はくちょう座 単語

はくちょう座とは、トレミーの48星座の一つ。

北天に位置する、夏を代表する星座である。 

概要

天の川の上に翼を広げ、北から南へ飛んでいる姿に見える。
中心部の形状から北十字星やノーザンクロスとも呼ばれ、南十字星(みなみじゅうじ座)と対をなす。

はくちょう座のα星は1等星のデネブ。非常に大きくて明るい白色超巨星である。
デネブ、こと座のベガ、わし座のアルタイルの3つの1等星は夏の大三角形を形成する。

主な天体

恒星

• α：デネブ(Deneb)
  • はくちょう座で最も明るい1等星。白鳥の尾にあたる。
• β：アルビレオ(Albireo)
  • 白鳥の口にあたる3等星。美しい2重星である。
• γ：サドル(Sador)
  • 十字の交点に位置する2等星。アラビア語で「胸」を意味する。
• ε：ギェナー(Gienah)
  • 名前の意味はアラビア語で「つばさ」。
• δ：ルク(Rukh)
  • 西暦11250年頃から4世紀にわたって北極星になる。

データ

星団・星雲・銀河

天の川にある星座なので、多くの星団と星雲が存在する。

• NGC7000 散光星雲
  • デネブのすぐそばにあり、北アメリカ大陸のような形から「北アメリカ星雲」と呼ばれる。
• IC5067～5070 散光星雲
  • こちらもデネブの近くにある散光星雲。形がペリカンに似ているため「ペリカン星雲」の名がある。
    実際には、ペリカン星雲と北アメリカ星雲は同一の星間雲の一部である。
• NGC 6992-5、NGC 6960 散光星雲
  • 数万年前に爆発した超新星残骸のガスが毎秒100kmで広がっている。
    「網状星雲」の名の通り、網状のガスが半弧状に向かい合っている。

また、デネブからサドルにかけて大規模な暗黒星雲が存在しており、みなみじゅうじ座の「コールサック(石炭袋)」になぞらえて「北の石炭袋(ノーザン・コールサック)」とも呼ばれる。

その他

• はくちょう座X-1
  • 太陽系から約6000光年の距離にある連星系で、強力なX線源。
    主星のO型青色超巨星のガス成分が周囲に流出し、きわめて強いX線を出しながら近くの何ものかに吸い込まれている。このため、はくちょう座X-1はブラックホールの最有力候補となっている。

ギリシャ神話

いくつか伝わる神話の中で最も有名なのは、大神ゼウスが白鳥に化けた姿というものである。
ゼウスはスパルタ王妃レーダーに恋し、白鳥に化けて接近した。白鳥が去ったあと、レーダーは2つの卵を産み落とした。これがふたご座の兄弟ポリュデウケースとカストールとなった。

別の説では、太陽の馬車を持ち出したパエトーンがゼウスの怒りにふれてエリダヌス川(エリダヌス座)に落ちたとき、彼の姿を探し回る友人キュクノスを、パエトーンの父アポローン(へーリオスとも)が天にあげてはくちょう座にしたという。

またある説では、琴の天才オルペウス(こと座参照)が死んだときに、音楽の神アポローンが天にあげてはくちょう座にしたという。

関連動画

関連静画

関連項目

• 星座の一覧
• こと座　わし座
• みなみじゅうじ座
• 天の川
• ブラックホール