「ボクの傘かしてあげる」
概要
頭間雲児に取り憑いた怪異。
その昔は唐傘小僧と呼ばれ、雨の日に濡れていると傘の中に入れてくれるという。
ターボババアいわく、アンブレボーイは本来は優しい妖怪であるが、その実力は半端なものではないほどに強く、そこらの生身の生物では敵わないほどである。
能力
普段は心優しい怪異だが戦闘能力は高く、傘の開閉で生じる衝撃波は敵を彼方にふっ飛ばす。その威力はまるで大砲さながらである。
また、その衝撃を利用することで空中に高く跳躍して移動もできる。要するに空気の抵抗を利用しているので、近付くのは容易ではない。
だが、能力の行使には体力の消耗も伴い、傘を連発して使うとその力を借りている者の命に関わる。本来なら傘を開く限度は2回までとされている。
生前
ズマの弟「風太」が大雨の日に川に流されて亡くなり、その後アンブレボーイへと怪異化した。
父親が過労死してから貧乏暮らしに転落した頭間家は余裕がなく、風太はいつも兄であるズマのおさがりを着ていたが、ある日かわいそうだからと新品の長靴と傘をプレゼントされる。それから風太は大喜びで毎日長靴を履いて傘を持ち歩くようになった。
晴れの日もそうしていることから同級生に虐められもしたが、ズマの助けもあって、風太は笑顔を絶やさずに毎日明るく学校に通っていた。
しかしある嵐が吹き荒れる日、学校の帰り道に風太のお気に入りの傘が川の方向に飛ばされてしまう。傘を追って川に向かった風太をズマは助けようと必死に駆けるが、間に合わず風太はそのまま増水した川に流されて死亡する。死後アンブレボーイとなり、河川敷に居着いていた。
その後母親が心中を図って自殺し、ズマは不良になって補導されてから警官ベガのもとに引き取られる。ズマは雨の日に、かつて風太が亡くなった川のほとりで過去を思い出しやさぐれていたが、子供と助けようとした里親のベガが川に流されてしまうのを目撃する。もうこれ以上殺さないでくれと必死に願いながら川へと駆けるズマの前に、アンブレボーイとなった風太が現れて「ボクの傘かしてあげる」と声をかけると、ズマに自分の能力を与える。アンブレボーイの能力で変身したズマは子供とベガを助け出し、風太はその後ズマに取り憑くようになった。
メルヘンカルタとの戦いの際に身体を乗っ取られたズマをオカルンが戦闘不能にし、負傷したズマの元にオカルンが駆け寄った際には、「お兄ちゃんをいじめないで」と生前の姿で現れてオカルン達にズマの過去を見せてきた。そして生死の境を彷徨うズマに両親とともに別れを告げ、ズマが目を覚ますと風太本人の霊は両親ともども成仏したと思われる。