MOTHER3
まざーすりー
データ
種類 | オリジナル版 | バーチャルコンソール※1 | NIntendo Switch Online |
---|---|---|---|
機種 | ゲームボーイアドバンス | WiiU | Nintendo Switch |
発売日 | 2006年4月20日 | 2015年12月20日 | 2024年2月21日 |
開発元 | 任天堂・HAL研究所・ブラウニーブラウン・東京糸井重里事務所 | 同左 | 同左 |
販売元 | 任天堂 | 同左 | 同左 |
レーティング | CERO-A | 同左 | 同左 |
※2023年3月28日に配信終了(購入済なら再ダウンロードは可)
2006年4月20日に任天堂から発売されたRPGで、前作『MOTHER2 ギーグの逆襲』の正式な続編。
プロデュースは前2作と同様に糸井重里が担当し、開発には元スクウェア組で聖剣伝説シリーズなどを手がけていたブラウニーブラウン(現:1-UPスタジオ)が新たに参加。音楽は前2作で関わった鈴木慶一と田中宏和に代わり、HAL研究所の酒井省吾が全曲を担当した。
糸井は本作をもってMOTHERシリーズを完結とし、今後自身の手で続編を製作する予定は無いと明言している。
発売までの開発経緯
幻となったNINTENDO64版
本作は元々シリーズ初の3Dゲームとして制作が進められていた。
1997年にNINTENDO64専用ソフトとして発表され、プラットフォーム移行とタイトル変更を繰り返しながら1999年に翌年5月の発売を予告。しかし、様々な理由から開発は大きく遅れ、やがて任天堂では次世代ハードにあたる"Dolphin"用のソフト開発が始まったことで、本作の開発に人員や予算を割けなくなっていった。
そして、2000年8月22日に公式が開発中止を発表。
中止発表と共に『ほぼ日』で公開された糸井、岩田聡、宮本茂による座談会では、当時の詳しい状況を知ることができる。
再開発からのカムバック
3年の沈黙ののち、2003年4月15日にシリーズ1、2作目をゲームボーイアドバンスに移植した『MOTHER1+2』が発表。そのテレビCM内で本作の再開発が明かされた。
岩田、宮本の提案からプラットフォームは携帯機のゲームボーイアドバンスへと移され、物語やキャラクターはそのまま、前作までの雰囲気を色濃く受け継いだドット画の2DRPGとして生まれ変わる事になった。
2006年4月20日に発売。前作から約12年の時を経て、遂に復活を遂げたのであった。
物語
本作では再び舞台が一新され、全ては1つの巨大な島「ノーウェア島」内で繰り広げられる。物語は全8章に分けられ、前半部は時間や舞台を共有しながら章ごとに主人公が交代する群像劇となっている。
続投するキャラクターは僅かであり、シリーズで最初にプレイしても問題はない。しかし、これまでと異なり明確に前作との繋がりがあるため、プレイしていればより深く物語を楽しむことができる。
基本操作
「はなす」と「チェック」が統合され、メニューから独立。加えて基本操作にダッシュが追加されるなど、ゲームボーイアドバンスに合わせて遊びやすいようにアップデートされている。
また、本作のダッシュは多くの任天堂作品に見られる"ボタンを長押ししている間ダッシュ"ではなく、ボタン長押しで"ダッシュの構え"、ボタンを離すと"何かにぶつかるまでそのままどこまでもダッシュ"という独特の仕様になっている。
戦闘システム
前作に引き続きシンボルエンカウントを採用。加えて、ボスなどを除く殆どの敵のグラフィックに背後差分が与えられ、背後を取った際に視覚的にも楽しめるようになった。
HP減少が時間差で反映される"ドラムロール式HPメーター"や、PSI使用時の幾何学エフェクトも健在。
本作では新たに、戦闘BGMに合わせてボタンを押す事でコンボを重ねられる"サウンドバトル"が追加。判定は非常にシビアな上、リズムが不規則で嫌らしいフェイントや判定ポイントを持つBGMも多いが、最大の16コンボまで繋げると2.5倍のダメージとなる。
またPSI習得の際、初代のようにひと手間かかる仕様になった。覚える前兆は移動時に突然「熱っぽくなる」事とそれが発動すると移動でダッシュができなくなる。リュカとクマトラにのみ起こる現象。
いかにものんびりした美しい風景のなかに、質素な山小屋がたっています。
主人公の少年の、おじいさんの住まいです。
お母さんと一緒に、おじいさんのうちに遊びに行った、双子の少年たちは、今日のうちに、お父さんの待つタツマイリ村に帰ることになっています。
大きく気だてのいい動物ドラゴと全身を使って遊んだり、食卓を囲んでお母さんの手料理を味わったり、たのしい時間は、あっという間に過ぎて行きます。
いつもの森を抜けて、あとは帰るだけ。
不吉な気配など、みじんもありませんでした。
「もうじき帰りますよ」という手紙を加えた鳩が、夕暮れの空を飛び立ちました。
ここが世界のどこなのか、いつの時代なのか、さらには、悲劇なのか喜劇なのか・・・・。
すべては謎にされたまま、この物語は始まります。
WELCOME TO MOTHER3 WORLD
ようこそ『MOTHER3』の世界へ!
