映画

2024.11.12 16:15

袴田事件と共に学ぶ。アメリカの冤罪との闘い│映画「黒い司法 0%からの奇跡」

© 2020 Warner Bros. Entertainment Inc., MACRO JWMH, LLC, Participant Media, LLC and BRON Creative USA, Corp. All rights reserved.

テーマもメッセージも最初から明快なこのドラマが見る人を惹きつけるのは、無駄のないキビキビした演出と俳優の力によるところが大きい。ドラマの最後に紹介されている、ブライアン・スティーブンソンやウォルター・マクシミリアンら当時の本人たちの写真からも、ドラマでのキャスティングの巧さと俳優陣の力量を感じさせる。
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作中では、裁判書類を読み込んだブライアンが、ウォルターに不利な証拠は別件で逮捕され裁判中の囚人・マイヤーズの証言しかないことに疑念を持ち、担当の地方検事チャップマンにねじ込むが、けんもほろろの扱いを受ける。

次にウォルターの家族と会ったブライアンは、彼には白人女性と浮気したという弱みがあったこと、彼の当日のアリバイを知っている黒人たちの証言がまったく採用されていないこと、前の弁護士は何の仕事もしなかったこと、その他有力な情報を聞き出す。
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ウォルターとエバは口の重い町の人々に熱心に聞き込みをし、事務所を立ち上げて本格的に活動していくが、地元警察からは常に見張られ、正体不明の脅迫さえ受けるようになる。
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マイヤーズの供述を録音したテープを探し当て、収監中の彼をやっとのことで口説き落とした結果、ようやく再審請求に漕ぎ着けるまでが最初の山場である。

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「目の上のタンコブ」な弁護士

ウォルターが殺人犯に仕立て上げられたて背景にあるのは、紛れもなく黒人差別だ。町の人々を震え上がらせた殺人事件の犯人を、微罪のある黒人に体よく押し付けるために仕組まれた司法取引。黒人が被告ゆえに金だけ巻き上げて逃げた、前の弁護士。重大な疑問を投じられても、捜査を見直すなどハナから念頭にない検事。言動の節々に黒人への偏見が見られる警察や死刑囚監房の職員たち。
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文=大野左紀子

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