俺と弟で決定的に違うところが一つある。……俺はよく約束を破る―――
解説
舞台版キャスト:中河内雅貴
Netflix版キャスト:滝藤賢一
普段は寡黙で移動時は主に弟の肩に乗っている。黙っていれば美形だが、それ以上に弟と比べ残忍かつ下劣な性格が目立つ。弟のことは評価して信頼しているようだが、兄という立場から思い上がっている節もある。
弟からは「兄者」と呼ばれ、それなりに立てられる態度を取られている。ユーザーからもこの呼び名を使われている事が多い。
ちなみに、原作では初登場時と暗黒武術会以降では顔が全く異なっている。初登場時の頃は一切喋らなかった。
能力
身体を自由自在に変形させる『武態』という能力を持つ。臓器の移動もお手の物。弟の外見のモチーフが『ターミネーター』のT-800なら、兄の能力のモチーフはT-1000ということになるのだろう。
能力を活かして弟の武器として共に戦う事もあるが、爪や指を伸ばしたり(突進針・指花・妖縛指など)、アニメ版では片腕をドリルに変形させる技も披露。更に硬質化させた鋭い手刀(死神刀)や精巧な擬態(護態、生き人形など)を作る、全身から鋭利な針を展開し複数人を纏めて倒す(爆裂針・全刺しなど)など、単独でもかなりの強さを発揮する。アニメ版で試合前に桑原和真を挑発した際には、少し目を離したほんの一瞬の隙に桑原の背後に移動しており、素早さも高い。
現在の彼が得意とする身体の一部を鋭利な針として伸ばす刺突攻撃は、50年前当時の暗黒武術会優勝候補であった妖怪・潰煉もアニメ版で似たような技として使っていた。
また、原理は不明であるが仙水忍と接触した際には、悪さと強さを兼ね備えた者のみがキャッチできる特殊な念波を発する能力も使っている。
さらに実写版では、飛影そっくりの姿になって雪村螢子を誘拐した(上記の「擬態」の発展技なのだろうか?)。
「残念な事に、今の攻撃はオレにダメージを与えていない!」
特筆すべき点は、彼の強さの真骨頂である並外れた再生能力と生命力。
身体を切断された程度ではダメージは受けず、瞬く間に結合させ元通りにしてしまう。アニメ版では着ている服まで再生させていた。本人は「脳や心臓を破壊されない限り死なない」と言っていたが、実際は全身を砕かれようが頭だけになろうが死ぬ事が無い。何度でも蘇るさ!
しかし、全身を粉砕されたり大部分を欠損するなどすると流石に再生には時間が掛かってしまうようで、桑原に全身を砕かれた際にはダメージを負った上で約十数分以上で再生(アニメ版では再登場時に左腕が再生途中、右目の瞼が未再生であった)、頭部だけの状態になった際は元通りになるには一ヶ月以上の時間を要するらしい。(アニメ版で後述の巻原定男に食われる直前、「もう少し待ってくれれば……」と発言していたため。)
イレギュラーなケースであったが、巻原の“美食家(グルメ)”の能力で取り込まれた際は、消化吸収される事なく体内に寄生し肉体を奪い取った事から寄生能力を持って(または目覚めて)おり、欠損した身体を他者の肉体で補完する事も可能なようである。
これら故に、公式からも寿命も殺す手段も存在しない完全な不死身とされている。
余談であるが、一部格闘ゲームに出演した際は彼の再生能力としぶとさを再現しており、回復技を持っていたり防御力が高かったり、自動回復の特殊スキルを持っている事もある。
出番
本編前
弟と同じく、元人間で幻海とは仲間であったが、50年前の暗黒武術会優勝の報酬として妖怪に転生している。弟とは異なり、動機は(本人は武道のためと言っていたが)私利私欲によるもの。当時の暗黒武術会での回想シーンでは台詞の無い一度だけの登場をしていただけで、人間時代の彼がどのような武術を使っていたかは描かれていない(※)。弟や幻海と共に修行していたとなると、霊光波動拳の継承者候補の一人であったとも推察出来るが、50年前当時の幻海に惚れていた事以外の過去の人物像や経歴も不明で、弟と違い何気に謎の多い人。
ちなみに若い頃の幻海のことは「犯してやりたかった」と述べていたが、彼女は強かったため手が出せなかったという。今の老いた幻海に対しては見下した態度を見せる。(今でも当時の想いを吐露する辺り、想いが成就しなかった逆恨みも含まれているのかもしれない。)
※ファンの間では人間時代からある程度は肉体を変形させていた、または貫手の使い手といった推察をされている。
霊界探偵編
雪菜に氷泪石を作らせるために垂金権造に雇われた際、雪菜が小鳥たちを友達にしていることを知ると雪菜の目の前で小鳥たちを手触手で捕らえ、握りつぶして殺害し、雪菜に涙を流させ、氷泪石を作り出した。
