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概要

重婚の一種。一人のが複数の女子を同時期にとすること。

このような形態の結婚を認める社会、もしくは法律上の結婚制度のことを一夫多妻制と呼ぶ。

世界的にかなり広範に観察されるが、その成立要因については多様な説が並立しており、単純に論ずることはできない。

なお、現在の日本の法律では、複数の相手と同時に婚姻をすることは不可能であるが、お互い同意の上で複数の女子と一緒に暮らすことや子供をもうけることは法律には触れない。

そのため、養子縁組を利用したりして、擬似的に一夫多妻を実現する猛者も…

イスラムにおける一夫多妻制

コーランに基づく法的制度。養える範囲までで4人まで妻を娶ることが可能である。しかし各妻の間には差をつけてはならないとされ(つまり全員正室である。当然、全員を平等に愛することが義務とされる)、国によっては既にいる妻や裁判官の許可が必要なところもある。

二人以上の妻をもつ場合の男の経済的負担は非常に大きいものとなるため、一定以上の社会的地位と経済的実力を持たぬ限り二人以上の妻を持つことは困難である。歴史的にも二人以上の妻を持つ事例はごく限定的なものであり、実現したとしても周囲からの目が冷ややかなのは変わらないという倫理的な問題もあって、現在ではほとんどが一夫一妻制となっている。

元々は、戦争未亡人に対する救済策であったらしい。

なお、トルコチュニジアでは法律によって一夫多妻制を禁じている。

近年世界各地を騒がせているイスラム過激派組織の中には、この制度を自分たちに都合良く解釈し、複数の女性(それも、襲った地域から拉致した女性が大半)を養うどころか奴隷(多くは性奴隷)として従属させた挙句、少しでも逆らったり飽きたりしようものならば残忍な方法で殺したり、あまつさえ他人に払い下げるなど、コーランの教義に真っ向から背く行為を平然と行っているため、各地の「まっとうな」イスラム教徒たちからは「奴らはイスラムの看板を悪用している、ただのテロリストだ」と唾棄される一因となっている。

とりわけ、ナイジェリアボコ・ハラムはその傾向が強く、残忍で強欲なやり方も相まって、もはやイスラム云々の前に暴虐な山賊のそれに等しい。

アフリカにおける一夫多妻制

イスラム教国以外でも、宗教とは関係なく一夫多妻制である国が多い。

アフリカの一夫多妻婚では、たちは別々に暮らしていて、妻子の家をが順に訪れるという形態が一般的である。この種の一夫多妻が行われる地域には母系社会もしばしば見られる。

モルモン教における一夫多妻制

アメリカモルモン教は一夫多妻制をとっていたが、神からの啓示により1890年に廃止したとされる。

しかし少なくとも20世紀初頭まで、また地域によっては近年まで、一夫多妻婚が行われていたという。20世紀半ばにモルモン教主流派から分離したFDLS(モルモン教原理主義派)は現在も一夫多妻の教義を保持している。

日本における一夫多妻制

江戸時代までは上流社会において男の跡取を生むという名目の元で側室制度があった。また、そうした天皇貴族武士に限らず、富裕な百姓(豪農)や商人が『』を持つ例は少なくなかった。

近代的な民法の施行により一夫多妻制は制度的にはなくなったが、近代以降も、地位ある男がと別に愛人をもつ風潮は広くみられた。また、正妻との間に跡取りとなる男に恵まれなかった場合に愛人を囲って子供を産ませる、ということも多かった。

時間差一夫多妻

離婚しては別の女性と再婚を繰り返す様を俗に「時間差一夫多妻制」と言われる事も。

特に婚活市場では優位になる社会的地位の高い男性や勝ち組男性に限って、稼ぐ事が第一だったり、良くも悪くも庶民とは異なる価値観を持っていたりするため、結婚後にモラハラDVを行ったり、育児への参加を放棄したりする事で妻から愛想を尽かされる事が多い上に、そうなった時に縁を切って別の相手を探す事を躊躇わない。日本国内外問わず著名人に離婚と再婚を繰り返す者が多いのは、言ってしまえばそういう理屈なのかもしれない。

一夫多妻の代表的な動物

野生動物においては、過酷な環境で少しでも多くの子孫を残すために一夫多妻的な事はよく行われている。雄同士の競争で勝ったものが、より多くの雌と交尾できる、という生態であり、この場合、雄個体は雄同士の闘争を勝ち抜くためや己の存在を誇示するために、雌よりずっと身体が大きかったり、見た目が派手だったりする事も多い。

ゾウ鹿孔雀ライオンなど

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