【再掲】日本発の強いSaaSビジネスを作るには?SaaSビジネスモデルを7年の経験から徹底解剖

はじめに

この記事は2019年9月27日、Tech Crunch JAPANに僕が寄稿した記事の再掲です。Tech Crunch JAPANは、2022年3月31日更新終了・5月1日にサイトを閉鎖しました。今回、編集部の皆さまのご配慮で本記事の再掲許可をいただきましたので、ここに残します。
内容はすべて当時のままにしてますので、情報が一部古いものもありますがご理解いただけますと幸いです。

日本でもビジネスとして関心が高まるSaaS
freeeを創業してから7年以上が経った。創業当時はまだSaaSビジネスをどう評価すべきか、何
を指標として伸ばすのか、そのノウハウはまだ日本にはなかっただろう。僕自身は、Googleの
頃にSaaSビジネスについては少しだけ馴染みはあったものの実際に事業として運営をするの
は、ほぼほぼ、初めてであった。よって、多大なる試行錯誤、海外VCとのディスカッション、
海外の記事の読み漁りなどを重ね、SaaSビジネスについて理解を深めてきた。
海外では、SaaSの草分けとも言えるSalesforceは2004年より上場しており、SaaSビジネスモ
デルについての世の中への理解促進の活動を繰り返してきた。そして今や米国に上場する主要
SaaS企業のリストだけでもこれくらいの大きなリストになっており、ビジネスが理解されるこ
とで、ビジネスモデルへの大きな期待が集まっていることが良くわかる。
SaaSのビジネスノウハウにおいても海外が先行している。最近では日本のSaaS業界の人も多
く訪れるようになったSaaStr Annualというイベント(以前はサンフランシスコ、今はサンノ
ゼで開催されている)に僕も数年前に訪れたが、SaaSの主にビジネス面をテーマとしてこれほ
ど大規模なカンファレンスが行われているということ自体に、この業界に対する日本と海外で
の注目度に圧倒的な差を感じた。
そして、ついにここ数年、日本においてもSaaSが大きく注目を集める領域となってきた。
SaaS企業への投資は圧倒的に増えているし、今年は、Sansan、スマレジ、Chatwork、カオナ
ビなどSaaS企業の上場などがあり、日本にもSaaS分野の上場企業が増えている。

Japan Venture Research:SaaS REPORT 2019 -資金調達傾向からみるSaaSスタートアッ
プの現在地と未来

SaaSはテクノロジー業界における総合格闘技
SaaSは「テクノロジー業界の総合格闘技」とも言える産業であると、僕は日々思っている。技
術、プロダクト戦略、営業やマーケティング、カスタマーサクセス、事業計画やシミュレーシ
ョン、組織づくり、ファイナンス、など、あらゆる力を駆使して初めて顧客への価値とビジネ
スに結びつくのだ。
技術やプロダクト戦略は当然ながら最も重要なピースだ。「クラウドでソフトウエアを提供す
ること」自体が価値になるわけではない。例えば、会計ソフトの文脈で言えば、クラウド型の
会計ソフト自体はfreee以前からも存在していた。しかし、freeeの登場によって市場が大きく
変わったのは、単に「会計ソフトをクラウド化する」というコンセプトで参入したのではな
く、「会計帳簿づけを自動化する、会計だけでなく、業務全体を効率化する」というこれまで
の会計ソフトで焦点があたっていなかった価値を提供することができたからだ。
営業、マーケティング、カスタマーサクセスも当然重要だ。後述するように、LTV(生涯価値)
ベースで従来とは異なる管理が求められるし、販売する製品は日々進化していくものであるの
で、個別の機能をアピールして販売するのではなく、コンセプトを理解いただき販売すること
が重要である。そして、販売後も、実際に使われていないと解約となってしまいビジネス上の
価値がないことも当然ながら課題である。自然と強い顧客目線が求められるのが、SaaSビジネ
スの面白い部分だ。
また、後述する通り、SaaSビジネスには成長投資が求められ、中長期的に価値を生み出し投資
を回収していく。故に、まとまった資金を確保できないとビジネスは成立しづらい。資金調達
力や資金余力がなければ、ビジネスを支えられない。実は、この点は日本においてSaaS産業の
立ち上がりが遅れた大きな理由の一つでもあると僕は考えている。最近、SaaSに対するVC投資
が活発であることは大きな追い風だ。
SaaSビジネスは、しっかりシミュレーションすれば、将来が非常に読みやすいという大きな特
徴があるため事業計画も非常に重要だ。個人的には若いころにPEファンドで、キャッシュフロ
ーモデルなどをつくりまくる仕事などをした経験などは大きく活きたし、計画や分析をしっか
りできる状態になっていないと、将来の読みやすさを武器にできない。
このように、技術やプロダクト戦略を中心として、ビジネスのあらゆる部分がこれまで以上に
チャレンジングな側面を持ち、それらを持ち寄って噛み合っていないと成功しない、強い組織
力と総合力の求められる面白い分野だと思う。

SaaSがつくるソフトウエアの未来と「評価できない」というボトルネック
「あらゆる人々がパソコンやスマホに限らず、さまざまなデバイスからソフトウェアを操作
し、自分や自分のビジネスに関するデータを見る、AIがインサイトを届ける」ということは今
後、ますます当たり前になっていくであろうし、その際に「クラウド化」や「SaaS化」は重要
な前提条件だ。
ここ20年くらいの間は、いわゆるホワイトカラーと呼ばれる人たちの中では、エクセルなどの
スプレッドシートをいかに使いこなせるかは一つの重要なスキルであったが、ある程度の分析
はスプレッドシートと格闘しなくとも、それこそスマートスピーカーに聞くだけで結果がでて
くるようになっていくだろう。
SaaSはこのようなソフトウェアのパラダイム・シフトを牽引する産業であり、この産業が強い
ことは、そのマーケットのソフトウエア産業の実力値であるとも言える。SaaSビジネスが成長
していくには、サービス提供とイノベーションをおこすために求められる様々な技術はもちろ
んのこと、ソフトウェアを育てる上で求められるビジネススキルや、それを取り巻く資本市場
などのエコシステムが、そのマーケットにおいていかに充実しているか強く求められるため
だ。
そういったエコシステムの形成において特に妨げとなる重要な事実は、会計ソフトの会社を経
営する僕が言うのもおかしな話ではあるが、SaaSビジネスは、伝統的な決算書(すなわち会計
上のP/Lやキャッシュフロー)からはなかなか正しくビジネスを評価できないこと、そして一般
的に成長投資のための資金が必要という部分にある。
freeeは、会計や人事という、あまり業界を選ばないソフトウエアの領域で、個人事業主や小規
模法人をターゲットとしたビジネスから急速に成長し、多額の資金調達も行い、今日では中堅
規模の企業もターゲットとして販売活動に力を入れ、広い顧客セグメントを対象に急成長をし
てきた。こんな経験を踏まえ、SaaSビジネスにおけるKPIを対象となる顧客セグメントの特性
や僕たちの学びを交えながら解説していきたい。