※『MOTHER3』の公式サイトから引用
メインキャラクター
本作の主人公で心優しい少年。父フリント、母ヒナワ、双子の兄クラウスの4人家族。
超能力の素質を持ち、後にマジプシーのイオニアの協力を経てPSIに目覚める。
第4章『チチブーの劇場』以降、プレイヤーとして操作出来るようになる。
リュカの双子の兄。
弟と比べるとやんちゃで活発な性格で、母のヒナワからは少し心配されている。
とある事情からマジプシーのエオリアのもとに訪れ、PSIを教わる。
リュカとクラウスの父親。
不器用な性格で向こう見ずな一面もあるが、強くて頼れる存在。
第1章『とむらいの夜』では、プレイヤーとして操作が出来るようになる。
とても優しく温和な性格で、家族だけでなくタツマイリ村の住民からも愛されている。
リュカの家で飼われている、勇敢で利口な犬。
全編を通してフリント一家や旅のメンバーを支える。
本作の仲間の1人で、何も盗まない正義のドロボー親子の息子。
父のウエスから教わったドロボー術を使う。
第2章『泥棒アドベンチャー』では、プレイヤーとして操作が出来るようになる。
本作の仲間の1人で、サルよりすばしこくクマより強いというオソヘ城の姫君。
戦闘では、主に彼女のみが習得する攻撃系のPSIを使用する。
- サルサ
サル質となったガールフレンドのサルコを助ける為、ヨクバに奴隷としてこき使われているサル。
第3章『あやしい行商人』では、プレイヤーとして操作出来るようになる。
サブキャラクター
ノーウェア島で長い時代を生き続けている不思議な人々。
オカマのような外見をしており、各地に存在する7本のハリを守っている。
オリシモ山のドラゴ大地に住む緑の恐竜。
外見に反して人懐っこく、同じ山にあるアレックの家までやってくる事もある。また、クラウスやリュカのケンカごっこ(ドラゴに体当たりをする遊び)にも気前よく応じてくれる。
「ぴょん。セーブしておきますか?」
ノーウェア島のいたる所に生息し、セーブとお金(DP)の管理をしてくれる。
食べられたり剥製にされたり幽霊になったりしても、セーブはしてくれる。
ノーウェア島に住む生き物。プロローグでリュカとクラウスに戦いを挑む。
第7章以降ではアイテムの売買をしてくれるようになる。
ダスターがオソへ城で手に入れる赤い蛇。
名前通り紐としての役割で冒険をアシストしてくれる。
第4章以降に登場
- ヨシダさん
コーバの責任者を務める人物。少佐のブタマスクだが、彼らの中では珍しくリュカ達に敵意を持っておらず気さくに話し掛けてくれる。
クラブ・チチブーに行った事がなく、代わりに歌を作成する程コーバに愛着があったため、閉鎖が決まった時には「俺まで必要とされてないみたいで悲しいよ」と嘆いていた。
2007年2月7日に『ほぼ日刊イトイ新聞』で配信されたブックレットで素顔が明かされた。
コーバで働いている、身体が粘土でできたロボット。
自我はなく、ブタマスク達からはぞんざいに扱われている。
クラブ・チチブーで演奏活動をしている5人組の男性バンド。全員が記憶喪失らしい。
物事で何か迷った時には"ジャンケス"で決める。
クラブ・チチブーの看板従業員。
キングPの命令により、キマイラ研究所で働いている男性。
前作と同一人物なのかは不明。
どせいだにに住む謎の生命体。
気の抜ける外見や話し方に反して高度な科学力を持っている。怖い話は苦手。
ここでは、『MOTHER3』に登場する一部の敵を紹介する。
全モンスターについては「MOTHERシリーズのモンスター一覧」を参照。
キングPに忠誠を誓っている謎の集団。
突如タツマイリ村に現れ、様々な悪事を働く。
キングPに仕え、ブタマスク達を統率している男性。バナナが好きで、食べた後に皮を地面に捨てる癖がある。
第3章『あやしい行商人』ではサルサを奴隷のように扱い、タツマイリ村に訪れてからは演説などを通して間接侵略を試みる。
第5章『イカヅチの塔』のラストから登場する謎の人物。
キングPに忠誠を誓い、多くのブタマスク達から慕われている。
- キングP ※リンク先ネタバレ注意!※
ブタマスク達と仮面の男を統率する謎の人物。
- ぶんちょうぼう
口だけの顔に足が4つついた不思議生物。
ブタマスク達によって改造されたドラゴで、第1章『とむらいの夜』のボス。
オソヘ城の地下に潜んでいる巨大なヘビで、第2章『泥棒アドベンチャー』のボス。
イカズチタワー最上階のジェネレーターを守っているロボットで、第5章のボス。
