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2024年12月16日

水を飲むと糖尿病や肥満が改善 水を飲む習慣は健康的 高カロリーの飲みものを水に置き換え

 水を十分に飲むことは、糖尿病の管理や、体重の管理に役立つことが明らかになった。

 水を飲む習慣は、血糖値やインスリン値が高くなる糖尿病のリスクを減らし、肥満のリスクを減らすのにも役立つという。

 適切な水分補給は、体内の老廃物を尿として排出し、体温と血圧を正常に保ち、腸の健康を調節するなど、多くの健康上の利点をもたらす。

水を飲む習慣は健康的

 食事のアドバイスでは、1日にコップ8杯の水を飲むことが勧められることが多く、多くの人は水を飲むことは健康的と思っている。

 米カリフォルニア大学の発表した新しい研究では、水を適切に飲むことは、体重の管理や、糖尿病の管理に役立ち、腎臓結石、偏頭痛、尿路感染症などの予防にもつながることが確かめられた。

 研究グループが、水分補給と健康との関連を調べた18件のランダム化比較試験を解析した結果、次のことが示された。

  • 成人が1日に6杯の水を飲むと、体重管理が改善する
  • 糖尿病のある人が、水を1日に4杯多く飲むと、高血糖が減る
  • 1日に8杯の水を飲むと、腎臓結石が再発する可能性が減少する
  • 慢性の頭痛のある成人が、水を3ヵ月飲みようにすると、症状が改善する
  • 女性が水を1日に6杯飲むと、再発性の尿路感染症に効果がある

 「今回の研究は、水分補給が臨床的な結果に及ぼすベネフィットを広く評価したはじめてのものです。水を飲むことは、シンプルですぐに取り組むことができ、大きな利益をもたらす可能性があります」と、同大学泌尿器科の特別教授であるベンジャミン ブレイヤー氏は言う。

 寝ているあいだに失った水分を朝起きたときに補給したり、ウォーキングやスポーツなどで体を動かしたときや、入浴後などで汗をかいたときやトイレの後などに水を飲むことを勧めている。

 「ただし、腎臓病が進行している人などは、水分摂取量を症状などに応じて調整する必要がある場合があります。水分補給については、すべての人にあてはまる画一的な方法はありません。かかりつけの医師や栄養士などの専門家と相談することもお勧めします」としている。

水を適切に飲むと糖尿病も改善しやすくなる

 水を適切に飲む習慣は、2型糖尿病のリスクを減らすのにつながることが、フランスのパリ大学やパリ公立病院連合(APHP)による別の研究が明らかになっている。

 研究グループは、研究開始時に空腹時血糖値が正常だった中年男女3,615人を、9年間追跡して調査した。うち565人は期間中に血糖値が高くなった。

 その結果、水をもっともよく飲んでいた人は、もっとも飲んでいない人に比べ、空腹時血糖値が110mg/dLを超えて高くなったり、糖尿病の治療を開始するリスクが21%低いことが分かった。

 フランスのダノン研究所による別の研究でも、水をよく飲んでいる人は、血糖値やインスリン値が高くなる代謝機能障害や、メタボリックシンドロームのリスクが低いことが示されている。

 水をもっともよく飲んでいる人は、空腹時血糖が低い傾向があることが分かった。研究グループは、米国国民健康栄養調査(NHANES)に参加した3,961人の成人のデータを解析した。

糖質の多い高カロリー飲料を水に置き換え

 バージニア工科大学やノースカロライナ大学が発表した別の研究では、コーラやジュースなどの糖質の多い高カロリー飲料を、水に置き換えると、1日のエネルギー摂取量を減らせて、糖尿病や肥満のリスクを低下できることが示されている。

 研究グループは、米国国民健康栄養調査(NHANES)に2007~2012年に参加した1万9,700人以上の成人のデータを解析した。

 その結果、1日に1回、高カロリー飲料を水や無糖のお茶に置き換えただけでも、飲料の健康指数のスコアは9%から21%に改善することが示された。

 「糖質が多く含まれる飲料を飲みすぎている人は、それを水やお茶に置き換えるだけで、飲料から摂取するエネルギー摂取量の食事全体に対する比率を減らすことができます」と、ノースカロライナ大学栄養学部のジェニファー ポティ氏は指摘する。

 「とくにジュースやコーラなどの炭酸飲料、加糖コーヒー、エナジードリンクなどの糖質の多い飲みものを飲みすぎると、体重が増え、肥満や2型糖尿病、心血管疾患のリスクが高まります」としている。 事者が公園などの自然空間を活用した「自然療法」(米国では「ParkRx」として知られている」)を積極的に処方したり、医療者が自ら参加し実践して、自然とのつながりを強める行動をモデル化することなどを提案している。

糖尿病のある人にとって水分補給は大切

 糖尿病の治療薬として利用されているSGLT2阻害薬は、尿中へ糖を排出し、血糖値を下げる薬。糖尿病では、糖代謝の改善、体重の減少、心血管疾患の抑制などの効果がある。

 SGLT2阻害薬の服用をはじめると、尿の量やトイレの回数が増えることがある。そのためSGLT2阻害薬の服用している人は、とくに水分補給をこまめに行うことが勧められている。

 米国糖尿病学会(ADA)は、「適切な水分補給は、体内の老廃物を尿として排出し、体温と血圧を正常に保ち、腸の健康を調節し、関節の痛み減らすなど、多くの健康上の利点をもたらします。また、ナトリウム、ビタミン、ミネラルなどの大切な栄養素のバランスを保つのにも役立ちます」と説明している。

 水を飲む習慣のある人は、健康的な習慣をもっていることが多く、たとえば運動を習慣として行ったり、健康的な食品を選んだり、健康診断や検診を定期的に受けることなど行っているという。

 体に水分が足りているかを知るための、もっとも分かりやすい方法は、「尿」をみることだとアドバイスしている。

 「尿が透明であったり、明るい黄色であれば、水分が足りているというサインであり、尿が暗い濃い色になったり、尿量が少ない場合は、水分を補給した方が良い場合が多い」と、説明している。

 「アルコールとカフェインの入った飲みものは利尿作用があり、体内の水分を排出させるため脱水を引き起こすおれそがあります。そういった飲みものの飲みすぎにも注意が必要です」としている。

 どれくらい水を飲んだらよいかは、年齢、活動量、気候や居住地、体重、特定の病状などによって異なる。1日に摂取する水分量に注意する必要のある疾患がある場合もある。適切な水分補給について、かかりつけの医師や栄養士に相談することを勧めている。

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Modeling the Effect of Replacing Sugar-Sweetened Beverage Consumption with Water on Energy Intake, HBI Score, and Obesity Prevalence (Nutrients 2016年6月28日)
Why You Should Drink More Water (米国糖尿病学会)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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