SaaSで短期に会計上黒字化するには顧客を獲得しないのがベスト?!
SaaSでは、決算書にある期間損益ではなく、ユニットエコノミクス(顧客1件あたりの経済
性)を見ながら投資判断することが非常に重要である。なぜそれが重要なのかをまずは見てみ
よう。
サブスクリプションビジネスであるSaaSにおけるキャッシュインとキャッシュアウトは次のよ
うになる。

青で表されるキャッシュインはすなわち、毎月SaaSビジネスが頂けるソフトウェア利用料から
原価を引いたものである。SaaSの原価としては、一般的にサービス運用のための原価(サーバ
ー運用やカスタマーサポート)などが含まれる。
赤で表されるキャッシュアウトは、顧客獲得コスト(CAC:Customer Acquisition Cost)であ
る。CACは顧客1件を獲得するためにかかるマーケティングおよび営業コスト。マーケティング
費用と営業およびマーケティングに関連する当月の人件費を当月の新規顧客獲得件数で割った
ものである。
つまり、サブスクリプション型であるSaaSモデルの特徴は、このようにCACを何ヵ月もかけて
取り返すというところにあり、新規顧客獲得は先行投資的な性質を持つのだ。
(簡便のため、キャッシュインとキャッシュアウトという言葉を使っているが、会計上の粗利
と販管費の関係と基本的には同じ構造である。キャッシュ・フローに関しては、1年分などの利
用料を前受する場合などもあり、さまざまなテクニックがあるが、会計上の収益構造は原則に
このような構造となる)。
では、顧客1件あたりのキャッシュフローが上記のようになっていたとして、毎月1件ずつ顧客
を獲得するとどうなるか、それが次の図だ。

青のキャッシュインは、毎月顧客が増えるにつれ増えていく。オレンジのキャッシュアウト
は、毎月1件の新規の顧客獲得なので固定で毎月80かかる。このとき、既存の顧客からのキャ
ッシュインが新規顧客獲得のためのキャッシュインを超える8ヵ月目で、このビジネスは会計上
(もしくはキャッシュフロー上)黒字化することになる。新規顧客獲得コストを既存顧客から
の売上でまかなえるかどうか、これがSaaSにおける会計上の黒字化の意味するところである。
ここには一つの面白い示唆がある。つまり、SaaSにおいて会計上黒字化を達成する最短の方法
は顧客獲得をしない、ということになる。それではどのように投資判断をするべきなのか、次
のセクションにて考えていきたい。

その時点でのサブスクリプションの実力値を評価するARR
サブスクリプションビジネスにおいて、いわゆる会計上の売上はトップラインを示す指標とし
ては遅行指標である。オンプレのソフトウエアのようにライセンス販売の場合、販売時点で数
年分の利用にかかる売上が会計上の売上として一括計上されるが、サブスクリプションの場合
には利用月毎に売上が案分される。例えば、会計年度の最後の月に始まるサブスクリプション
契約については、1か月分のSaaS利用料しか反映されないため、売上は期末時点でのSaaS企業
の実力値を正しく評価できない遅行指標となる。
そのため、SaaSビジネスでは、その月の契約におけるその月のSaaS利用料の合計を年換算
(12倍)した数値であるARR(Annual Recuring Revenue)をトップラインのKPIとしてお
き、その時点でのサブスクリプション契約の価値を評価する。
次のグラフは毎月ARRが5%成長する際のARRと会計上の売上の比較となる。

ARR成長のための3つの要素
ある期間におけるARRの成長は大きく3つに分けることができ、SaaSの事業計画を考えていく
上では、大まかにはこの分解に則って考えるのが通常である。以下、それぞれについて解説す
るが、海外記事としてはこの SaaS Metrics 2.0がバイブルとも言える。
 ■ 1既存顧客の解約(Churn)によるARRの減少
 ■ 2新規顧客獲得によるARRの増加
 ■ 3既存顧客へのアップセルによるARRの増加

①顧客に価値を届けられているのか:Churn Rate(解約率)
SaaS企業は、顧客企業に見合った価値を提供できていないと容赦なく解約されてしまう。自分
たちがしっかり顧客に価値を届けているかを白黒つけてモニタリングする指標として、Churn
Rate(解約率)は重要な指標だ。
 Churn Rate=当月の解約顧客数 / 前月末の顧客数
Month 0において、1000社の顧客がいたとして、月次のChurn Rateに応じてどれほど顧客が
自然減してしまうかが次のグラフである。

このChurn Rateは通常は対象とする顧客が大きな企業であるほど低く、小さな企業や消費者で
あるほど高くなる傾向にある。
大きな企業がSaaS製品を利用する場合、適切な評価プロセスを通り、その企業のニーズにフィ
ットするのかはしっかり検証されるし、導入に伴うデータ移行や各種設定、社内での運用ルー
ル徹底などにコストがかかることもあり、大きな組織において頻繁にソフトウエアを変えるこ
とは得策ではない面がある。
一方、小さな会社では、SaaS導入自体のコストが低かったり、導入に際する評価プロセスが整
っていないことも多く、導入後にフィットしない要因が見つかりやすい傾向にある。また、当
然廃業の率も高まるため、一般的にChurn Rateは高めになる。
freeeでは、リリース後1年ほどは、このChurn Rateを一切見ていなかった。当時持っていたダ
ッシュボードと言えば、課金の度に来るメール。解約の度にも来るようになっていたが、圧倒
的に頻度は低かった。一年ほどすると、それなりに顧客基盤もできたので解約の絶対数が気に
なるようになった。そこで初めてChurn Rateを見るようになった。既存顧客基盤がまだ小さい
ときは解約数も絶対数では気になりにくいということだ。もちろん、もっと早く気づいておく
べきだった。見るべきものは率だ。
新規顧客の獲得を一定とした場合、顧客ベースの増え方はChurn Rateによって大きく影響を受
ける。Churn Rateが高いほど、顧客ベースの成長は当然スローダウンしていく。そのため、
Churn Rateが高い場合、全体としてのARRの成長をするためには、より新規顧客の獲得を増加
させたり、既存顧客からの売上拡大を増加させるなどの対応が必要となる。

コーホート別のChurn Rate
Churn Rateを改善するために、アクショナブルな示唆を得るための最も一般的な分析は、コー
ホート別のChurn Rate、もしくは生存率の分析である。顧客の獲得月毎のコーホートに分け
て、獲得時から時間が経つにつれどのような生存曲線を描いているかを見るものだ。
例えば、営業手法が悪ければChurn Rateは増加する。値引きなどのインセンティブを武器にア
グレッシブな営業をした月のコーホートの生存率が低いというようなことから検出できる。
一般的に、Churn Rateは、最初の更新時などのマイルストンまでの間で最も高く、その後はそ
れよりも低い水準に落ち着く。最初の更新時までのChurnは、販売の仕方やコミュニケーショ
ンあるいは、導入における課題が原因である可能性が高い。一方で最初の更新時以降のChurn
はプロダクトやサポート体制の実力値が数値に表れる。

Revenue churnという考え方
ここでまとめてきたように、Churn Rateを顧客ベースではなく、金額ベースで見る見方もあ
る。顧客ベースのChurnがCustomer churnやLogo Churnと言われるのに対して、こちらは
Revenue Churnと呼ばれる。顧客ベースも金額ベースもどちらも見るべき重要な指標である
が、Revenue Churnは複数の料金プランを持っていたり、顧客企業のなかで何ユーザーがIDを
持っているかで料金が大きく変わるSaaS企業において、より重要性が高い。


