鞘
さや
刀剣の刀身を収めるための筒状の覆い。
当たり前だが、刀剣を刀身を晒した「剥き身」の状態で放っておくのは大変危険であり、持ち運びに支障をきたす。
鞘はそうした刀身の危険性を封じ、装備者や周囲の器物やすれ違う人間に危害を及ぼさないためのものである。同時に刀身も自身よりも硬い物に当たれば刃が欠け、また埃や泥などが付着する事で刀身が汚れ錆付いたりする事で結果として武器の寿命を早める事になるので、そうした事態を防ぐ意味合いもある。
ただしこれは一般的な切断・刺突用の剣の場合であり質量で相手を圧し斬る頑丈な大剣には鞘が無い物も多い、そういったものは鞘に収める事が即応性を殺したり、そもそもそんな大きな鞘が作れない、鋭い刃が付いていないので収める必要が無いなどの理由で鞘を用いないとしているケースも多い。
材質は木製や革製を基本とした物が多く、近代のサーベルなどは鉄やアルミニウムといった金属で製造される(無論パーツ毎に材質を変えた構造の物も有る)事が多い。槍には穂先を収納する「槍鞘」が存在する。
また、鞘と柄を日用品から改造して偽装することで仕込み刀となる。
日本では鞘の破損は収める日本刀の運用に支障をきたしやすい為、鞘を武器として用いる事は非常に稀だが、中国系の剣術やヨーロッパ・中東系剣術では鞘を武器として用いる(あくまで相手の動きを押さえたり等補助的なものだが)ケースがある。
この鞘を作る人の事を「鞘師」と呼ぶ。
鞘は剣に優る
その機能上、力の象徴である『剣』を封じるため、「鞘>剣」とされる話は世界各国にいくつか存在する。
有名なものに『アーサー王伝説』に登場するエクスカリバーにまつわるものがある。
あるとき、魔術師マーリンはアーサー王に「剣が大事か、鞘が大事か」と問うた。アーサー王はそれに「もちろん剣にきまっている」と答えた。しかしマーリンはその答えを嘆き、「剣は確かに強いが、それを収める鞘はもっと重要だ。それは戦も治世も同じことであるとうのに」と諭したという。
こうしたエピソードから、鞘を『聖剣(魔剣)を封じる戒め(または力を補う充電器)』とするものは多く、使い手が未熟だと鞘から剣が抜けなかったり、鞘を用いることで剣が真価を発揮するようなファンタジーでの設定は多い。
鞘にまつわる言葉
元の鞘に収まる 反りが合わない
前者は悪化した状態が以前の安定した状態に戻る事、後者は性格の不一致等によって不仲であることを指す。
原義は鞘は収める刀剣の造りに合わせて作られるオーダーメイド品の為、他の刀剣をその鞘に収めようとしても無理な事から。
特に人間関係において用いられることが多い。
『破れ鍋に綴じ蓋』と類義語で、恋愛関係で用いられることも多い。
鞘当て
ちょっとした諍いごとを起こすこと。
特に、一人の女性を巡って二人以上の男がその心を射止めようと争う所謂「恋の鞘当」が有名。
歌舞伎から派生した言葉。
また、武士の矜持である刀に不用意に他人の刀の鞘が当たることは失礼に当たるため、ここからちょっとした原因で諍いが発生することを指すようになった。
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