演:奈良坂篤
概要
非情に高圧的かつ攻撃的な性格で、劇場版に登場したシャークスのシゲムラ参謀同様、怪獣保護には否定的な考えを持つ典型的なタカ派の腐敗官僚。
しかもやることなすことが悉く状況を悪化させてしまうという無能軍人。
また、高圧的な一方で上官である佐原司令官には頭が上がらない一面もある。
ウルトラシリーズでは攻撃的な思想で主人公たちとも対立したり、机上の空論に則った見通しの甘い作戦を実行した結果、防衛チームだけでなくウルトラマンにまで手を大きく煩わせる大失敗をしでかし、図らずも作中における『お邪魔虫』『トラブルメーカー』となってしまうといったこの手のタカ派軍人が何度か登場している。
他方、彼らも彼らなりに人々や地球を守ろうとしているという点では一定のフォローがされるケースが多く、ウルトラマンダイナのゴンドウ・キハチのように最後の最後で漢を見せた事から評価を一転させたキャラもいる。
しかし西条武官はそれなりに登場しているにもかかわらず、こうしたフォロー描写が全くなく、単なる敵より邪魔な味方的存在として憎まれ役で終わってしまった珍しいキャラである。
ヒウラキャップと何かしらの因縁があるかのような描写があるが、劇中でその理由が明かされることはなかった。
劇中での動向
第32話にて強力な対怪獣麻酔薬「ドリームスリープ」使用催促のためにトレジャーベースを来訪。デスクの上に足をのっけて出現したゴルメデβの動向を見ていたが、そもそもゴルメデβが暴れた理由は防衛軍の兵器工場から出た汚染水の影響で強烈な化学反応が原因で、さらにはドリームウイルスも吸収してしまいさらに状況は悪化してしまう。
最終的にコスモスによってドリームスリープや化学物質が取り除かれ、ドリームスリープが不要であるという結果にふてぶてしい表情を浮かべながら去っていった。
第39話ではドイガキ隊員のカオスヘッダーに関する報告会に参加し、カオスヘッダーに対する対策を要求。続く40話にてカオスウルトラマンの目的が鏑矢諸島の怪獣全てのカオス化だとわかると、最悪の事態として怪獣たちの殺処分を命令した。
そして第51話ではカオスヘッダーの天敵となるカオスキメラを持つ怪獣マザルガスが防衛軍の弾薬庫に近づいていることを理由に、自分の号令で兵器化した対怪獣殲滅兵器「ダビデス909」の発射を命令。結果マザルガスを殺すこととなり、カオスキメラまで消滅させてしまった事でヒウラから「お前は人類の希望を握りつぶしてしまったんだぞ!」と非難を浴びせられつつ、殴り倒されることとなった。
第61話ではヘルズキング改を自信満々に説明し、カオスキメラの培養に四苦八苦しているEYESに「カオスキメラ一つでノロノロ手間取っているお前たちとは違うんだよ」と嘲笑的な嫌味を吐くが、当のヘルズキング改が暴走した際に、破壊しないでくれと頼む佐原の横で「保護は君たちの専売特許だろ?なるべく無傷で確保しろ」と散々怪獣保護を否定していたのに、拳を返したような無理難題も同然な内容の要望を、相変わらず上から目線な態度でEYESに指示した。
最終的にヘルズキング改がEYESとコスモス双方の同意の末に完全に破壊されてしまうと、「なんてことをしてくれたんだ!許さん!出動停止だ、いや、解隊だ!」と自らの指示に叛意したEYESに対し烈火の如く怒り狂いながら、(EYESの親組織である)SRCへ報復の圧力をかけるように佐原へ提言しようとするが、佐原から「静かにしてくれないか…」と冷ややかに一蹴され、結局は自らが佐原の静かな圧力に圧され、引き下がざるを得ない事となった。
さらに、皮肉にもヘルズキング改を破壊した事で、その動力炉として使用されていたソアッグ反応炉の波長からカオスキメラの活性を促進できる事実が判明し、その研究が躍進することとなった。
最終話ではリドリアスやモグルドンら友好的な怪獣がカオスダークネスを説得するため現れたのを怪獣達の総攻撃と解釈し攻撃を指示しかけるが佐原に制止され未遂に終わる。
余談
苗字の由来は、『ウルトラQ』で戸川一平を演じた俳優の西条康彦から。
ちなみに戸川はウルトラQの作中においてはトリックスターのような役回りを担う人物であったが、西条程にトラブルメーカーではなかった。
上の数々の所業やそれらを反省したり、懲りる様子が見られない等の理由から、ファンからの印象も
「いくらなんでも失態を犯しても反省しないのは軍の将校として救いようがなさすぎる」「主人公達からすれば疫病神でしかない」「他の人たちは曲がりなりにも正義感が見られるけど西条はそういうのも無いからフォローのしようがない」
とまで言われるほど、最悪レベル(特にマザルガスの件は仕方がない所もあったとはいえ批判が非常に多い)で、リアルでも被害を受けたレベルでは無いものの、「ウルトラシリーズの嫌われ者」という話題になると度々名前が挙げられる。
但しメタ的な事情を挙げるならば、ウルトラマンコスモスの「怪獣をなるべく保護する」「あまり殺さない」等の作風へのアンチテーゼはどうしても必要不可欠なので、佐原を始めとした他の防衛軍のようにフォローや評価できる部分を入れられずに終始主人公達の邪魔者としてしか扱われなかった彼もある意味では脚本の被害者ではある。
演者の奈良坂氏は次回作『ウルトラマンネクサス』の前日壇『ULTRAMAN』にも出演している他、『ウルトラマンマックス』や『ネオ・ウルトラQ』にも出演している。
関連項目
高倉司令官:ウルトラシリーズにおいては西条とワーストトップの座を争う『防衛組織の救いようのないタカ派官僚』仲間。ちなみに西条同様、防衛チームの隊長から非人道的且つ軽薄な指揮を非難され、最終的にぶん殴られるシーンがある。
カジ参謀、ブリューワー将軍、神山政紀:ウルトラシリーズにおいて、対怪獣戦において失態を犯してしまったタカ派軍人達。それぞれ西条と違い、彼らなりに地球を守ろうとしていた一面が描かれる形でフォロー描写がある。
西条凪:ウルトラマンネクサスに登場する同じく西条の名を持つ防衛チームのNo.2ポジション。主人公に厳しい一面や敵対生物撲滅の為に苛烈な姿勢を厭わないタカ派である面が共通しているが、西条武官程、情や融通が無いわけではなく、主人公とはストーリーが進む毎に分かり合う様になる。
蛭川光彦、ユウキ・マイ:作中においてフォローする描写がなく、和解や反省もなかったウルトラシリーズにおける憎まれ役の準レギュラー達。ユウキとは軍属の上級幹部である点や人類の手に余る危険な超兵器に盲信的な点が共通する。
ヒヤマ・ユウジ:敵愾生命体の対抗策として、その生命体を逆に利用しようという誤った方法を擁立しようと目論見、それに反対するも現状でその生命体の対抗に難儀している防衛チームを見下すような物言いをした人物。