②新規顧客の獲得
一般的に急成長フェーズのSaaSにおける最も大きな成長ドライバーは新規顧客獲得からのARR
増加である。前に触れている通り、新規顧客獲得は、会計上のP/Lには短期的にネガティブなイ
ンパクトがある。そのため新規顧客獲得に投資する判断のため、ユニットエコノミクス(顧客
一件あたりの経済性)に着目するのが一般的である。このユニットエコノミクスを表す指標と
して、LTV/CAC(エルティーヴィートゥキャックとか呼ばれる)が非常に重要である。

顧客のLTV(生涯価値)
顧客1社あたりの生涯価値。(顧客の平均月額単価x粗利率)x平均ライフタイムで求められる。
粗利率をかける、すなわち売上から原価分を除いて評価すべきである。ライフタイムは通常、
平均ライフタイム(月)=1/(月次Churn Rate)で算出される。これは、同じChurn Rateが
今のまま続いたら、この値に収束するという理論値である。
この計算手法は一般的には、LTVを過小評価する傾向にはある。なぜならば、コーホート別
Churnの箇所で触れた通り、Churn Rateは契約の1年目などの初期段階でもっとも高い傾向に
ありがちであるからだ。つまり、製品利用後になんらかのミスフィット要因が見つかり、利用
継続できないというケースが多く、一定期間安定利用が続いた顧客のみで見るとChurn Rateは
相対的に低くなる傾向にある。一定期間利用した顧客の割合が高くなる(つまり、全顧客の中
での新規顧客の割合が減る)につれ、Churn Rateは通常下がっていく傾向にあり、この傾向か
らのアップサイドは上記の計算式では捉えることができない。
SaaSの原価としては、一般的にサービス運用のための原価(サーバー運用やカスタマーサポー
ト)などが含まれる。原価を抑えられればLTVはあがる。
グローバルレベルで見るとSaaSの上場企業の原価率は急成長フェーズで少しずつ原価率が下が
ってきて20〜30%程度に落ち着くことが多い。
freeeでは、当初原価率はあまり気にしていなかったし、それが正しいと今でも思っている。明
確な指針として、AWSのサーバー代の節約のためのアクションをとる暇があったらユーザーの
ための開発をする、カスタマーサポートの原価を気にするよりは神対応をして一社でもハッピ
ーカスタマーを増やすことの方が大事、としていた。原価率については、改善余地だけは大ま
かに認識しておいて、大きく資金調達をしてバーンレート(毎月失ってしまうキャッシュ額)
が億単位になってから、向き合うでよいだろう。

LTV/CACへ着目した成長投資
このLTVがCACを上回るようであれば、顧客を獲得すればそのSaaS企業にとっては中長期的に
プラスといえるので、可能な限り多くの新規顧客を獲得のための成長投資をすればよいという
のがユニットエコノミクスの考え方だ。


ただし、実際にはSaaS企業は顧客獲得コスト(CAC)以外にも、プロダクト開発のための開発
コスト(R&D)や、企業全般の管理コスト(G&A)を支払っている。そして、安定期には利益
率を確保するという観点からも一般的には、LTV/CACが3以上で成長投資をすること望ましい
とされている。
実際には、プロダクトマーケットフィットとGo-to-Marketがある程度確立するまでは、様々な
試行錯誤が行われる。なので、新規プロダクトの投入時や新規セグメント参入時は、LTV/CAC
が低い状態でプロダクトの精緻化や販売手法の確立のための試行錯誤を続けることになる。こ
の低LTV/CAC状態での投資が、ある意味SaaS業界における本来の先行投資とも言える。健全な
LTV/CACにおける投資は健全なリターンの実現が見込める投資であり、成長投資である。
freeeの場合は、このLTV/CACは、Series Aの資金調達後、積極的にマーケティング投資をする
中ですぐに見始めたメトリクスだった。Googleにて広告製品の中小企業向けのマーケティング
をする中でも似たようなアプローチで投資判断をしていたことがきっかけであったが、当時は
ここまで広く使われている指標だと想像していなかった。LTVは原価を引いて算出するべき、と
いったことは、その後グローバル・スタンダードを学ぶ中で取り入れたことであった。

回収期間(Payback period)
LTV/CACは、さらにライフタイムと回収期間(Payback Period)に分解することができる。
回収期間はCACを「平均月額単価から原価を引いたもの」で割ったものであり、月額利用料の
何ヵ月分でCAC(顧客獲得費用)を取り返すかを表すものである。
この回収期間はダイレクトに成長に必要な資金に関連する指標で、短ければ短いほど、同じ成
長をしたときに短い期間で会計上orキャッシュフロー上の黒字化を達成できる。回収期間によ
るキャッシュフローへのインパクト(R&D投資やG&A費用は考慮していない)は下記の図でわ
かりやすいだろう。

freeeでは、この回収期間の重要性については、すでに頭で理解したり海外の様々な記事などや
投資家との議論を中心に見聞きしていたものの、実際に強く意識し始めたり、重要性を体感す
るようになったのは、はじめて上位のプランを追加してからであった。違う単価のプロダクト
があることにより、回収期間に差が出てくることから、そのインパクトを実感したものであっ
た。

③既存顧客へのアップセル(Revenue Expansion)とNet Revenue Retentionについて
既存顧客のアップグレードや、自社が提供する他のSaaS製品からの売上がRevenue
Expansionの部分に該当する。一般的には顧客のエンゲージメントが取れた状態で営業やマー
ケティングができるため、この部分のARR獲得コストは新規顧客からのARR獲得コストに比べ
て低い構造にある。これがビジネス上のRevenue Expansionの魅力といえる。
大企業向けのSaaSなどの場合で既存顧客からの新規ARRの割合が高くない場合には、上記の新
規顧客獲得のROIとしてLTV/CACを見るよりも、新規顧客も既存顧客も関係なく、売上1円あた
りの獲得コストを見ていく方が実用性が高い場合もあるだろう。

Net Revenue Retention
近年注目される指標として、Net Revenue Retentionという指標がある。これは、あるコーホ
ートからのある期間の売上が、その前期の売上の何%であったかという指標だ。同じコーホー
トだけを見るので、新規獲得は見ずに、Revenue ChurnとRevenue Expansionではどちらが
大きいかを表すことになる。100%を超えていれば、Revenue ExpansionがRevenue Churn
を上回り、100%以下であれば、Revenue ChurnがRevenue Expansionを上回るという構図
だ。言い換えると、Net Revenue Retention が100%を上回れば、理論的には獲得した顧客か
らの売上が増え続けるということになる。
大企業向けで、組織の一部から使い初めて、その組織の中でどんどん広まっていくと売上が上
がるという性質を持つようなSaaSの場合、特に Net Revenue Retention はよい数字になる
(Atlassian、Zoom、SlackなどはNet Revenue Retentionの高い企業としてよく知られてい
る)。
中小企業向けSaaSの場合には、アップセル余地がある程度限られるので、Net Revenue
Retention が 100%を超えることは容易でないと言われるが、一方で、中小企業向けSaaSでは
通常新規獲得の余地が非常に大きいという特性もある。


