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概要

アニメ以外の作品を原作としてアニメーション作品を製作するメディアミックスの一種。

日本ではまずテレビアニメ化という展開が多いが、劇場版アニメオリジナルビデオアニメ、webアニメなど他の媒体でのアニメ化が決まることもある。

アニメ化に至る経緯

基本的に、商品価値があるとみなされた作品がアニメ化される。

すでに人気や知名度のある作品、あるいは「アニメ化することによって人気が出そう」と判断された作品に白羽の矢が立つ。

作品の価値が業界内で認められということになる。好き嫌いが分かれやすい実写化と違って「アニメ化の決定は原作ファンにとっては嬉しいこと」という認識が一般的であり、その作品がある程度盛り上がってくる頃にはそれのアニメ化を希望、期待する声が上がり始めるのはよく見られる光景である。

アニメ化が実際に決まるとその情報が雑誌やインターネットなどで大きく宣伝され、pixivでもお祝いイラストが増えるなど、その作品を取り巻く状況が一変することになる。製作をする監督脚本家などのスタッフ、および登場するキャラクターを演じる声優の采配もまた原作ファンたちにとって大きな関心事になる。

なお、アニメ化というのはその作品の人気が十分確立される頃に行われるものとされ、漫画が原作で休載を考慮しない場合、だいたい原作開始から2~3年くらい、物によっては4~5年以上の期間を経てから決まることが多い。

それよりかなり早い段階でアニメ化された作品には『燃える!お兄さん』(半年)や『聖闘士星矢』(10ヶ月)、『Dr.スランプ』(1年)などがある。

メディアミックスの場合、アニメ化前提の原作者自身によるコミカライズが後に原作と呼ばれる事もあり、有名どころでは『マジンガーZ』がこれに該当する。

あるいは逆に、もう商品展開が終わって10年近く経つような懐かしい作品であっても、人気や話題性が未だに根強いものならば改めてアニメ化されたり、以前にアニメ化された作品でも続編ではなくリメイクかリブートという形で再アニメ化される例も存在する。

その一方で、作り手側の希望により、あまり有名とは言えなかった作品が原作として選ばれる場合もある。原作が有名でなくとも、制作会社や監督、放送枠などにそれなりのブランド力があれば、それが宣伝材料になって商業として成立するためである。

また、アニメ化による知名度の高まりを期待され、作品の宣伝を兼ねてアニメ化する場合もある。アニメが人気になった暁には原作の知名度向上にも繋がり、作品全体にいい相乗効果をもたらすこともある。

メディアミックスを前提とした大型コンテンツの場合、人気の有無にかかわらずアニメ化が進行することもある。この場合、アニメ化はあくまで展開手段のひとつと位置づけられている。

恩恵

アニメ化によって作品が得られる恩恵はやはり「知名度の向上」である。

当たり前だが、漫画やラノベは基本的に買わなければ読めず、掲載先がマイナー誌であれば存在自体が認知されないし、メジャー誌であっても特定作品の単行本のみを追いかけ他の作品には目もくれない読者も珍しくない。

特に現在は不況粗製濫造の蔓延により、見知らぬ作品に金を払おうというハードルはますます高くなっている。

その点、物にもよるがアニメなら買わずに見ることができるため、多くの人間に内容を認知され易く、それによって原作の劇的な評判アップが見込めるのである。

たとえひと昔前の作品であっても、アニメ化をきっかけに売上が数倍に跳ね上がったというケースは珍しくない(中には10倍以上になったケースさえある)。

アニメ自体のDVDやブルーレイがさほど売れなくても、原作や関連グッズの売上が向上すれば、そのアニメ化は成功と言える。

以下はその成功例(いずれも原作単行本の売上が2倍〜10倍に増加した)

また、連載終了作品でも成功を収め、再び大きく単行本が売れたものもある。

弊害

先述の通り、アニメ化は原作ファンにとって嬉しいことである一方、様々な不安要素が残りがち。

アニメ版が大成功してその作品がジャンルの代表レベルにまで出世できたケースもあれば、反対に大失敗してオワコンの引き金となってしまった、あまりの出来や不作ぶりに、作者が体調不良に陥り連載終了を早めてしまったケースもある。

これは他のメディア化にも言えることだが、アニメの場合は俗に「アニオタ」と呼ばれる層から批評に晒されることになり、現代ではインターネット上で頻繁に情報交換をしているため、原作ファンには不本意な形で作品が話題に上ってしまうこともある。

与えられた放送期間・上映時間の尺に合わせる都合上、一部原作ストーリーのカット、変更、引き伸ばしが行われることも少なくなく、場合によっては設定そのものが改変されることも多い。

詳しくは「アニメオリジナル」の記事を参照頂きたいが、それが独自の面白さになっているのか、それとも持ち味を殺してしまっているのか、原作派とアニメ派、または原作ファン同士の間で評価が分かれ激しい議論になる事もしばしば。中には進行中の原作が悪影響を受け路線変更したり、逆輸入で原作からも存在抹消されたキャラもいる。

また、アニメはかつてゴールデンタイムに放送するものが多く、それは同時に年少者への閲覧、視聴を伴うものであった。そのため、大人対象の少年誌連載作品、青年誌連載作品などでは、原作において「子どもに悪影響を与える」と従来路線のままなのに予期せぬ苦情が寄せられたりして、原作の展開や表現まで影響を及ぼすものも少なくなかった。

そもそもアニメ等他の媒体表現に向いておらず、原作の良さを活かしきれなかったり、粗が浮き彫りになってしまう作品というのも当然あり、実際に放映された後でなければ評判含めてそれが判断し辛く、例え序盤で失敗を悟っても今更中止など出来ず進み続けるしかない。

加えて現在は「実績のあるシリーズ、またはアニメ化という事実だけでも話題は取れる」「毎回全力投入などしていられるか」という考えの元、初めから面白くする努力を放棄している作品が毎年少なからずあり、こうした質より量の考えも業界への期待を減衰させている。

逆にアニメ化がうまくいっても、盛り上がれば盛り上がるほどその作品を嫌う層や、逆にハマりすぎて他人に迷惑をかける「招かれざる客」が発生してしまい、コミュニティが良くも悪くも穏やかではなくなってしまう。

そのため、こういった「駄作化」のリスクや「有名税」を嫌って、最初からアニメ化自体を望まない層も存在し、実際『究極超人あ~る』『よつばと!』など作者がアニメ化を拒絶した作品もある。

売れた作品、相乗効果があった作品であってもアニメ終了後に大きく作品人気を落とす、または作者のモチベーションが著しく低下するケースも少なくない。

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