15日の14時過ぎにFacebookの開発ディレクターが「現役社員がこんなことを書くなんて信じられない」というコメント付きでシェアしていた「Ten Things I Hate About Working at Facebook(私がFacebookで働いていて嫌いな10個のこと)」という記事が面白かったので共有です。
いきなりニュースフィードに流れてきたので、IPO後の初業績報告だとかIPO以来の幹部入れ替わりが話題になってるから社内はピリピリしてんのかなぁ、まだエイプリルフールじゃないしなぁと思いつつ帰宅してジックリ読んだわけですが、読んでみて納得です。考えてみたら、本当にマズい内容だったら開発ディレクターが拡散したりしませんよね。
以下、本文和訳です。
Facebookで働いているこの2年間は完全な悪夢で、自分のキャリアで二度と繰り返したくはない類のものだ。この感情を長く胸にとどめすぎていた。Facebookでの勤続2年祝いということで言わせてもらうけど、ここで働くことに関して嫌いなことはゴマンとある。簡潔にする為に、ここでは私の持っている不満のトップ10をまとめてみた。
- commit/shipされるコードが多い 過去2年で、Facebookの従業員は2倍以上になり、それに比例してソースコードのコミット率も増えている。これはFred Brooksが40年近くも前に「人月の神話」で確立した法則を破っている。これこそが人月計算の何たるか、すなわち神話なのだ。私の周りのエンジニアは四六時中コードをコミットし、毎週新機能をリリースしている。私はそれを見ながらほくそ笑んでいるのだ。幸せな、幸せな愚か者達だ。
- ミーティングが少なすぎる. これは実際のところ一個目と関連があって、おそらくは一個目の主要な原因だ。水曜はミーティング無しというミームさえある程で、あなたもこれをコミュニケーション破綻という自殺願望と呼ぶかもしれない。ソフトウェアというものは、話され、議論されなくてはならず、ただ書けば良いというものではない。間接的に影響を受ける幅広い集団の代表達で議論すること無く、代わりに凄まじい速さでコーディングしshipしている様は狂気だ。
- ザック(ザッカーバーグ)が干渉しすぎる 今となっては公開企業なのだから、CEOの仕事は外部(主に主要株主、アナリスト、評論家)と接することのはずだ。ザックは未だに今後の製品について計画を立て、エンジニアと会話し、戦略を立てている。完璧に時間の無駄だ。彼の仕事は株価を上げるべきで、ものを作るべきじゃない。
- 短期収益への注力が足りない これは3番目にも関係してくる。素晴らしい製品を作るという、ザックの無邪気とも言える理想主義は、確かな長期収益に繋がってくるだろう。だけど、株価はこの四半期で値下がりしている。我々は今や公開企業なのだから次の四半期の収益を絞り出すべきで、クールなものを作っている場合じゃない。私には他の主要なウェブサイトよりも広告が小さく表示されているように見える。バナータイプの広告を出すべきだし、ユーザデータをサードパーティに対して売るべきだ。社内では誰一人としてこういったビジネス戦略を提案していなくて、ビジネス感覚のなさがハッキリと分かる。
- 飯が良すぎる 飯が美味くて何がマズい?多すぎるんだ。一日三食。無料。受賞歴のあるシェフの調理。それから、選択肢も多すぎる。サラダ、エントリー、デザート、ベジタリアンフード、スープ、全粒穀物、大体の場合は2つ目のデザート、有機なんとか、バーベキュー、アイスクリーム、絞りたてのオレンジジュース。私のように食に関して自制心の効かない人間には、この"ご利益"だか"福利厚生"は完全な災難だ。食品医薬品局が踏み込まない理由が分からない。
- エンジニアの決定が多すぎる とくに、そのプロダクトチームに関わるエンジニアによる決定だ。Facebookの誰一人として、組織の階層構造には理由があるということ(上層部の人間なら気に入らない決定を覆せるなど)を理解していないらしい。エンジニア一人によって決断された場面を見たこともある。エンジニアとデザイナーのランチがランチを食いつつ決断する場面も。インターンによる場合さえある。しかも彼ら自身の上長に知らせることさえ無い。この種の自律的な決断は、企業がどのように働くべきかの理解が全くないことを示していて、役職付きで幅広いマネージメントの責任を持つ人々を無視している。私はよりシンプルなアプローチ、ザックに最も近い人物の意見を聞くというものを勧めている。もしくは、そこにいる中で一番多くの人間を管理している人物だ。だけど誰も聞きやしない。
- ハッカソンで作り出されるアイディアが多すぎる これは6個目の直接的な結果だ。ハッカソンのプロジェクトのうち70%がサイトに組み込まれると聞いたことがある。少人数のエンジニアグループが夢見て1日で実装した機能なのにだ。私は創造性と"権限委譲"を信じているが、正式に計画されず、上級幹部の承認を得ずに実行されることが多すぎる。幹部がいるのには理由があるんだ。彼らが何を作るべきかを指示するべきだ。それ以外の方法ではない。企業は独裁的であるべきで、民主的ではない。ただ自分たちが面白いものを何でも作れば良いってのか?リーダーシップはどこへ行ったんだ。
- モバイルとプラットフォームの注力方針が完璧に間違っている この点について長々と論じてあなたの知性をけなす気はないから、長くは語らない。言いたいのは、モバイルデバイスが全く重要でないのは自明だし、サードパーティにソーシャルグラフを提供するなんてバカバカしい。
- ニューヨークのオフィスには浴槽があり、そこで採用面接が行われる Twitterで写真を見るまでは信じられなかったが、プレッシャー下での志望者の回復力を試す為という名目で私へ請求が来た。これが使われることは稀で、特に優秀な志望者の根性を試す場合のみ使うと聞いている。これまで聞いた中でプロフェッショナルらしさが最も感じられないし、いくつかの州の法律に触れると思っている。(これがもっともらしいと思われたとしたら、それは間違いだ。私はシアトルのFacebook支社のカンファレンスルームに浴槽を設置したが、そこで採用面接をしたことは無い。)
- 社内での信頼関係が過剰 Facebook社内の人々は通常、冗談抜きに、まだ一緒に働いたことも無い従業員が業務内容に長けていて、勤勉で、約束を守るものと考えている。この種の理想主義ははっきり言って吐き気がする。実際のところ、社内政治と相互不信こそがダイナミズムとドラマを作り出し、仕事を価値あるものにするのだ。これらが無かったら、もう単にコードを書いて書いて書いて、ship、ship、shipするだけじゃないか。考えるだけで疲れてくる。
あなたがソフトウェアエンジニアなら警告として受け取ってくれ。私は自分が見たようにしか言わない。
本文中で飯について触れていますが、Facebook Culinary Teamを見てみると雰囲気が伝わってきます。またハッカソン発の機能についても触れられていますが、いいね!もハッカソンで作られた機能ですね。いいね!ボタンの歴史で紹介しています。