ユニットエコノミクスの代替指標
SaaSのユニットエコノミクスに関する指標は、上場企業であっても詳細に開示されていない場
合も多い。その際に代替案として、Sales Efficiency という指標が多く用いられる。これは、
(ある期間から翌期の間のネットでの売上成長額)/(その期間のセールス&マーケティングコ
スト)で表される。この指標のよいところは、成長において新規顧客獲得を重視するタイプの
SaaSであっても既存顧客の売上拡大を重視するタイプのSaaSであっても、共通の尺度で図れ
るという簡便性がひとつである。もうひとつの利点として、現時点で日本のSaaS企業におい
て、セールス&マーケティングコストとして切り出して開示しているケースはレアである(広
告宣伝費だけが区分開示されていて、セールス&マーケティングに係る人件費等が含まれな
い)が、海外のSaaS企業であれば必ず開示している項目であるため、上場企業であればほぼ必
ず比較可能な指標となっているという点だ。分子の売上成長額はサブスクリプション売上のみ
を利用するべきであろう。

R&D投資とG&Aコスト
ここまでのLTV/CACというフレームでは、獲得コストの回収という観点で考えられているもの
の、実際にはSaaS企業は顧客獲得コスト(新規顧客獲得が中心の会社では、セールス&マーケ
ティングコスト)に加えて、R&D投資やG&Aコストなどの費用をかけていることを加味してい
なかったが、事業計画という観点ではR&DやG&Aについても当然加味するべきである。これら
を加味することで、顧客獲得コストの回収という意味で考えてきたキャッシュフロー上や会計
上の黒字化はさらに時間がかかる傾向にあることに注意が必要である。

R&D投資
シード~アーリー期のスタートアップにおいては、R&D投資はボトムアップだけで決める(何
を開発したくて、そのためにどれだけの投資が必要かで考える)ことが多い。財務面をしっか
りと管理するようになると、売上のx%程度という基準を持っておくというのが一つの考え方に
なる。
海外SaaS企業で、ある程度成熟期にはいると売上の15%-40%くらいにおいている会社が多
い。売上の成長率が高い段階では高めで、成長率が下がるにつれて開発投資の売上に対する比
率も下がってくるというのが一般的だ。
freeeでも、開発投資の計画はどのようにつくるべきか非常になやんだ。常にやりたいことには
きりがないというのがスタートアップの本音であるが、かといって無限の投資をする訳にもい
かない。そこで数年スパンで開発投資の対売上比率のゴールを決め、それをひとつの基準とし
て考え始めるようにしたところ考えやすくなった。もちろん、そのようなターゲットに制約さ
れずに考えるべきタイミングもあるだろう。

G&Aコスト
G&Aコストは海外の上場SaaS企業の場合、売上の10%〜20%くらいの範囲となっている。こ
ちらは主にコーポレート部門の人件費や経費だ。

成長投資のインパクト、どれだけの成長率を支えられるのか
ここまで、ARRが増えるメカニズムとユニットエコノミクスについて議論をしてきたが、ユニ
ットエコノミクスに加えて、キャッシュフローに大きなインパクトを与えるのは、冒頭でも振
れている通り、売上成長率(特に新規顧客の成長率)である。
次のグラフは、次の3つのシナリオにおいて、どのような売上と営業利益をもたらすかを図示し
ている。
 ■ シナリオ1:新規顧客からの売上が毎年200
 ■ シナリオ2:新規顧客からの売上が初年度300で毎年100ずつ増える
 ■ シナリオ3:新規顧客からの売上が初年度300で毎年300ずつ増える
 ■ すべてのシナリオにおいて、顧客獲得コストだけでなく、R&Dコスト、G&Aコストを売上に
対して固定の割合で想定

ここから明らかになるのは、成長率が高ければ高いほど、赤字の期間が長くなるが長期的な売
上や利益は圧倒的に大きくなるという構図である。だからこそ、SaaSで大成するには、ユニッ
トメトリクスにより成長投資の質を担保した上で、将来の成長のために大きな投資をしていく
必要があり、そのための資金調達環境があることが非常に重要なのだ。
salesforce.comは現在でもP/Lの利益よりは、成長率を中心においた戦略をとっており、継続
的な成長を実現しているが、このように科学的に成長を管理し、そのような管理に基づき、積
極投資を続けていくという考え方が根付いていくことは、今後の日本のソフトウエア産業の進
化において、非常に重要なカギになっていくと考えられる。

最後に
以上、本稿ではSaaSビジネスモデルの特性、SaaSビジネスにおける主要KPI、SaaSビジネス
における投資の考え方について、freeeの経験を踏まえつつ紹介してきた。今後、日本国内にお
いてもSaaSビジネスはさらに活況を呈し、ソフトウェア産業の進化を担っていく上で、このビ
ジネスモデルについての本質がより広く理解されていくことは非常に重要だと考えられる。本
稿がその中での一助となれば、非常に嬉しく思う。


一緒に強いSaaSビジネスを作り上げてくれる仲間を募集しています。SaaSビジネスモデルの奥深さに少しでも興味を持った方は是非ご応募ください。
最新の募集職種→https://jobs.freee.co.jp/#job_list

海をテーマに組織のすべてを疑う

前回紹介した通り、「スモールビジネスを、世界の主役に。」という新しいミッションを立て、「アイデアやパッションやスキルがあれば、誰でも簡単にビジネスを強くスマートに育てることができるプラットフォームをつくる」というサービスコンセプトを掲げた。

経理や人事労務業務を自動化する会計freeeや人事労務freeeは、高く評価されるプロダクトに成長してきているが、会計ソフトだけ見てみると、中小企業における会計ソフトのクラウド化率は未だに15-20%ほどである。

freeeが業務アプリケーションの枠を超え、上記のようなプラットフォームとなっていくには、もちろんプラットフォーム上でのサービス開発も重要だが、まだクラウド化ができていない残りのビジネスにどのようにクラウドの、そしてfreeeの価値を届けるかが非常に重要な前提となってくる。

こう考えたときに、ふと大航海時代の航路開拓が進む前に(西洋で)知られていた海もそれくらいの割合であったのではないかと思い、簿記という概念も大航海時代の前提としてルカ・パチョーリによって1494年に発明されたというような事実にも敬意を評して、freeeがスモールビジネスの業務アプリケーションのクラウド化を進める冒険のモチーフを大航海時代に例えようと思い立った。

Pacioli

イタリアの数学者ルカ・パチョーリは「簿記会計の父」と呼ばれている

ということで、7月はfreeeにとって新年度であるし、ミッションやサービスコンセプトも改めたいいタイミングであるから、毎年実施している社員合宿(今回は「freee spirit 2019」と命名)にて、このモチーフも含めて発表した。

 

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大航海時代になぞらえた衣装で登壇

freeeは、ミッションおよびコンセプト実現のために、エンドユーザーである中小企業や個人事業主の方々に直接販売およびマーケティング活動を行う側面と、パートナーである会計事務所の方々向けに業務効率化とサービス付加価値向上のためのソリューションを提供するという側面を持っているが、いずれも目指すゴールは「スモールビジネスを、世界の主役に。」というミッションであって、それはあたかも大航海時代に香料諸島を東からも西からも目指したことにもたとえられるなと思った。

