アイザック=ネテロ
あいざっくねてろ
感謝するぜ お前と出会えた これまでの 全てに
CV:外波山文明(1999年フジテレビ版)/永井一郎(2011年日本テレビ版 第6話 - 114話)→銀河万丈(2011年日本テレビ版 第122話 - )
ハンター協会及び審査委員会の会長。心源流拳法師範。
ゼノが生まれた頃からずーっと老人という、年齢不詳の爺さん。20年ほど前から約百歳と本人は言っている。息子にビヨンド=ネテロがいるが、120歳を鵜呑みにして作中の時系列を考えると50代頃に生まれた子と推察される。
ハンターとしては実力は去る物ながら人類戦力としても最高峰クラスである。若かりし日にはゼノの祖父であるマハ=ゾルディックとも喧嘩をして生きている点からも最盛期であれば相当の実力者であることには疑いようがない。
ハンター試験のトラブル処理をこなしたり、ヒソカの挑発を煙に巻くなど老獪な人物。ビスケ曰く人が悪い性格。一方でキルアとゴンにちょっかいをかけたり、メルエムの上から目線の発言に気を悪くするなど、茶目っ気や俗っぽい一面も持ち合わせている。
その一方でハンターでありながらも出自が格闘家であったことから謹厳実直な武人としての一面もある。後述の様に感謝の正拳突きの様なストイックな鍛錬に臨んだり、色々な意味で窮地にありながら己の死力を尽くしても勝ち目の薄い強敵との戦いに高揚する等キメラアント編でその内面が描写されている。
あまりにタイミングよく連絡をよこすことから、モラウには地獄耳と言われている。
本気で闘うときに限り、勝負服「心Tシャツ」を着る。
強化系能力者
60年以上も前、46歳になった頃に本格的な覚醒の兆しが訪れた遅咲きの念能力者。
その歳、自身の肉体の衰えと武の才能の限界を感じ、思案の末に自分を形作ってくれた武道への感謝を込め、山に籠って「気を整える」→「拝む」→「祈る」→「構えて突く」という一連の動作を要する「1万回の感謝の正拳突き」を始める。
最初は一連の動作に5~6秒を要し、1万回を終えるのに18時間以上かかっていた。起きては正拳突きに没頭し、突き終えてはそのまま眠りに就く日々を過ごした。
ところが2年もすると、1万回を終えても日が暮れていない事に気づき、50歳になった頃には1万回を終えるのに1時間を切るようになっていた。
ここに来て、ネテロの内に眠っていた才能はようやく花開く。
山を下りる頃には、「感謝の正拳突き」は音を置き去りにする程のスピードと、相対する者に観音菩薩を幻視させるほどの光輝を放つようになっていた。
下山して最初に力試し気分で立ち寄った道場でこれを見せた時は、その道場の師範(当時のネテロよりもかなり年上)が涙を流してその場で弟子入りを志願するほどであった。
これを昇華させたものこそ、下記の「百式観音」である。
百式観音
精神統一による祈りを捧げることで観音を顕現させる能力。
この観音はネテロがとる掌打の型にしたがって攻撃を繰り出す。ネテロの掌打の型は無限ではないが、それらを組み合わせて行われる攻撃の型は無限にも等しいほどのパターンを誇る。
昔山籠りで感謝の正拳突きを何年も突き続けたことによって、祈るスピードが極限まで速くなっており、その動作は最初は「あいつワシより強くね?」とネテロ本人に言わしめたネフェルピトーでさえ、極限の状況の中で自らの感覚を圧縮し全集中してようやく認識できるほどのスピード。発動まで0.1秒を切るネフェルピトー最速の能力「黒子無想(テレプシコーラ)」よりも速い。
また、メルエムはこの動作を見て「戦闘中に命取りになりかねない無駄な動作が、余に勝る武器として成立している矛盾」と評しており、総合的な戦闘力はともかく能力そのものは自身を凌ぐと認めている。
【零乃掌】
手を金のマーク(オッケーサインの手の甲側を相手に向けた形)+薬指と小指を折り曲げた形(必然敵に対して中指が立てられる)にして向ける事で、ネテロの背後にいた観音が敵の背後に顕現、敵を柔らかく両の掌で包んで拘束したのち、ネテロの全オーラを観音の口から放射し叩きつける
使用すると自立もままならないほどに衰弱するため、奥の手中の奥の手である。
あくまで人間を(一部の価値を認めた人間に限るが)「庇護すべき弱者」と見做し対話の姿勢を取ろうとするメルエムに対し、ハンター協会会長としての立場と、何より「あくまで強者としての上から目線」を受け入れられないネテロは力による解決を望む。
立ち上がろうとせず平行線になりそうだった時、キメラアント女王が言い遺した王に付けるつもりだった名を「負けを認めさせることができたら教えてやる」と、ようやくメルエムを戦う気にさせる。
メルエムが戦いの最中に感服するほどの鍛錬の結果――百式観音を見せメルエムに猛攻を仕掛けるが、メルエムの規格外の防御力に対し全くダメージを与えられない。
それどころか、無限とも思えた型の組み合わせにもごくわずかにある「人間ゆえに必ずある癖」を次第に見切られていき、やがて左腕と右脚を切断される。
片腕を飛ばされても「祈りは心の所作であり両腕が無くても問題ない」と百式観音を維持し攻撃を続けるが一向にダメージは通らず、ついには奥の手である「零乃掌」をも耐え凌がれてしまう。
ここに至ってようやくネテロは「個人としては」負けを認め、「メルエム」という名を教える。
しかしメルエムは、全オーラを絞りつくし正真正銘打つ手を失くしたはずの目の前の老人の顔貌を見て言い知れぬ恐怖を覚えた。
「蟻の王 メルエム」
「お前さんは何にもわかっちゃいねぇよ…」
「人間の底すら無い悪意(しんか)を……!!」
悪魔のような顔貌を見せたネテロは、自らの心臓に貫手を打ち込みその場で自殺する。
ネテロの体内には超小型の大量破壊兵器「貧者の薔薇」が埋め込まれており、ネテロの心臓が止まると自動的に起爆するようにセットされていたのだ。
ネテロが勝利し討伐できればそれでよし、ネテロが敗北して死ねば道連れ、メルエムが止めを刺さなくてもネテロが自害してやはり道連れ。
「貴様は……!!」
「そう……貴様は…」
「詰んでいたのだ」
「初めから」
作戦立案の段階からして、護衛軍を相手取るハンターはそのまま勝利した場合、敗北した場合、相手が入れ替わった場合など様々なパターンを想定して作戦が練られていたのに対し、ネテロが敗北した場合の想定については一切語られていなかった。
さらにはゼノを王と護衛軍を分断し1対1の状況に持ち込むためだけに雇っていること、分断が成功した後のノヴの「護衛軍が今からどう動こうが、もう間に合わない 御役御免さ、お前たちもな」という発言からして、メルエムとネテロを離れた場所で1対1にできさえすれば必ず片が付くという確信があったことが分かる。
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