概要
半翅目の腹吻亜目は植物の汁を吸い甘露を出すことで知られる。例としてアリマキ(アブラムシ)やカイガラムシが有名。そしてそれらに並び存在するコナジラミ科 Aleyrodidae に属するのがコナジラミというわけである。
名前はコナジラミだがシラミとは関係ない。とはいえ葉にくっついて汁を吸う生態が生物にくっつき血を吸うシラミを思わせるのでこう呼ばれる(キジラミやトコジラミに近い)。体表は細かい蝋の粒に覆われており、見た目は小麦粉を塗したように見える。科の名前も古代ギリシャ語で小麦粉塗れを意味する「aleurodes」に由来する。複眼の形や、口のように開き甘露を出す肛門部の形で種を見分けられるらしい。
サイズは体長が1~2mm、翼長も3mm程度と小さい物が多い。たまに5mm以上の物も見られるがこれは性的二形によるものと思われる。
一齢幼虫は脚があり歩き回るが、1度目の脱皮をすると脚を失い口だけで葉にくっついて過ごす。そして終齢幼虫は体表を固め、その中で脚と翅を伴う成虫になって外皮を破り出てくる。不完全変態でありながらこの生態があまりにも完全変態に似ているので分類学的にこの2つを明確に別けるべきかの疑問を醸し出している。
単為生殖できるものも存在する。とは言うものの、コナジラミのオスは全て受精してない卵から生まれる物とされる。しかも母となったコナジラミは生んだ息子と卵を為すこともできる。
上にもある通りとても小さいので通常の網目をも掻い潜ってしまう。しかも天敵が網目を通れず、結果的に温室内で安全に生活できてしまう可能性が懸念される。
汁を吸って出す甘露は蟻の餌になったり、カビの原因になったりする。また、殺虫剤を甘露と共に排泄するという可能性も存在する。そしてその唾液にも植物を傷つける成分があるという。だが何より、コナジラミが植物から植物にウィルスを伝達させるというのが一番厄介な模様。
有名な種にはシルバーリーフコナジラミなどがあり、殺虫剤等にもすぐ耐性をつけてしまうなどアブラムシに並び厄介な害虫となっている。
対策
殺虫剤がコナジラミの天敵を殺してしまう危険性や環境そのものへの悪影響も考えられることから、そもそもコナジラミに潜入されないような処置が好ましい。それでも殺虫剤を使いたい場合は昆虫成長抑制剤を使うと天敵の数をコナジラミの数より増やせるらしき話はある。葉の裏を定期的に洗うとコントロールしやすい。黄色に惹かれる性質があるらしいので黄色いハエ取り紙や黄色いライトがあれば状況の確認にも使えるだろう。クサカゲロウやテントウムシを始めとし、肉食性カメムシ類、コバチ、カブリダニといった天敵を使うという手も考えられる。昆虫病原糸状菌の使用も…?他にもノウゼンハレンのようなコナジラミの嫌う物質を生成する植物や、コナジラミの天敵を呼びやすく香りで被害植物をコナジラミに察知されにくくするヒャクニチソウ等を一緒に育てるという方法も考察されている。
本命の植物を守る為に離れた位置に囮の植物を用意するというのもある。いずれにせよ、どれか1つだけでは封じ込めは難しい厄介な害虫と言えるので色々組み合わせたり取っ替え引っ替えしないといけないかもしれない。寄生や症状発症が確認された歯の排除と処分も徹底しよう。