そこで、社内的にはパートナーカンパニー、エンドユーザーカンパニーという2つのカンパニー制を今年度からとろうと思っていた。ところが、社内呼称をあらため「パートナー航路」「エンドユーザー航路」と呼ぶことにした。

さらに、このスモールビジネスのクラウド化大航海時代の航路開拓のリーダーのモチーフにふさわしい概念はないかということを考えてみたところ、ヴァスコ・ダ・ガマ、コロンブス、クックなど偉人は多いのであるが、やはり世界周航というのは非常に大きな偉業だし、僕たちのフェーズにあった偉業でもあると考え、マゼランを航路開拓のリーダーのモチーフにしたいと思った。

しかし、縁起の悪いことにマゼランの船団は世界周航を果たしたが、マゼラン本人はフィリピンのセブ島にてラプラプ王に殺されてしまうという歴史がある。リーダーが死んでしまうのは演技が悪いが、マゼランに敬意は評したいということを考え、マゼランを超えるマゼランという意味を込めて、各航路のリーダー(カンパニーCEO)を概念としてスーパー・マゼランと呼ぶことにした。

DSC_1748

スーパーマゼラン達によるパネルディスカッション

会議体や組織の名前も、この大航海時代モチーフとしてみた。経営会議は大航海会議、週次の重要事項アップデートのためのミーティングを船団連絡会、経営管理ミーティングは港湾委員会などといった具合だ。

DSブログ

組織名称も大航海時代をモチーフに変更

元々freeeでは、上司という概念がなく、役割としてのピープルマネージャーを「ジャーマネ」と呼んでいる。主役はひとりひとりのメンバーであり、主役が最大限パフォームする役割であることを明確化している。

社内の組織呼称も、こんなモチーフでいったんゼロベースで考えてみると、例えば「本部長」や「部長」といった呼称でイメージが凝り固まってしまったり、中途入社の人が前職のイメージを引きずってしまうことをリセットする意味があり、既成概念を打ち破る組織づくりとしても面白い試みだと思っている。

もちろん、様々な社内呼称を一気に変えているので、それは一瞬カオスにはなる。しかし、そんなことも楽しみつつ、自由に考えいろんな概念もつくりつつ、世の中に価値を届ける会社でありたい。一見ふざけても見えてしまうかもしれないのだが、大真面目に考えている。

例えば freeeは、不具合のことも、「バグ」ではなく、「ハッピー」と呼んだり、価値基準の言葉も独自の言葉を使うことで、独自のカルチャーをつくることに強くこだわってきた。

同じように、新テーマで、心機一転、日本のメインストリームのスモールビジネスの皆様にクラウドの価値、自動化の価値、プラットフォームの価値を届けていくべく邁進していきます。

DSC_2079+

新ミッション「スモールビジネスを、世界の主役に。」

今月で6周年、時間の創出を実現してきたfreee

今月、2018年7月にfreeeは会社の設立から6周年を迎える。6年前は製品の構想だけ存在して、プログラミングの勉強をしながらfreee開発に着手したものであったが、そこから6年、無事に会計freee のリリースを皮切りに、「スモールビジネスに携わるすべての人が創造的な活動にフォーカスできるよう」というミッションのもと会計、人事労務、会社設立、申告などさまざまなバックオフィス業務を全体として自動化するソリューションを展開してきた。

集合写真

2018年7月2日に開催した「FY2019事業戦略発表会」

その成果として、100万以上の事業所で利用いただけるようになり、3,600を超える金融機関や他の業務アプリケーションとのデータ連携を実現し、5,000を超える会計事務所さんともパートナーシップを組ませていただき、クラウドの会計ソフト市場においてトップシェアを獲得する存在となることができた。

この間、やはりバックオフィスの仕事をラクにするという点についてはいろいろなところで実現することができてきたし、ミッションに対しては少しずつ近づいていく軌道は描けたのかなと考えている。実際に、バックオフィスの業務量はfreeeを利用して、数分の1から20分の1になったという声は多くいただくようになった。

goloshita

バックオフィス業務が20分の1になり、かつfreeeはビジネスの成長にも貢献するようになった

最近は、これに加えて、さらに大きなインパクトを産むことができてきたと実感している。freeeを利用して毎月レポートを見ているユーザーの74%は増収を実現しており、freeeのレポートを閲覧して経営をする会社の成長率が非常に高いということもわかってきているのだ。

例えば、六本木や目黒の蔦屋の植栽なども担当され、花卉業界で新たなチャレンジをする株式会社BOTANICさんでは、freeeを活用することでバックオフィス業務を1/20に圧縮すると同時に、freeeを利用して季節性やビジネスモデルの異なる4つの事業部門をコストをかけずに管理したり、様々なレポートを必要なときに見て分析したり、スマホやタブレットから現場であっても重要な仕事は確認するなど活用いただき、結果ビジネスは増収増益を続け、実際にビジネスが伸びるという点に貢献している実感を持っていただいている。

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3期連続増収の株式会社BOTANIC 代表 田中彰様(freeeユーザー)

つまり、freeeは、「創造的な活動にフォーカス」というミッションを掲げ、時間を創出することに取り組んで来たわけであるが、結果としてすでに事業自体に力を与えることまでできていることがわかってきた。さらにその先にどんなサービスを展開していきたいのかも考えてみると、創業6周年を迎えるこのタイミングでミッションをさらに先に進めてよいのではないかと考えた。

新ミッション「スモールビジネスを、世界の主役に。」

ということで、この度、freeeはこれまでのミッションをさらに進化させ、「スモールビジネスを、世界の主役に。」という新しいミッションをセットします。

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そして、このミッションの実現に向け、「アイデアやパッションやスキルがあればだれでも、ビジネスを強くスマートに育てられるプラットフォーム」を実現します。

世界というと、よく、「海外に出るの?」と言われるのだが、将来的にはやっていくつもりはあるものの、まずは「世界=世の中」という意味と考えていただきたい。スモールビジネスを世の中の主役にしようという思いでこのミッションをセットした。

 日本の99%のビジネスは中小企業であるわけだが、労働生産性では中小企業は大企業の半分以下の生産性にとどまり、テクノロジーの浸透もすすんでいない。マクロ的に見たときに、働く場所として人気というわけでもないし、日本の起業の数は他国と比べても圧倒的に低いし、起業家が社会的にも評価されない国であるとも言われている。

 こういう状況というのを変えて、スモールビジネスこそ、強くて、かっこよくて、スマートな存在で、この人たちの方が、ほんとに強くて、何か怖い存在だと思われるような世の中をつくっていきたい。

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FY2019事業戦略発表会で新ミッションを発表

 スモールビジネスが世の中の主役となり、大きく繁栄することには社会全体として、大きな意味がある。一つは、イノベーションが加速すること。小さなビジネスであればこそ起こせる、大企業には見えないイノベーションは非常に多く存在する。Googleの検索以外の事業の多くはM&Aが種となっているし、テクノロジー業界以外でも奇抜なアイデアはスモールビジネスからこそ生まれやすい。2つ目に、スモールビジネスを経営することは究極の自己表現である。これを選択肢にもてることは、精神的にもすばらしいことだし、個が強い社会の象徴だ。そして3つ目に、スモールビジネスは働く環境としても、より多様な価値観にであえたり、非連続的な成長がある場所である。つまり、スモールビジネスが強くなることは世の中をオモシロクする。

