こんにちは、イノベーションセンター Agile CoE PJリーダーの岩瀬(以下、iwashi)です。
NTT Comで技術顧問をされており、アジャイルコーチでもある吉羽さん(以下、ryuzee)に「普段からどうやって学んで、どうやって活用しているのか?」という問いを1on1で投げかけてみました。本記事では、1on1模様の一部を公開します。
情報収集やナレッジマネジメントのテクニックが載っていますので、興味ある方はぜひご覧ください。というわけで、早速いってみましょう!
RSSリーダーを使って購読
iwashi: ryuzeeさんは海外記事の翻訳など、かなり幅広く情報収集をされている印象があります。普段はどうやって情報をみつけているんですか?
ryuzee: RSSリーダーにたくさん登録しています。最近はRSSリーダーが下火で悲しいんですが、feedlyを使って色々なRSSを購読しています。
海外の記事と国内の記事の両方が対象です。
はてなブックマークの記事にはタグごとにRSSを出力できるので、それで登録しているものもあります。 たとえば、Scrumってついていたり、Agileってついていたりするのはダイレクトに記事をみつけられます。 もちろん、玉石混交になるため、すべての記事をじっくり読むわけでもありませんが、世の中の意見はだいぶわかります。
iwashi: なるほど。個人的にはSlackで特定のチャンネルにRSSを流して確認しています。ryuzeeさんは何を使って中身を見ているのでしょうか?
ryuzee: MacだとReederというRSS専用アプリがあって、それを使ってます。
無限連鎖で情報を探す
iwashi: そもそもRSSで購読する種はどうやって探していますか?
ryuzee: 良いサイトから無限連鎖するんですよ。良い記事は、良い情報を引用していることが多いので、引用先を見に行っていくつか読んでみて、良かったら購読してます。
あとはTwitterで海外の人をフォローしているので、そこで流れているサイトで良さそうなものがあれば追加しています。ちなみに、Twitterだと by name で探しています。たとえば、 Management 3.0 の @jurgenappelo や、スクラムの @jeffsutherland とか。他には認定スクラムトレーナーの有名人をフォローしていると、たまに何かしら流れてくるので、その辺の情報を確認しています。
iwashi: そうしていくと、RSSの量がかなり多そうなんですが、いつ見ているんですか?
ryuzee: いつでも見ていますよ(笑)。四六時中、時間が空いたら。特に、朝一に見ることが多いです。コーヒーを飲みながら読んでます。
もちろん1回で全部読むというわけではなくて、スクリーニングしてしっかり読む・読まないを識別しています。 たとえば、「これは知っているから読まなくていい」「これはよく知らないからちゃんと読もう」など。
iwashi: トリアージみたいな感じです。
英語記事の対応
iwashi: 英語の記事を読むときは、どうされていますか?
ryuzee: ざっと読むときはまるごとDeepLに突っ込んでしまうこともあります。
また、構造やフレームワークを説明する記事は、そのパターンを再利用できることも多いので、仕事の道具箱に加えるイメージでObsidianに入れています。Obsidianに入れるときは、タグをつけて他のメモとリンクを貼っています。
こうやって整理していくと毎日メモが増えていく感じになり、日本語・英語関係なく増えています。
iwashi: Twitterのタイムラインの途中に英語があると、目が滑っちゃう問題ってありませんか?
ryuzee: 海外の情報源は、英語専用のリストを作って TweetDeck のリストで見ています。ある程度真面目に読んでます。
それから、TwitterだとOGP画像が含まれているので、それも識別材料になります。
日々の「メンテナンス」がすべて
iwashi: 少し話題を変えて、ここまで読んでいた記事の内容を実際の業務に活かすコツってありますか? コンテキストが同じというものは滅多にないので、そのまま活かせるものは少ない、と考えているのですがどうでしょうか?
ryuzee: 毎日メンテナンスしておくこと、これに尽きます。メンテナンスしておいた内容はすぐに取り出して活用できるようになります。
クリップツールやメモツールは無数にあるんですが、メンテナンスしないでWebページをクリップし続けると、ゴミ箱になって2度と見なくなります(笑)。ナレッジベースは常にメンテナンスするのが大事です。
たとえば、スクラムのトレーニングを業務で提供していますが、よく聞かれる質問ってあるんですよ。ナレッジベースにそのあたりは溜めてあります。
iwashi: 以前に、あるWebクリップツールを使っていたんですが、メンテナンスしておらず、途中で読まなくなってしまったのを思い出しました。たしかにメンテナンスが大事ですね…。
ryuzee: そうなんです。ツールに関係なくゴミ箱になります。どんなツールを使っていても、日々メンテナンスしないと捨てることになる。もちろん日々のメモとして書き捨てのものは構わないですよ。
iwashi: これってシンプルなんですけど、なぜできないんでしょうね? 大変だからですか?
ryuzee: やっただけのリターンが得られないと続かないんです。コンサルティング業やコーチ業は圧倒的瞬発力が求められます。いろんなネタを瞬時に投下しないといけない。だから、認定スクラムマスターの研修だと、たとえば数百個個ぐらいはコピペで応えられる情報を用意してあります。
そういったものは全部 Obsidian にいれてます。過去のスクラムガイドも全部入ってます。
最近だとさらば、翻訳調の文章! 技術者向け校正ルールという10年以上も前の記事が素晴らしかったので、早速Obsidianに入れました。ただし、Obsidianに入れるときはhtmlを除去して、plain markdown にする必要があるので、ツールも使います。ある程度、手をかけてます。
iwashi: ナレッジベースがどんどん大きくなると、もう必要ないメモも増えていきますよ。これはどうされているんですか?
ryuzee: 不要になったテストコードを捨てるのと一緒で、いらなくなったメモは捨てています。上位互換の記事が出て、それだけ見ればよいときもありますし。過去のものとの差分が必要になるときもありますが、多くの場合はいりません。差分が必要なのは、スクラムガイドなどです。
iwashi: なるほど。それから記事・メモが増えたときによくある困ることとして、探し出す難しさがあるかと思います。これはどのように対応されていますか?
ryuzee: よくある方法にフォルダによる整理がありますが、あれは無理筋です。1つの断面に切れないんですよ。そのため、タグをつけてあとは検索、という感じになります。
アプリもよりますが、検索が強いものは、検索で十分にがんばれます。Obsidianが最高なのは、中身がマークダウンであり、テキストファイルという点です。テキストファイル最高!という話は、達人プログラマーの「プレインテキストの威力」という話にもつながります。
iwashi: たしかにテキストファイルの互換性は、時代を経たとしても強いです。30年前のファイルでも読めますし、30年後でも読めると思います。似た話で、画像をスクリーンショットで作っていくとよい、なぜならば画像も時間が経ってから読めるという記事も最近読んでいて通じるものがあると思いました。
長くなってきたので、そろそろ終わりにします。色々と教えていただきありがとうございました!
まとめ
ということで今回は、技術顧問のryuzeeさんがどうやって学んでいるのか?どうやって学びを活用しているのか?というテーマで1on1した話を共有してみました。
ナレッジマネジメントは、個々人によってスタイルが違うものかと思いますが、少しでも参考にできる部分があれば幸いです!