浦飯幽助と桑原和真との対決では20%に変身した弟に合わせ、自身も剣や盾に変身し、幽助と桑原を圧倒。しかし、真の雇い主である左京の計画に従い、隙を突かれた振りをして、ワザと敗れる。
しかし、演技とはいえ、腹部を貫かれた弟と違い、兄のほうは剣の状態から戻らなかっただけにもかかわらず、幽助一行からは気にされなかったという矛盾が生じることにもなった。
まぁ、武器化以外の戦闘能力は低い、もしくは弟が「俺たち兄弟は2人で1つ」と発言していたのでそれで「命を共有している関係」とも思ったのかもしれないし、何よりもこのときの幽助一行の優先は雪菜救出だったのでそこまで気にする必要はなかったのかもしれない。
暗黒武術会編
暗黒武術会準決勝で五連邪チームの阿架連邪と亜尾連邪と喪々連邪と三対一の中堅戦を提案・展開し、全身針で瞬殺。
頭部に被弾した喪々連邪は即死したが、阿架連邪と亜尾連邪は急所を逸れており、命拾いした。
その後命乞いすれば助けるという嘘に乗った亜尾連邪に指針で止めを刺し、「俺も弟と同じでお前の様(反抗的)な奴は好きだ」と言った直後冒頭の台詞と共に「やはりお前も死ね」と残った阿架連邪も同様に指針で止めを刺した。
浦飯チームとの決勝戦では桑原との中堅戦を展開。どちらも『大将の相棒』というポジションだが、兄は策謀と搦め手に長け、桑原は真っ向勝負を得意とする直情型と、対照的であった。当初は武態の能力を用いて桑原を困惑させ、着実にダメージを与えて行った(臓器を斬られない限り大したダメージにならないため、それで斬撃から致命傷を免れていた)。
調子に乗って幻海が死に至った事実を『人形劇(両手を変形させた)』として桑原に見せつけ嘲笑う。そして触手のように伸ばした指で桑原の背中を貫いて動きを封じ、首を跳ね飛ばして勝利を飾ろうとする。しかし怒れる桑原から自身の技と同じ要領で霊剣を手裏剣状に変質して飛ばす形で反撃され、全身を切り刻まれる。それでも大したダメージにはならなかったが、桑原が霊剣をハエ叩き状に変形したのを見て顔色を無くす。
手足を再生中だったため逃げることもできず、全身を叩き潰されて敗北した(審判も「げ」と呟くほどの状態となり、戦闘不能と判断された)。
その後暫くして戸愚呂弟VS幽助戦の直前に復活するが、完全にキレた状態になっており弟に自分を武器として使うように告げる。しかし幻海の死を罵倒し続けたために弟の怒りを買っていたことに気づかず、思い切り蹴り上げられる。
共に人であることを辞めた兄にこんな仕打ちをするのかと驚愕しながら落下したところで、そのままぶん殴られ全身がバラバラに粉砕、会場外の海まで殴り飛ばされた。
「俺は品性まで売った覚えはない」
魔界の扉編
しかし、その後に海中で頭部の半分程の状態になりながらも生き長らえ、幽助達への復讐を決意。…自業自得とはいえそんな身の上になったのは幽助達ではなく弟が一番の原因であるはずなので逆恨みもいいところな感もある。(逆に言うとわざわざ幽助達を指定していたようなので、弟が敗死したのは知っていた模様。)とある島に流れ着いた後に特殊な念波を発信し、それを感知した仙水忍と接触。救出された彼は左京の野望を仙水に伝え、その意志を継がせた。
アニメ版での“魔界の扉編”のプロローグでは、頭部以外に右腕も皮一枚で辛うじて繋がった状態で再生しており、幽助達が去った後の首縊島の海岸に自力で這い上がったところで仙水と対面を果たすという、より詳しい出会いの経緯が描かれている。
都内の仙水のアジトの一室にある水槽の中で静養をしていた折に、“美食家(グルメ)”の能力を持つ巻原定男に取り込まれてしまうが、逆に彼の精神や肉体、能力までも乗っ取り、同じく巻原に取り込まれた読心能力を持つ室田の“盗聴(タッピング)”までも会得した。(しかも乗っ取られる巻原の恐怖を楽しんでいた。)なお、少なくとも原作では戸愚呂兄がこの一件で仙水を恨んでいる様子がなく正体を明かしてもそのまま協力を続けており、仙水も巻原が乗っ取られている事に驚いていないので示し合わせた上で巻原に取り込まれた可能性が高い。
幽助達の前に現れた時は、自我を失った巻原の肉体を体内に寄生して操っている状態で、そのまま妖気や気配を隠しつつ巻原に成りすまして行動していたが、蔵馬の目は誤魔化せなかったようであり、入魔洞窟内で対峙した際に彼によって巻原の頭部を破壊され正体を現した。この時の戸愚呂兄は半壊していた頭部を完全に再生させており、失っていた胴体は“美食家(グルメ)”の能力諸共、巻原の肉体を自分のものとして奪い取っている。しかしながら、巻原の頭部は下顎を残して蔵馬に切断されたため、巻原の下顎の断面から戸愚呂兄の首が伸びているというさながら乗り物か巻原を“着ている”ような状態であり、かなりグロテスクな姿となっている。