 よく、「スモールビジネスのほうが強くなるって、ほんとにできるんですか?」って聞かれるけれど、実はスモールビジネスは新しいテクノロジーをすばやく採用できる。経営者が決めればよいだけだ。また、スモールビジネスの数は多いからこそ活用できるAIやデータの価値もあるだろう。つまり、しっかりとテクノロジーをスモールビジネスに届けることができれば、この大革命は実現できる。非常にやりがいのあるミッションだと考えている。

だれでも、ビジネスを強くスマートに育てられるプラットフォーム

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「スモールビジネスを、世界の主役に。」このミッションに向けて、freeeがまず実現しようとするのは、「アイデアやパッションやスキルがあればだれでも、ビジネスを強くスマートに育てられるプラットフォーム」である。スモールビジネスが、freeeのプラットフォームにのっていただければ、簡単にビジネスができるだけでなく、ビジネスが強くなり、よりスマートに経営したり、運営したり、意思決定できるようになる、そんなプラットフォームをつくっていく。

これは、今まで通りビジネスを簡単に業務効率化できるようにするところはもちろんのこと、ビジネスの状態の可視化を簡単に進められることがまず第一だ。そのために freee はこの7月に「あらゆるビジネスで経営企画」をコンセプトとした「プロフェッショナルプラン」をリリースし、事業計画の策定や予実の分析を簡単に行える機能の提供を開始した。今後、エクセルから freee のデータを簡単に呼び出せる機能なども実現予定で、企画、分析の機能は今後ますます充実していく予定だ。

また、あわせて会計事務所向け機能として「AI月次監査」機能もリリース。こちらでは、月次の帳簿の確認の業務をAIが代行していくことて、会計事務所におけるルーティーン業務を自動化し、よりコンサルティング・アドバイザリー的業務にフォーカスできることを支援する機能だ。このように会計事務所のルーティン業務の自動化が進めば、スモールビジネスに提供されるサービスの付加価値も大きく向上し、「スモールビジネスを、世界の主役に。」というfreeeが目指す姿にも近づいていくことは間違いない。

では、「だれでもビジネスを強くスマートに育てられるプラットフォーム」を目指して、その先に何に取り組んでいくのか。テーマはいくつかある。ひとつは、スモールビジネスを資金繰り面から支援する。資金の制約はスモールビジネスが成長する、強くなる上での制約の一つだ。そして、ビジネス間の取引自体を簡単にするプラットフォーム自体を構築する。そして、バックオフィスに限らない業務領域の自動化なども考えていきたいと思っている。

「創造的な活動にフォーカス」から「スモールビジネスを、世界の主役に。」新しいミッションを掲げ、次のフェーズに進むfreeeに引き続きご期待ください。

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初の著書を出版しました。時間の使い方とか計画について僕が気をつけていることをまとめてみました。新しい目標を探したい人、目標達成を目指す人におすすめです。

3ヶ月の使い方で人生は変わる

2017年の振り返りと「自動化」「可視化」にこだわる2018年

2017年もあとわずか。freeeは今年も全速力で駆け抜けました。支えて頂いた多数の皆様にも厚く御礼申し上げます。一年の振り返りと来年の展望をこちらにてご紹介します。

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2017年freee全社恒例忘年会

申告freeeをリリースし、認定アドバイザーも5,000を突破、freeeが会計事務所と顧問先を結びつけるインフラに

5000までの推移

会計事務所の圧倒的な効率化とよりよいサービス提供の支援を行うことからも、ミッションである「スモールビジネスに携わるすべての人が創造的な活動にフォーカスできること」に貢献しようというテーマは、freee の歴史の中では比較的新しいテーマであるが、今年は特に大きく組織も拡大し、投資も行ってきた。会計、経理のプロの方々から頂いていた改善要望については、大部分を解消することができ、年末の時期には本当に多数の会計事務所の皆様から、「今年は freee は本当に変わった。会計のプロにも使いこなせる」という声をたくさんいただくことができたのは本当に嬉しいことであった。

その中で、法人税申告や電子申告対応した「クラウド申告 freee」のリリースは、会計事務所業務を徹底効率化する上での大きな目玉となった。法人税申告への対応は決して軽い開発ではなく、ここに投資をし、かたちにしたことは freee のこのビジネスに対するコミットメントとして評価いただくことができた。さらに、会計ソフトと申告ソフトの完全連動や、クラウドならではの共同作業のしやすさを評価いただき、「クラウド申告 freee」としてグッドデザイン賞も受賞いただいた。

結果として、freee の認定アドバイザーとなっていただいた会計事務所の数は 5,000 を突破し、多くの会計事務所にて freee に対応いただいたり、全面導入いただける年となった。このことは、freee をお使いいただいている、あるいは検討いただいている企業の皆様においても大きな朗報となった。

freeeの達人アドバイザー忘年会

freeeを達人級にお使いいただく会計事務所さんとの忘年会

freee が上場企業に対応。成長企業の内部統制も人事労務もすべてクラウド化。

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「freee を使っていても、結局上場準備とかするようになると乗り換えなきゃいけないのですよね?」「freee って会社が大きくなったら、どれくらいで卒業することになるのですか?」こんなことを昔よく聞かれた。しかし、共同作業や分散入力をしやすいクラウドサービスであればこそ、大人数での利用でも向いているということもあり、成長企業においても利用できるものとしていきたいという思いをずっと持っていた。

また、freee の着想は僕がスタートアップのCFOをやっていたころに目の当たりにした経理の業務プロセスから得ているが、これまで経理のプロセスにおける入力の重複を徹底的に解消してきていた。その中で、重複作業の最後のピースとなっているのが稟議書であった。つまり、内部統制を聞かせている会社であれば、何かの発注にたいする請求書が到着する前に請求情報を持った稟議が社内で承認されているはずで、請求情報を入力するのではなく、稟議から自動転記すればよいのだ。加えて、当時、内部統制対応のため、会計帳簿をプリントアウトしてハンコを押して承認するという10年前でも信じられないと思ったプロセスがあった。こういったものも、本来クラウドで承認されるべきである。

このような想いを背景に、今年は稟議などを作成できるワークフロー機能を備え、内部統制にも対応した会計 freee のエンタープライズプランをリリース。開発においては、今年7月に freee を利用し IPO を成功させたソウルドアウト社に協力いただき、内部統制対応や成長企業での利用における論点つぶしにともに取り組んだ結果として実現することができた。

さらに、成長企業に対するサービス提供においては、利用されている他のソフトウエアとの連携が不可欠である。リリース後の初期段階からAPIを公開するfreeeでは、ますます連携アプリケーションも増加し、グローバルプレーヤーである salesforce.com や slack などのツールとの連携も開始し、API連携も大きく進捗した。

