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「魔法は探し求めている時が一番楽しい」


by chatnoir009
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イラン問題

 今年4月にイスラエル副首相がモサド高官を引き連れて日本の首相官邸を訪れ、イランの核開発について警告を発しておりましたが、どうも当時の首相はこの問題に対してあまり関心を示さなかったのか、その後日本政府はこの問題に対して動いた形跡がありません。もちろん確たる証拠もなしに提供された情報に飛びつくのは危険ではありますが、この一件はわが国にとって微妙な問題を孕んでいます。
 このブログでも以前書きましたように、韓国の哨戒艦撃沈について日本政府は韓国に対する外交的な支援と北朝鮮に対する追加制裁を早々と表明し、先週の安保理でも常任、非常任理事国の日米が押し切る形で北朝鮮を非難する議長声明が発表されました。しかしどうやらこの事件とイランの件は繋がっているようです。まず最近、イスラエルがトルコ船籍の「マビ・マルビラ」号を攻撃した事件によって、イスラエルと中東の同盟国トルコの関係は悪化しており、それはイスラエルとイランとの仲介役として期待されていたトルコの離脱を意味しています。このままいけばイスラエル・イラン関係は悪化の一途を辿ることになるでしょう。イランは北朝鮮が韓国の哨戒艦撃沈に使用したと見られる潜水艦を購入するという報道もあり、イラン側もイスラエルに対する攻勢を強めつつあるようにも見えます。少なくともイランの核施設がイスラエルに空爆された場合に備え、石油の搬出路であるホルムズ海峡を封鎖するという脅しにはなります。最近の報道でロシアもイランの核開発が最終段階に入ったことを仄めかしており、イスラエルの警告がそれなりに妥当なものであったことが窺えます。他方、北朝鮮としてはイランが潜水艦を購入することで外貨を獲得でき、当面の資金難は凌げそうでもありますので、北朝鮮とイランの関係は日本にとっても対岸の火事とはなり得ません。大局に立てば日本にとっての外交的課題は、核拡散の防止と中東の緊張緩和、石油の安定共有を目的とし、その上でイスラエル・イラン間の仲介、安保理の議長声明を根拠に北朝鮮からの武器移転に対する監視を強めるべきであり、日本の対外インテリジェンスはこれらの目的のために情報収集、分析を行うべきではないかと思います。
 1941年6月、日本政府は独ソ戦開戦の情報をドイツから事前に知らされていながらただ時間を浪費し、何の対策も打たなかった経緯があります。歴史を教訓とするならば、やはりもう一度モサドからもたらされた情報を吟味し、イスラエルの日本に対する真意を探り当ててみる必要性があるのではないでしょうか。
by chatnoir009 | 2010-07-14 22:25 | 国際情勢