なお、正体を現す前から捕らえた桑原の抹殺(“美食家(グルメ)”の能力で吸収する)を仙水に主張しており(アニメ版では騒ぐ桑原を黙らせるための猿轡を付ける際に暴行を加えている)、トンネルに群がっていた空腹状態の妖怪たちが桑原に襲いかかる中ですぐ隣にいる巻原は全く見向きもされないなど、ある意味巻原が戸愚呂兄に乗っ取られている伏線になっていた。
無限の再生能力に加えて、原の肉体を乗っ取ることで会得した相手の能力吸収、更に室田の捕食によって会得した読心能力と、単純に能力だけで言えば弟を凌駕する力を手に入れたが、蔵馬を挑発した事で彼の逆鱗に触れ、最期は不死身の肉体を逆手に取られ、邪念樹という「幻覚でおびき寄せた獲物が死ぬまで決して離さず、離れるための策を講じられないよう更に幻覚を見せ続ける」生態を持つ魔界の樹の種を植え付けられてしまう。
結果として、盗聴で煙幕を撒いた蔵馬の裏を掻いて腹を貫くも、「今何かしたか?」と強がられさらに攻撃を加えても何故か殺しきれず、その様子に「何故死なない!?」とうわごとをいいながら攻撃し続けるという幻覚に囚われてしまう。(実際には指一本動いていない。)
再生能力で絶対に死なない彼が、皮肉にも死ぬまで獲物を離さない樹に囚われ、決して死ぬ事のない幻影の蔵馬と戦い続ける生き地獄に落とされるという、逃れる事も叶わぬ哀れな姿になり果てた。
100%マジバトル
イベントクエスト、本編の後日談に当たる「エピローグのその先へ」のストーリーにてその後が描かれており、入魔洞窟内で邪念樹に寄生され幻覚に苛まれたままになっていたが(流石に長い時間が経過したためか、本編のような叫び声ではなく弱々しいうめき声を上げている)、戸愚呂兄の妖気に狂暴な低級妖怪たちが絶え間なく引き寄せられ、このせいで洞窟周辺にて行方不明事件が多発していた。最早人間界にとっては存在しているだけで脅威と化してしまっており、問題解決のためにそのまま魔界に追放されてしまった。
本人以外に武態の能力で変形した弟の武器としてオプションのような扱いになっている事もあるが、その中で能力で杵や羽子板に変形したお正月バージョンがあったりする。しかもゲーム中のイラストを見るとどっちも兄の顔が浮かび上がっており、特に羽子板の方はさながら心霊写真である。
余談
初登場時は不気味に笑うくらいしか言葉を発せず、アニメ版でも同様であったが、この際の担当声優の鈴木勝美氏は、垂金の側近である坂下の役も兼任しており、主にそちらの声を充てていた。
なお、氏は1993年7月10日に公開された幽遊白書・劇場版第一作にて枯れ木を操る妖怪「ジュガン」を演じている。
更にゲーム作品によっては、凍矢の声を担当する事もある。
また、作中において彼は相手の心の傷を抉る発言が多いが、作中での彼の敗因はほぼ全て相手を怒らせたことによるもの。極めつけに該当者は人情家で怒りや他人を想う心で信じられない程の底力を発揮する桑原、嘘や卑劣な手段を何よりも嫌い怒らせれば漏れ無く相手を悲惨な末路に叩き落とす蔵馬等、相手があまりに悪過ぎたのも起因している。(更に暗黒武術会の優勝決定戦直前には、実弟の怒りまで買ってしまっている。)
そんな弟の怒りを買ってしまい蹴り飛ばされた時に、「共に武道のために魂を売ったこの兄を……!!」と憤っていたが、粉砕された後に弟から「俺は品性まで売った覚えはない」とディスられていた。おまけに『Jスターズビクトリーバーサス』において、出演を果たした弟がある人物との会話時に、「出来の悪い兄」と陰口を叩いていた。……どうやら兄の悪癖にはかねてから不満を募らせていたようである。
↑ピクシブ内でもこんな扱いをされている作品も投稿されている。
ちなみに、過去にインターネット上では弟をアーノルド・シュワルツェネッガー氏、兄者を又吉直樹氏に見立てたコラ画像が出回っていたが、近年ではモンスターストライクと幽遊白書のコラボイベントのCMにて、なんと又吉氏が本当に兄者を演じる事になった。また、このCMでは兄者とそっくりな性格……姿をした姉者(演者は椿鬼奴氏)も登場している。(※親記事の戸愚呂参照。)
なお、モンスターストライクでの戸愚呂兄本人は、巻原の肉体を奪った姿で登場している。