獲得すべき知識・スキルとして挙げられている192のキーワードすべてをカバーできる。

 MIセンターやコンソーシアムは今後、この教材を活用したワークショップなどで普及を進めたい考え。我が国の数理・データサイエンス・AI 教育の底上げを図るとともに、教員不足の解消やデジタル改革の推進に貢献したいとしている。学生の自習や社会人教育への活用も期待される。