電気がメインの攻撃を繰り出し、通常攻撃をすると感電してしまう。
キマイラ研究所に監禁されていた生命体。
- てっきゅうメカゴリラ
シログネ山で仮面の男がリュカ達に差し向けたゴリラのメカキマイラ。
凄まじい攻撃力で、手に繋がれた鉄球を振り回してくる。
タネヒネリ島のハリを守る謎の生命体。
キングPのおへやに住んでいるメイドロボット。
室内に飾られた〈ともだちのヨーヨー〉を監視している。
本作の舞台で、村や森、火山、雪山、砂漠など様々なエリアが存在する。
オオウロコ海岸から海底ダンジョンを通って辿り着く小さな島。
余程のことがなければ食べるべきではない毒々しいキノコが生えている。
- 7本のハリ
ノーウェア島の各地にある不思議なハリ。かつてマジプシーの先祖が闇のドラゴンを封印する際に使用し、現在も封印の要として7人のマジプシーにより守られている。
ハリは特別なPSIを覚えた者しか抜く事が出来ず、その全てが抜かれた時には闇のドラゴンが目覚め、ハリを抜いた者の意思を反映させた新世界へ改変すると言われている。
- ハミングバードのタマゴ
"ひかりのタマゴ"とも呼ばれる。オソヘ城に隠されている秘宝で、世界を破壊する力と生み出す力を持つと言われている。第2章『泥棒アドベンチャー』では、ウエスがダスターに"ある重要な物"として盗んでくるように命じる。
- シアワセのハコ
ヨクバ達がタツマイリ村の住民に配ったピンク色で画面付きのハコ。常に怪しげな光や音を発している。3年後には完全に普及しており、所持していない住民は社会的、物理的な迫害を受けている。
フリントが子どもの頃から大切にしていたバッヂ。物語の途中で、ニッポリートを介してリュカの手に渡る。あるタイミングでどせいさんに磨いて貰うことで、本来の模様と効果を取り戻す。
フリントの家のドアノブ。第1章『とむらいの夜』の序盤でトマスに破壊され投げ捨てられてしまい、以降度々目にすることになる。
CD
2006年11月2日から発売されたサウンドトラック。酒井省吾が編曲した楽曲に加え、クレイジーケンバンドの生演奏曲や大貫妙子がボーカルを担当した『We miss you 〜愛のテーマ〜』を収録。
初回限定で「おしのびどせいさんストラップ」が付属し、2007年2月7日からはボーナストラック1曲を追加したネット配信版もリリースされた。
2007年2月7日からリリースされたアルバム。シリーズ内のアルバムで唯一ネット配信のみでの発売となっており、酒井省吾が編曲したメドレー曲が収録。
『大乱闘スマッシュブラザーズX』以降の作品で、ファイターとしてリュカが参戦、『大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS / Wii U』を除いてステージとしてニューポークシティが登場。
『大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL』ではクラウスを初めとしたメインキャラクターがスピリットとして登場した。
国外で発売されていない本作は『大乱闘スマッシュブラザーズX』が初の全世界デビューとなった。
また、MOTHERシリーズで本作のみ登場人物のキャラクターフィギュアが制作されていないため、リュカは『大乱闘スマッシュブラザーズX』、クマトラとボニーは『大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL』で初めて立体化された。
海外では
本作はシリーズ内で唯一国内版しか発売されていない。
その理由について長らく様々な憶測が飛び交っていたが、米任天堂の元社長レジナルド・フィサメィ氏は2022年のインタビューで、「ビジネスの問題であり、作中の表現に問題があった訳ではない」と明らかにした。
公式による他言語版は現状存在しないものの、発売から約半年後に痺れを切らした過去作ファンの手により翻訳プロジェクトが発足、2008年に非公式翻訳パッチが公開された。その内容はプロの翻訳家を中心とした本格的なもので、これにより世界中の人々が本作をプレイし、現在もファンを増やし続けている。
無論、公式のローカライズを求める声は未だ根強く、2015年のバーチャルコンソール追加、2024年のゲームボーイアドバンス Nintendo Switch Online追加が日本のみと判明した際には海外ファンからは落胆の声が上がった。