また、これまで、給与計算や労務手続きの自動化を目指して「給与計算freee」として展開していた製品を「人事労務 freee」としてコンセプトを拡大させて、大きな進化に取り組み始めた。給与計算だけを管理するのではなく、一元化された従業員名簿から、勤怠管理、給与計算、労務手続、社内承認フローなどを一括で管理していこうということを目指すのが「人事労務 freee」だ。小規模の会社から、従業員1,000名規模の会社まで含めて、人事管理負担を大きく減らす実績をどんどんつくることができている。

第2回HRテクノロジー大賞受賞

人事労務freeeは、第2回HRテクノロジー大賞を受賞した

このように、急成長企業を支えるソリューションとして、freeeは大きく進化した1年となった。その結果、上場準備企業や急成長企業の定番選択肢となってきたことは大きな達成であった。

本格的に個が活躍する時代、freee はスモールビジネス経営の電子化を枠を超えて牽引

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スモールビジネスにおけるバックオフィスの自動化をコアとする freee であるが、自動化の前提となる電子化の部分で、ボトルネックとなる部分として残っているものももちろん存在する。

スモールビジネスにおけるクレジットカード利用は、このボトルネックの中で非常に重要なものである。ビジネスにおいて、支払をクレジットカードに寄せていくことは、支払時の利便性だけでなく、経理全体のプロセスを効率化したり、正確性を担保する上で大きなメリットがある。さらに、freeeのような会計ソフトを利用すれば、会計帳簿への記録なども含めて自動化することができるのだ。

しかしながら、これまで残念ながらスモールビジネスにおけるクレジットカードの利用率は必ずしも高くなかった。その大きな理由は、「審査におちる」「審査におちるのではないか不安」「3年分も決算書がない」といった理由である。実は、僕自身も創業当初にクレジットカードの審査に落ちた経験があるのだが、起業するとクレジットカードつくれない説は都市伝説のように存在する。また、法人の信用でクレジットカードをつくるには通常3年分の決算書が必要だ。

そこで今年は、創業直後の方に対してもフレンドリーにつくることができるクレジットカード「freee カード」をライフカード社との提携によりスタートさせ、カード利用が進まない問題の根本から解決に取り組むことに乗り出した。

また、個人事業主の確定申告のプロセス自体にもボトルネックは存在するが、今年はマイナンバーカードや住基カードにより、 freee から直接電子申告ができる機能を提供開始し、非常に好評を得た。今年度分の確定申告においては、WindowsからもMacからでも電子申告がfreeeからできるよう機能拡充されていく。

シェアリングエコノミー、民泊、副業、働き方改革など、個人が雇用されている会社に100%依存するのではなく、自分の事業も持つ新しい生き方が注目された一年であった。こういった、「個」が自立して生きやすい新しい時代を支えるプラットフォームとして、freeeは徹底的にスモールビジネス支援を続けていく。

freee で振込も融資も自動化へ

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今年大きな話題を呼んだのは、銀行法の改正により銀行による参照系・更新系のAPIの開放が実質義務化されたことである。日本における新しい FinTech サービスの創出もこれを契機に活性化していくだろう。また、この法の施行に先立ち、freee では、三菱東京UFJ銀行、住信SBIネット銀行、ジャパンネット銀行などとのAPI連携により、freeeに登録されている未払金を自動で振り込むことができる振込連携を実現した。

このように、外部システムから振込指示をかけるような仕組みは、大規模な投資によりファームバンキングシステムを導入しなければ従来は不可能であった仕組みだが、この freee の振込機能の提供により、自動振込がどんな規模のビジネスであっても可能になる。まさにこのAPI開放により、テクノロジーの民主化が実現された好例だ。

融資の分野でも大きなイノベーションが起きた。今年、freee は、金融機関のモニタリングを自動化する「リアルタイム経営シグナル」を提供開始した。これは、銀行が融資先企業の試算表を紙ベースで毎月回収し財務状況をモニタリングするという手間が発生していたところに、融資先企業がfreeeを利用している場合には試算表回収しなくとも自動で財務情報が金融機関とリアルタイムに連携され、しかも、財務状況に変化が生じたときのみ自動でアラートを飛ばすことで、モニタリング業務自体を自動化するという仕組みである。これにより、融資のモニタリングのコストが低下すると、融資サービス自体のクオリティもあがる。例えば、北國銀行では無担保・無保証の創業融資の場合には、freeeの利用が条件となっており、freee を利用していれば、創業融資を受けるハードルが大きく下がっているのだ。

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引き続き組織も成長

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freeeの組織も引き続き成長を続け、今では400人を超えるような体制となった。そんな中でも、相変わらず全社合宿では、価値基準について全員で議論し、急成長の中でもムーブメント型組織である自分たちの本質を忘れず、カルチャーを支えることができた一年であったと思う。働きがいのある会社ランキングにおいても、今年は3位を受賞させていただいた。

僕自身にも小さい子供ができ、また小さな子供がいる同年代の社員も多いことから、自然発生的にファミリーデー的イベントも立ち上がったり、子育て支援的な施策も「ツバメっ子クラブ」としてまとまった一年であった。

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freeeオフィスでファミリーデー

2018年とその先

先日、freee Developers blog に、今重要だと思っていることを書いたが、今一度しっかりと freee の提供価値とその価値の発揮にこだわることが非常に重要だと考えている。「マジ価値」精神は freee の価値基準のエッセンスであるが、来年は初心に戻って、自分たちが本当に「マジ価値」かどうか徹底的に向き合い、マジ価値を発揮する一年としたい。

具体的には、これまでバックオフィス業務の自動化にこだわってきた freee の価値を、「業務の自動化」だけではなく、「経営の可視化」にもスコープを広げ、「自動化」「可視化」の両方の観点から、freee の提供価値の最大化に全社でこだわって取り組んでいこうと考えている。

2018年3月には製品としての freee は5周年を迎える。クラウド会計ソフト freee が世に誕生してから5周年だ。その間、会計ソフトのクラウド化は急速に進み、若い会社で言えば当たり前という時代になった。しかし、まだ世の中全体でみた場合にはマジョリティではない。マジョリティになっていくの時間の問題ではあるが、急速に進めるには、クラウドであるかどうかは関係なく、「自動化」「可視化」という価値の発揮がどれだけできているかにかかっていると思う。その上でこそ、その上にのる各種金融サービスはさらに活きてくる。

究極的には、どんな人にとっても会計ソフトや人事労務ソフトは「見るだけ」の存在になるだろう。「見るだけ」の存在になることで100%攻めのツールになることができる。

2018年も何卒、freeeをよろしくお願い申し上げます。

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【freee設立5周年】マンションの居間から始まった急成長の軌跡を振り返る

7月9日で設立5周年を迎えた freee。毎年恒例の全社オフサイト(合宿)にて、お祝いをしつつ、新年度と次の5年に向けて結束を深めてきた。オフサイトはまたさらにこれまでとは違う景色の見える規模で、急成長しつつもミッションに向けて進む組織の力を改めて実感する2日であった。

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よい機会でもあるので、ここでこれまでの5年間を一度まとめてみたい。

スタートラインに立てた1年目

スモールビジネスのプラットフォームをつくる、これは当初から変わっていないfreeeのビジョンだった。そのためには、まずスモールビジネス向けの会計ソフトの市場で大きなプレーヤーになれなければ意味がない。

