柳に小野道風
1
やなぎにおののどうふう
花札の絵柄の一つ。十一月の光札。
「柳に蛙」などの通称もあり少し安定しないが、最近では描かれているのは「小野道風」で固定されている。
ローカルルールの多い特殊な札であり、傘を差した絵と左下のカエルの絵などから単に「雨」と呼ばれることも多い。
たとえば光札4枚の「四光」は通常8点だが、その4枚にこれが含まれると「雨四光」になり7点に下がってしまう。
また光札3枚の「三光」はこの札入りでは成り立たない、自分の取った札の中にあると「花見酒」「月見酒」が成り立たない(雨流れ)などのローカルルールもあり、特に「こいこい」では非常に扱いの難しい一枚。
なお三光に関しては芒に月(通称「ぼうず」)でも成り立たないとするルール、雨流れに関しては桐に鳳凰でも流れる(桐流れ)というルールも存在する。
ちなみに小野道風とは平安時代前期の書家で、小野小町とはいとこの関係になる。
他の図案に対してやや唐突なモチーフの札だが、これは一説によれば、花札が作られた当初は「雨降小僧」という妖怪が描かれていたのを江戸時代の人々が「斧定九郎(忠臣蔵に登場する、雨の中を行く浪人)」と認識していたことに由来して……などという非常に複雑な経緯を辿っており、
少なくとも小野道風が図案化されたのは花札のイメージアップを図った頃の話といわれている……など、11月のカス札ともども花札の中でも異色尽くしの一枚。
様々な説があるが、少なくとも「雨四光」という役が成り立つ札なので雨という通称がついているというわけではない。
コメント
コメントが未記入です