またフィサメィ氏自身も2014年のE3で"「MOTHER3を出してくれ」とせがむファン"をネタにしている。
NINTENDO64版について
プラットフォーム、タイトル名の変移
発表年 | 対応ハード | タイトル |
---|---|---|
1997年 | NINTENDO64 | MOTHER3 キマイラの森 |
1997年 | 64DD | MOTHER3 奇怪生物の森 |
1999年 | NINTENDO64 | MOTHER3 豚王の最期 |
製品版との相違点など
- マップやキャラクターなどがフル3DCGで描写。デザインも異なる。
- 『PSI』の代わりに『マホウ』という要素がある。
- 構想段階では12章構成であったが、開発末期に9章まで省略された。製品版は全8章(プロローグ・エピローグを含めると全10章)であるが、N64版で省略された部分はそのままなのか、再編によって補完されたのかは不明。
- 当時の公式イベント『NINTENDOスペースワールド'99』では「豚王の最期」の試遊台、トレーラーが公開されていた。
大乱闘スマッシュブラザーズシリーズとの関わり
- 1999年発売の『ニンテンドウオールスター!大乱闘スマッシュブラザーズ』は延期になった64DD版の穴埋めとして発売された。
- 2001年発売の『大乱闘スマッシュブラザーズDX』では、NINTENDO64版が無事に発売されていた場合リュカがネスと交代で参戦する予定であった。
『MOTHER4』について
- 既述の通り、糸井の手によって製作されることはないと本人の口から繰り返し明言されている。
- Nintendo DREAM 2006年8月号のインタビュー、BRUTUS No.706(2011年4月発売)の岩田聡との対談にて「自分以外の誰かが『MOTHER4』を作る可能性」について言及。同雑誌が提供するサイトにて公開中。
その他
- 前作世界との繋がりは明らかにされていない。未来説や太古の時代説、別の世界説もあるがどれも確証はなく、糸井も公言していない。
- 前2作のBGMも一部使われており、『Pollyanna』『スノーマン』はシリーズ皆勤賞となった。
- 2020年5月14日、にじさんじに所属するVtuberのリゼ・ヘルエスタによるプレイ配信がきっかけで話題になり、Twitterでトレンド入りした。
- 原作者の糸井や音楽を担当した酒井も視聴していた事が明らかになり、配信日の翌日には『ほぼ日』でその内容を採り上げた記事が掲載された。
- 2024年2月21日に「ゲームボーイアドバンス Nintendo Switch Online」に追加。追加パックに加入することでプレイできる。
- WiiUバーチャルコンソールに続いて8年ぶり2度目の移植。2023年3月28日のWiiU版「ニンテンドーeショップ」サービス終了に伴い、入手及びプレイ困難な作品の一つとなっていたが、本移植によって再び幅広い層が遊べるようになった。
参考作品
影響を受けた作品
フランスの小説家・アゴタ・クリストフが発表した3部作の第1作目。
リュカとクラウスの名前はこの作品の双子の名前が元になっている。小説内で2人の名前が明らかになるのは続編の『ふたりの証拠』から。
ヴィットリオ・デ・シーカ監督の映画。
本作のとあるシーンのインスパイア元として、この映画を挙げている。
ジュゼッペ・トルナトーレ監督の映画。
ニューポークシティの映画館にこの作品をパロディした人形がある。
『ふりむけばカエル』(1987年)
4〜5月の『みんなのうた』で公開された楽曲。作詞は糸井氏が行っている。
本作に登場するカエルのモチーフの一つとして、この楽曲を挙げている。。
『再会』(1960年)
日本の歌手・松尾和子の楽曲
作中のとある人物の描写、及び作品全体における善悪観のイメージ元としてこの楽曲を挙げている。 ※リンク先ネタバレ注意!※
その他
- MOTHER3 - Wikipedia
- MOTHER3とは (マザースリーとは) [単語記事] - ニコニコ大百科
- 開発者インタビュー - ニンテンドードリームweb(※ネタバレが多く含まれているためクリア後の閲覧を推奨)
コメント
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すべて見る- SISTER3
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