僕が住んでいたマンションの居間でほそぼそと2人で開発を始めた freee であったが、とにかくビジネスをつくるためにやっていたのではなく、大きく世の中を変えることを目指していた。

このように考えたとき、freeeの1年目は、そのビジョンの実現に向け少なくともスタートラインに立てたと思える1年だったと思う。

マンションのリビングを離れてオフィスも借り、プロダクトも無事リリースして、強いニーズが検証された。B2B向けのソフトウエアというジャンルであってもリリース当日からSNS上で大きく話題となることができたのは日本のスタートアップシーンにおいても一つの潮目だったのではないかと思う。

有料化こそまだ始まっていない状況であったが、当時としてはまとまった金額の資金調達も実行でき、現在ではコアメンバーとなるようなメンバーが集まり、とにかく着実にスタートラインに立てたのが1年目だった。

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ビジネスとカルチャーの原型ができた2年目

2013年8月には、いよいよ有料化を実施。freeeの提供価値をビジネスとして世の中に届けることがいよいよスタートすることができた。30年以上変化のなかった日本の会計ソフト業界において経理自動化という全く新しいコンセプトを抱える SaaS モデルのプロダクトが誕生し急成長を始めることとなった。そしてまた、この時点でAPI公開を実施し、中小企業向けのシステムの新しい水準をセットした。さらに、クラウドならではの強みを活かした「給与計算 freee」もリリースされ、まさにビジネスとしての原型ができた年といえる。

一方、freee のカルチャーの原型のようなものも、この2年目に少しずつ誕生した。30人程度の組織に近づくにつれ、組織としての価値観を皆で議論し、しっかりと共有し、それぞれが意思決定できる体制となっていくことが求められたのだ。ちょうど2周年のオフサイトでは、初期バージョンの価値基準を初めて皆で議論しブラッシュアップした。

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起業家から経営者に変わらなければならない3年目

全従業員で100名を超える体制となった3年目。さらに、開発、マーケティング、カスタマーサポート組織を拡充するに加え、営業組織が誕生。さらに速いスピードで組織が成長するようになった。

全員でオーナーシップを持ちつつも、役割や責任について少しずつ明確化していったり、経営体制なども明確化していった。freee における人事制度の最初のバージョンをドラフトしたのも3年目であった。

組織運営というのは、プロダクトをつくることや事業をつくることとの両輪でビジネスを回していくものである。ただし、組織が十分に小さいうちは、さほど意識しなくても事業が成長していればなんとかなるものだ。

しかし、この3年目には、組織が多様性を増し、大きくもなり、組織運営と向き合うことを特に取り組んだ1年だったと思う。いわば、起業家から経営者に自分が変化していくような年だった。

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プラットフォーム化が現実となりはじめた4年目

freeeはこれまで、エンドユーザー向けに価値提供を行い、自分たちの型をしっかりとつくることにフォーカスしてきたが、本格的にスモールビジネスのプラットフォームとしてのダイレクトなステップも歩み始めたのが4年目であった。

ほぼすべての金融機関とはデータ連携を実現していたのに加え、より踏み込んだかたちで、さまざまなかたちで金融機関との提携を開始し、金融サービス利用も freee のインターフェースやデータを活用できる環境を提供はじめたことは、大きな第一歩であった。

そしてまた、会計事務所においての活用がはじまり、会計事務所を支援するチームの急拡大もはじまった。

さらに、小規模法人や個人事業主に限らず、より大きなビジネスにおいてもfreeeを活用いただけるための改修や機能追加が大きく進捗したことに加え、freeeのユーザー同士をネットワークで繋げ、お互いの取引を圧倒的に簡単にすることを実現しはじめた年でもあった。

このような新たなビジネスラインの追加で、ビジネスの拡がりは一気に進んだ一方、何年かの事業運営の成果として様々な係数管理ノウハウも進んできたことにより、事業のコアな部分においてはROI分析に基づいた投資基準のセットも少しずつ可能になり、成長をコントロールできる部分もできてきた。これによりさらに事業へのアクセルが踏みやすくなった。

そんな背景の中、本格的に新卒採用も開始し、13名の新卒も入社。さらに freee のカルチャーが強化される契機となった。

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各事業がビジョンを持つ5年目

5年目は本当に自分にとっての経営の概念が変わった年であった。

事業として、会計事務所における活用が一気に急拡大し、会計事務所支援を行うチームが特に大きなチームに拡大するとともに、「申告 freee」をリリースし、法人税申告や年末調整を freee のデータからシームレスに電子申告できるような機能の提供がはじまった。

一方、エンタープライズプランのリリースなどの新規開発を通じて、成長企業における活用もどんどん実績ができ、「クラウドERP」という新たなコンセプトが広まっていった。

さらに、コアとなる中小企業向けの会計ソフトにおいては、創業1年目の会社ではクラウド利用がパッケージを超えるという大きなマイルストーンを迎えることができた。

人事労務の業務をワンストップ化する「給与計算 freee」のコンセプトが非常に好評であり、さまざまな可能性が見えてくる中、ひとつの事業の柱として大きく投資し、「人事労務freee」としてさらなる進化を遂げることも決めた。

ただし、このような事業の成長よりもより重要なことは、freee における経営の質が変わってきたことではないかと考えている。各事業やチームがより長い視点に立ったビジョンを持ち、自律的に事業や開発の推進を行うようになっている。あたかも共通のミッションを追うスタートアップ連合体のように組織を運営することができ、freee 全体が新たにアウトプットできることは組織拡大のスピード以上に伸びることとなった。

こんな中で、自分の役割はより抽象度を増し、freee全体として矛盾のない進化と価値提供を担保すること、そして視野広く非連続的な成長を考えることとても重要で、またそのために色々な方向からものごとを見てみたり情報をインプットしたりすることの重要性を実感した年だったと思う。

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6年目、そして次の5年

freeeの6年目はさらに新たな次元でスピード感を持って価値を届ける1年になるだろう。

結果として、会計・人事労務という非常に保守的であった分野が、エンドユーザーだけでなく、それを助ける会計事務所・金融機関も含めて大きく効率化され、スモールビジネスの経営者がよい意思決定にフォーカスできる世の中に向かって急速に進化する。

これからの1年は、こういった変化を正当化するエキサイティングな1年である。

Google も YouTube も NetFlix も自ら何かを欲して検索しなくても、情報を薦めてくれるようになった。スマートフォンがタッチスクリーンという新たなインターフェースにより、機械をより直感的にした。そして次に、スマートスピーカーといわれる Amazon Alexaや Google Assistant は、本格的に自然言語での会話によるインターフェースを実現しつつある。

この Amazon Alexa や Google Assistant が国内発売し、国内勢でも LINE や Softbank がスマートスピーカーを発売するそんな年なのだ。

つまり、テクノロジーが一部の人のものではなく、人を選ばない時代が本当に来ているのだ。

これは、暗黙的に受け止められてきた、あるいは諦められてきた世の中のルールや前提が本当に変わってくるということを意味する。

そして、スモールビジネスを経営するためのテクノロジーも当然人を選ぶものであってはならない。

こんなトレンドのもとで、スモールビジネスが、創造的な活動にフォーカスし、より強くてかっこよく活躍できる、そんな環境に急速に近づく1年としていきたい。